Help me Pegasus!





「学校からちょっと遠いけど、すっっっごく美味しいクレープ屋さんがあるんだよ!」
規則正しく並べられたビルの端から漏れ出す変声期前の男の子の声。自分のそれとは違うものに、改めて俺達はまだ中学一年生だと再確認できた。西園は、と訊いたら別の用事があったらしく、まだあどけない童顔に下がった眉が容易に想像できる。剣城も行くとなると抜け出してでも来るかもね、と天馬は笑った。
「あいつ、俺と同じように剣城を尊敬してるんだ。信じてるんだ。でね、」
ここを教えてくれたのも信介なんだよ?天馬の綻んだ頬に嘘は無い。
東京ど真ん中に中学生男子二人いても買い食いなら違和感ないでしょ!胸を張る天馬にやはり弛緩した口元を隠せず俺はコロネ頭に背を向けた。
「えへへー…剣城、何照れてんの?」
「別、に照れてねぇよ」
「はい現行犯」
「なっ!?」
がっと不意打ちで手を掴まれ、慌てて抵抗する。だけど芝のグラウンドはともかく、コンクリートの地面ではどうしても踏ん張れなくて、しぶしぶ右手を彼に委ねた。天馬の力の強さは勿論、握ったそれがこの前とは違ってひどく心地いい温かさだったからだ。
「剣城の手冷たいね。色白いし」
「…生まれつきなんだよ」
…そこから溶けてしまいそうな程体が熱い。繋がれた薄い掌も、顔の表面も。彼の大きな虹彩から、まるで熱線でも発せられているみたいに。
これは一体――
「まつかぜ、」
「剣城、着いたよ!」
そこには、シンプルだけれどところどころに原色の効いたデザート店が周囲に溶け込んでいた。木製のベンチで囲ってあるそこから生地の焼ける美味しそうな香りがする。一目を気にせず列の最後尾まで俺を引っ張りきった天馬は、わざと息の切れたふりをしてメニューに手を置いた。
「はぁはぁ…あはは、どれがいい?言ってくれれば買ってくるよ」
「…礼するのは俺だけど」
「じゃあお金は後で頂戴よ」
にひ、と笑う彼は恐らく自分で支払う気だろう。一番高いものを指差した替わりに、天馬の荷物を持ち(ぶんどり)席を確保した。久しぶりにクレープ食べるなぁと子供じみた考えを巡らせながら、あいつはきっと顎中クリームだらけにするんだろうな、なんて考えていた。あいつが気になっている訳ではない。ただ、ティッシュを持ってきて正解だったからちょっと嬉しかっただけなのだ。



「しばらくすると、天馬が戻って来て剣城とお決まりのホイップクリームイチャイチャ…すごい、まるでカレカノだな」
「リア充爆発しろ」
「倉間…?ちょっと倉間!?落ち着いて下さいよ!」
「今度俺らも買い食いしにいくかー」
「盗聴コレクションならまだまだありますからね」
「僕葵ちゃんがわからなくなってきたよ…」









天京いちゃいちゃが書きたくてくれーぷ!肝心の食べるシーンがぁぁぁぁあああorz 最後の文は三国倉間速水浜野葵信介です。





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