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うぜぇ。いつもおちゃらけてるくせに時々真面目な顔をしやがって。腹立たしい。一発殴ってやったのに効いてないのかまたすぐにヘラヘラしやがった。…別にその顔は嫌いじゃねぇが。

真面目なのかヘラヘラすんのかどっちかにしやがれ!!
って、俺が言えたもんじゃねぇか。こいつもこいつなりに気を遣ってんのを知っている。今の冗談めいた言葉もわざとだろう。正直この真面目さにもバカさにも救われてんのが現状だ。納得できねぇがな。




『あっくん、どうしたの?眉間に皺が寄ってるよ』




何も言わずに黙っていたら柚樹が急に顔をベシベシと叩いてきた。




「チッ。んなこたぁいつもだろうが!!」




叩いてくる手を払い飛ばして怒鳴るとそうかなぁと呟きながら顔を覗き込んでくる。




『ねぇ、あっくん』

「…んだよ」

『部活、行こうよ』

「けっ誰がんなもん行くか」

『ふ〜ん、そう。わかった』




何だ。そのために捜してたんじゃねぇのか?案外あっさり引き下がったと思ったら、




『あーあ。せぇっかくあっくんの大好きなモンブラン買ってきてあげたのになぁ。』

「なっ…!?」




とんでもない事を言ってきた。モンブランで俺をつれると思ってんのか、このバカが。




『しかも栗入り』

「!!」




うっ。これは少し言葉に詰まった。それを見て柚樹は追い打ちをかけるように言葉を続ける。




『今人気のスイーツショップNo.1商品なんだよねぇ』

「…ハッ、だから何だってんだよ」

『並ばなきゃ買えないんだけどなぁ』

「…チッ」

『よし。部室行こー!!』




どう捉えたらそうなるのか理解できねぇが、あいつは俺の舌打ちを承諾ととったらしい。腕を掴んで引っ張ってくる。でも、それも間違っちゃいねぇところがこいつの凄いところだ。




『理由がなくちゃ部室にも来れないんだもんね』

「あ"ぁ?」

『ホントはテニス、したいんでしょ?』

「…」

『ぁだッ!!!!!』




前言撤回。全然凄くねぇ。尋常じゃねぇただのお節介ヤローだ!!もう一発拳骨をお見舞いしてやった。




「よけーなことすんじゃねぇ!!」

『わっ!!?』




…けど、まぁ感謝しといてやる。乱暴に柚樹の頭をガシガシとかき回す。




『ちょっ、髪がボサボサになるんだけど!!』

「…ありがとよ」

『!!』




柚樹は一瞬びっくりしたように目を大きく見開いたが、直ぐに顔を赤くしてふにゃっと笑った。













甘ったるい空気は好きじゃねぇが、たまにはこういうのも悪くねぇ…かもな。


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