爪の長いおねーちゃんが、ニットのワンピースと戦いながらラーメンを掬っている。醤油だからシミができたらとれないのよ、という呟きが彼女の頭の上に浮かんできそうである。でもそんな生活感のあることを彼氏の前で言うわけにもいかない。全くだ。彼氏はニコニコしながらここの店の麺はどうたらこうたらと語っている。彼女の白いフワフワの服について、ここに来るまで一度は感想を述べてあげたのだろうか? そのうすづきのピンクのアイシャドーに、一度は目をとめてあげたのだろうか? 可能性は薄そうだ。はっきり言って。

「高尾。そんなに啜るな。シャツが汚れるし何よりこっちまで飛ぶのだよ」
「……真ちゃんのそういうとこ俺だーいすき」
「キモいのだよ」
「一蹴かよ!」
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -