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自分の気持ちに気付いたからには事は早い方がいいと、今一番気掛かりな問題を解決するために次の日の休み時間、俺は早速柚樹の教室を訪ねた。近くにいたヤツに彼女を呼んでもらう。




『どうしたのブン太。珍しいじゃんそっちから来るなんて』

「ちょっと、な」




ニコニコしながらやって来て柚樹だが俺のはっきりしない返事に首を傾げてきょとんとする。さて、どうやって切り出そう。一度断ってしまっているからこの話題は言い出しづらい。




「あー、とりあえず屋上いかねぇ?」

『うん?別にいいけど…』




何となく人前で話すのも憚られ、かといってたいした話でもないのだけれど取り敢えず柚樹を教室の外に連れ出す。不思議そうな顔をしながらも黙って付いて来てくれたことに内心ホッとしながら俺たちは並んで廊下を歩いた。




「あ、あのさ、昨日言ってたスイーツショップの新作の話なんだけど…」




屋上への階段を上りながら俺より数段先を軽やかに上っていく柚樹に向かって俺はやっと気になっていたことを口にする。




『うん、今週末は無理なんでしょ?暇な時言ってよ。待ってるから』

「え?」

『何?』




俺の声に振り向いた柚樹に思わず拍子抜けした様な顔をしてしまった。昨日の様子からして凄く楽しみにしていそうだったし、あのウキウキした感じからしててっきりもう別の誰かを誘っているのかと思っていたのだ。その誰かが気になって、まさか男じゃないかなんて少し焦ったりもした。ただそれを確認したかっただけなのだが、これは予想外だ。




「別に…何でもねぇよい」

『何?今日のブン太ははっきりしないね。変なの』




何とか誤魔化そうとしたけど柚樹は少しからかうような雰囲気を含んだ声でケラケラと笑うと俺の背中をパシパシと叩いてきた。




「もう誰かと行く約束してるのかと思ったんだよ」




仕方なくそういうと今度は何故か柚樹が拍子抜けした様な顔になった。




『…いよ』

「え?」




小さな声に聞き返すともじもじと言いづらそうにしたが柚樹は決心したように再び口を開いた。




『行かないよ。だって、ブン太と一緒がいいんだもん』

「なっ…」




意外な返事に驚きつつも、柚樹ももしかしたら自分と同じ気持ちなんじゃないかと少し期待する。




「それって告白か?」

『んー?そうかもしんない』




わざと冗談めかして気軽なノリで聞いてみると明後日の方を向いて曖昧な返事が寄越された。けれど否定しないところが意味深で焦れったく感じる。




「なんだハッキリしねーな」

『それはブン太もじゃん』

「…そうだった」




確かにはじめにはっきりしないと言われたのは俺の方だった。そういってお互い顔を見合わせるとどちらともなくプッと吹き出しそのまま意味もなく笑い合った。あぁ、これだ。この感じ。




「好きだ」

『私も』




思わずポロッと零れた言葉だった。言ってからしまったと思った時には笑顔で同意してくれた柚樹がいて、結局俺たちは両思いだったらしい。

結果オーライなんて天才的だろい?















甘党同盟
「今週末、午後でもよければ時間つくるよい」
『ホントに!?もうブン太大好き!!』
「(…こいつもしかして俺よりスイーツが好きなんじゃ…)」


NEXTあとがき





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