こんな日常。 こんな日常。
ぴぴぴぴぴ……。 流れる目覚ましのアラーム音。
「……んあ?」
止まる様子の無いその音に眉を寄せて目を開いたのは今ベッドを半分使う虎徹だった。 とりあえず、まだ寝ぼけていたためアラームを止めずに腕に着いているPDAを見る。
「げ……。まだ5時じゃねーか……。なんで……。」
呟いた瞬間、隣からガバッと起き上がる音。 その音を立てたのは言わずもがなバーナビーだ。
虎徹とバーナビーは二年ほど前に同性婚の認められるこのシュテルンビルトで結婚している。 もちろん、ヒーローが結婚……それもバーナビーがワイルドタイガーと……することは、当時凄まじい勢いで騒がれたが今は語るまい。
さて、いつもは低血圧により目覚めの悪く、PDAの音以外では起きないバーナビーが(PDAで起きてもすこぶる機嫌が悪く、それを営業スマイルで誤魔化すバーナビーが)起きた為、驚くと同時にとりあえず狸寝入りをしてしまう虎徹。 慌てたようにバーナビーが目覚まし時計を止め、ベッドを出ようとして、はっと気付いたように虎徹の方へ振り向いた。 ……虎徹はまだ狸寝入りを続けている。 それを見てバーナビーは虎徹の額ににかかる髪を分けてそっと触れる程度の口付けをした。
「まだ寝てて下さいね。」
そう囁くとバーナビーはパタパタと寝室から出て行ってしまった。
「……行ったか?」
もそりと体を起き上がらせる虎徹。その微笑にはうっすらと朱が差している。 バーナビーに言わせればそうやって一々照れる辺りが可愛らしいようだが、ここら辺も語れば長くなりそうなので割愛させてもらう。
「やっぱ空寝はバレっか……。『寝てろ』ね〜……。」
実際にはバーナビーはそれどころではなくて狸寝入りはバレてないが、寝ていて欲しいのは事実。 時刻はまだ5時10分。
「……。」
ボフン!
そんな音を立てて虎徹はベッドに倒れ込むと、眠り始めた。ーさん、こ…つさ…。こてつさん。
……バニーちゃんが呼んでる……? そう感じて目を開ける。
「……んぁ?」「虎徹さん!」
一瞬の間。バーナビーの顔が目の前にあり虎徹が驚いたためだ。
「ば、バーナビー、おはよう……。」
「おはようございます。朝食、出来てますがこちらで食べますか?」
「あー……。って朝食!?」
「えぇ。作ったんです。やっぱりお持ちします。」
そう言って寝室から消えるバーナビー。
普通なら『ベッドで食わねーよ!?』とかつっこむ虎徹なのだが、
(え、なんでいきなり作るとか……。あ、まさか俺の料理に飽きたとか…?)
などと、ついいらぬことを考えてしまう。
「お待たせしました。」
「いや、待ってねーよー?」
持ってきたのはコンソメスープとバケットに入れられたパン。
「いただきまーす。」
食べてみると物凄く美味い……というより 「え、これ出汁からとった?」
「はい。あ、わかりました?」
至極嬉しそうな顔をするバーナビー。
「すげ……。時間かかったろ。」
ちらりと時計を見れば、8時を指している。 三時間煮てたのか……。 野菜なんかも柔らかいし味がしみてる。 けっこう大きめに煮られたにんじんが甘くておいしい。
「まあ……。でも平気ですよ。」
あとは黙々と二人で食べ進める。
「ごちそーさん。美味かった!」
「お粗末様です。」
「また食いたいわー。」
「考えておきます。」
そういいながら片付けようとするバーナビーを制して
「あ、俺やるから食器拭くの手伝ってくれ。」 と言えば「はい。」という声。
そのまま二人で食器を洗いながら虎徹はずっと気になっていた質問をする。
「美味かったけど、なんでいきなり朝食作ったんだ?」
「……この間、イワン先輩が『料理は作って貰ったほうが美味しい』と言ってらして……。」
微妙に恥ずかしいのかフェードアウトする声。
「え、じゃ、俺の料理に飽きたとかそんなんじゃないみたいな?」
その言葉に対して溜め息混じりに、でも微笑みながら
「さっきの話聞いてました?作って貰った方が美味しいんですよ。」
バーナビーはそう言った。
セイ先輩から、 【兎虎/結婚/幸せ話】 のお題で頂きました! ウウウウウウウウウウ兎虎アアアアアアペロムシャァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!! ありがとうございました!
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