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The dear devil was found. It is destiny to love it if it is destiny to fight again. Oh, you are my fallen angel.




What's done is done act.1


※飛影両性設定。でもって一部R。なんでも赦せるお姉さん且つ18歳以上の方スクロールプリーズ。














連戦を終え、各々が休息を味わっていた。

幽助はベッドからのそりと上半身を起こした。ガシガシと頭を掻き、寝ぼけ眼をごしごし。女性陣たちの姿はそこにはない。おそらく割りふられた部屋に戻り、今は第5次会のころであろう。酒豪の母親に静流。驚いたことに、あの雪菜も2人に負けず劣らずだったことだ。兄貴とはえらい差だなあー、飛影はコップ1杯で真っ赤になっていた、などと思い辺りをもう1度ぐるり。桑原の姿もない。さては餌食に拉致られたか?幽助は速いこと眠りにつけた自分自身を内心で誉め称えた。付き合っていたら、こちらの身がもたないのは、あの母親を持ってよくよく知っている。自分はニコチン欠乏者だが、母親はアルコール欠乏者だ。それも、かなりの重症者だ。

クワー、と、欠伸を1つ。どこからか水音。誰かがシャワーでも浴びてるんだろうか。・・・、ん?よくあたりを見れば、昨夜の宴の残骸がない。そればかりか、ベッドの配置、テーブル配置、ソファー配置、暖炉の配置、スタンドの電灯配置、全てが微妙に違う。

「・・・、ああー、蔵馬たちの部屋か」

気づかぬうちに避難場所へと入っていたらしい。それとも、気のきく蔵馬がこちらの部屋へと運んでくれたのか。何れにしろ感謝だな。飲んべえたちとは離れてるに限る。

未だ重たい頭を抱え、幽助は洗面器があるシャワールームの扉を開けた。中からは止めどなく水音がしている。「サンキューな」、そう蔵馬だと思い込み謝意を述べるより速く中の異変が幽助を眠気から一挙に覚醒の時を迎えさせた。

「あ、んっ、・・・、蔵馬ぁ」

なんだ、この甘ったるい声は。普段の鋭利な飛影からは想像出来ないほどの甘やかさ。おいおい、ヤるなら俺がいない時に存分にヤってくれや。蔵馬が飛影にご執心なのは、2人を観察していれば一目瞭然。しかし、飛影のあの無愛想な態度では蔵馬は報われないであろうと思っていたが、どうやら、その考えは訂正が必要らしい。

あの飛影がねえー。

妹だけに優しいお兄ちゃんの意外な一面に、興味がないといえば嘘になる。それに、あの冷静沈着な蔵馬がどんな獣になって腰をふってるかも。逡巡はほんの数十秒であった。

誘惑に誘われ、そっと中を覗きこむ。室内灯に照らされた2人がそこにはいた。一種異様な光景に、ゴクリと喉が鳴る。しかし、2人が放つその艶やかさに、今度は別のところが熱くなるのを感じた。上からは、防音の為に流しているとしか思えないシャワーが2人の肌を打ち続けていた。飛影の細い腰を両方の手のひらで包み、蔵馬は妖艶な笑みを浮かべながら腰を打ち付けていた。味わっている、その表現がひどくマッチする。

うっわ、蔵馬って立派なもんもってんだなあー。横からの角度で、蔵馬のそれが飛影の小さな孔を犯している様がありありとうかがえる。よく、あんなん入るよなあー。蔵馬は後ろから飛影を支えながら、その飛影を犯していた。そこって排泄器官だろ。しかし、その疑念も一瞬で打ち砕かれることとなる。

・・・、あれ?

なんでそこに山があんだ?それも2つ。

小ぶりではあるものの、白皙の乳房が蔵馬の挿入に合わせて揺れていた。ピンク色の先は尖り上を向いており、シャワーの水が雫となりその頂上から大理石へと落ちてゆく。

む、胸!?

漸く幽助はその答えにたどり着き驚愕する。んな馬鹿な。だって、飛影は男の筈だ。蔵馬が挿入を繰り返しているそこも。が、その固定観念も打ち砕かれた。蔵馬の指が腰からいやらしい手つきで降下したかと思うと、上を向いて先端部から愛液を垂らしている飛影の竿を握るかと思われた指先が別の孔に入ったように見えた。途端に、飛影の躰が弓なりにしなり嬌声が唇から零れ落ちる。

「ひぃ、んっ、やぁ」

「フフフ、こっち、さっきの俺のまだあるものね。掻き出してあげる」

「あっ、んん・・・、蔵、馬」

どういうことだ?蔵馬は腰を打ち付けるのを止めない。しかし、その指先は飛影の太ももで隠れてはいても、確実に中を出入りしている。ま、まさか。2つ孔があんのか。

・・・、ええと。つまり?

飛影は。

思考は中断を余儀なくされた。いっそう甲高い声が上がる。次いで、後ろから抱き抱えるように、蔵馬は飛影を自らの胡座の上に座らせた。未だトロンとしている飛影に深い口づけを落とす。その赤い瞳が、蔵馬から扉の方へと浮遊し、一瞬にして幽助は硬直した。ヤバ、視線がかち合ってしまった。赤い瞳の色が見られていた羞恥で躰に伝染する。

「ゆ、ゆ、ゆ」

名前さえも叫べないほど、飛影は慌てた。が、後ろから飛影を抱き抱えていた蔵馬は違っていた。

「飛影を着替えさせるからそこ退いてね幽助」

いたって冷静に。その1言で2人は悟らざるを得ず、更に朱色に染まり、次いで目眩を覚えたのだった。どうやら、蔵馬は幽助が見ていたと気づいていたらしい。気づいていて、なお、続行したのは、蔵馬の牽制か、はたまた、独占欲をあらわしているのか2人は同時に困惑せざるをえなかった。





「・・・、ああー、とりあえず、悪かった」

覗きなんてするもんではない。幽助は心底思った。明らかに殺気が含まれた蔵馬の翡翠。表情は常と代わらず穏やかな笑顔を浮かべてはいたが、その瞳は仲間でなかったら殺している、そういう危険を含んだ目だった。

「いいですよもう。ただし、2度目はありませんからね」

怖っ!幽助は、目の前の美を結晶化したかのような青年に、始めて本物の恐怖というものを教えられた気がしたのだった。

「大体、貴様が悪い!あんな場所で盛るから」

「あ、酷いなあー、俺だけ野獣に仕立てて。合意したのは貴方自身じゃないか」

「う、あ、そ、それは。・・・、しかしだな、幽助が見ているのを気づいたなら止める選択をしろ!獣が!」

「無理」

いやいや、蔵馬、そこは飛影が正しいと俺も思うぞ。しかも、即答かよ。幽助は自身が行ってしまった悪事を棚上げし、内心で突っ込みながら、蔵馬が淹れてくれたコーヒーを啜る。

「だって、あの場合仕方ないじゃないか。それに、前だけ入れて後ろ入れないってのは。・・・クスクス、そんなことになったら貴方の方こそが不満になるじゃない」

後半部分は明らかに人の悪い笑みを浮かべていた。途端に飛影は耳朶迄真っ赤になる。反論の余地なしってか?飛影はどうやらすっかりこの男に躰を代えられたらしい。御愁傷様とでも云っておくか。

そこで疑問が再浮上した。幽助は恐る恐る挙手をしながら、2人の会話に参加する。

「ああー、飛影のその躰ってやっぱ雪菜ちゃんと関係あんのか」

妖怪の血とかで。双子とは聴いたが、人間界のそれとは違う特殊なものがあるからなのだろうか。

その程度の疑問だった。幽助からは。しかし、雪菜の名は、蔵馬にとってこの場合は地雷に値していた。

「なんでここで彼女が出てくるの」

明らかに蔵馬の表情が代わった。おそらくは嫉妬からくる焼きもちで。この飛影が双子の妹に甘らしいのは先の件で知っていた。が、しかし、蔵馬の反応が、幽助のそれと微妙に角度が違う。

「へ!?なんでって雪菜ちゃん飛影の」

「幽助!」

・・・

3人の間に奇妙且つ重苦しい空気が漂う。

「なにかな幽助」

「ああー、えっとですねー蔵馬君。先ずは落ち着こうじゃないか。で、だな。出来ればその物騒な鞭しまってくれ。な、な、な!」

ニッコリ微笑んでいながら、鞭を自然に出すあたりが蔵馬の蔵馬たる所以に思えてならない幽助だった。しかし、その傍らで焦ってる飛影も充分に涙ぐましい。

「幽助貴様!」

2人の友情に板挟み、まさにそれだった。しかし、隣からの殺気は常軌を逸脱しつつある。喋らなければマジで殺される。友情か己の命か。二者択一を蔵馬は無言で突きつける。

「飛影のそのな」

「幽助!」

「双子の妹」

・・・

一瞬だが、確かにその場は氷河の国に匹敵するほど凍りついた。

幽助は鋭利な妖気を放つ蔵馬に最終的に膝を屈したのだった。

爆発的に嫉妬を剥き出しにする奴らより、静かに怒りを裡に宿している奴の方がより恐怖する対象であるのだと2人は思った。特に、今まで秘していた飛影は、身が縮んむ思いだった。以前から邪眼を移植した由来を誤魔化して来たとなればなおのこと。蔵馬は、己が誰か他の奴の為に心を砕くことを異常に恐れており、それは、嫉妬に直結し且つ平行していた。

「へえー、妹、ね。なるほど、その眼もあの子の為だったんだ、フーン」

「・・・」

「俺だけ蚊帳の外だったんだ、フーン」

「・・・」

「まあまあ蔵馬そのへんにしておけよ」

「ま、いいでしょう。妹ということはそれ以上にはならない存在ですからね。妥協しますよ」

実を云えば、彼女が現れて、その名を聴き蔵馬は内心焦ったのだった。始めて出会った際、飛影が口にした女の名と同名ということに。昔の女という可能性も棄てきれない。だって、あの飛影が捜していた妖怪なのだから。焦って、嫉妬して、結果、飛影を自分自身の恋人だと確認したくて、シャワールームで襲ってしまったのだった。幽助が覗いたのはまさに事故に他ならない。

「で、そのー、なんだ。俺の質問覚えてるか2人とも」

「は?」

「いや、だから、飛影の躰だよ」

「魔界じゃ両性種なんてざらですよ」

種の保存の為に、進化の過程で組み込まれた遺伝だった。

「え!そうなんか!」

「現に、俺たちが戦った相手側にもいましたよ」

「えええー!気づかんかった」

「まあ、そうなんですが、氷女の子となるとね」

蔵馬の口調には、未だ棘の毒薬が含まれていた。

「なんかあんのか」

「まあ、他の種族より簡単に妊娠しちゃうんですよ。氷女って、その稀少さゆえに生に対して貪欲なんですよ。参ったなあー、今後は後ろしか出入り出来ないのか。前も名器なのに」

「なっ、貴様の心配はそこか!」

「大事なことです。でも、心配しないでね飛影、例え妊娠しちゃっても責任はとりますからね俺」

イクメンになるようにだって努力を惜しまないよ飛影。と、内心で烏滸がましく付け加える蔵馬。

「そういう問題か!」

「ああー、で、結局、飛影って、男女どっちが生活基準なんだ?」

「見たから判るでしょう」

「男、の方?」

外見は男だ。あれもついてんのはシャワールームで確認済み。が、幽助は小ぶりな乳房だったことをも思い出す。次いで、飛影の今の姿を改めて見、視線を反らす。

「ああー、もうどっちでもいいが、そのー、飛影」

「なんだ」

「胸のサラシとれかかってるからよ、なんとかしてくれ。目のやり場に困る」

マントも着せておけよなあー蔵馬。配慮があるんだか無いんだか。このまま仰視していたら、先ず間違いなく蔵馬からの報復がくる。

飛影は幽助の指摘で慌てて胸を隠す仕種をした。目の端でそれを捉え、やっぱり女の部分もあるんだあー、なども思うのだった。

「もう、飛影は。だから、さっき俺がするって云ったのに。いつになっても包帯巻くの下手なんだから。ほら、おいで」

「いい!じ、自分でやる!」

「駄目。貴方が施すと直ぐにとれちゃうでしょう。それに、無理矢理潰したかのように巻かないの。形悪くなっちゃうっていつも云ってるのに。もう、ほら速く」

渋々といった風に、飛影はサラシを蔵馬に預けた。

「幽助、こっち見ないでくださいね」

「ハイハイ」

疎外されたというよりも、寧ろ勝手にやっててくれ、そういった感情で窓ガラスに視線を幽助は代えた。が、しかし、それが誤りであったことに気づくのだった。この部屋から出てゆく選択を何故出来なかったのか、と、嘆き後悔しても後の祭り。ここで振り返る訳にもゆかない。硬直したまま、その様を見ることになる幽助。そこには、夜の景色に重なるように、蔵馬がサラシをほどいてゆく様が浮かんでいた。そして、謀ったかのようなタイミングで、蔵馬の翡翠の瞳が一瞬幽助を捉えたのだった。

こいつ。性格悪っ。先ほどのシャワールームでの出来事といい、見るなと自ら云っておきながら、また、2度はないと確固たる明言迄をもしておきながら、誰が誰のものなのか明確な意思表示がそこにはあった。それと共に、なんとなくだが、飛影が何故今まで蔵馬に彼女のことを黙っていたのかが判った気がした。ここ迄の嫉妬深さを有しているとなれば、先ず妹の命を心配するのは無理からぬことのように思ったのだった。蔵馬の唇が奇妙に上がったことに気づき、まさか、と思うと、蔵馬はその小さな胸の突起物を指先で弄る。

「んっ」

飛影からの抗議もその唇で塞がれてしまった様だ。鼻から抜けてゆく甘い音色。それを後ろで感じ、ガラス越しに見せつけられ、幽助はいたたまれなくなる。飛影が蔵馬だけにとろける様を見せつけたい蔵馬の意思を悟り、幽助は頭を抱えたくなるのだった。誰も2人の仲に入り込む気は更々ないっつうの!

「もういいかー」

無論、嫌みである。

「フフフ。まだです」

深いため息が零れたのは、自然な成り行きであったと云えよう。

「もういいかー!」

「まだまだ」

結局幽助は、その夜は窓ガラスを見つめながら一夜を終えたのだった。ソファーでの2つの影が揺れ動く様を、背後で感じながら。

学んだこと。後悔とは文字通り後から悲劇を奏でながらやってくる。そして、妖怪には様々な人間の常識は通用せず、また、本人たちも常識は痛痒を感じないしろものだということ。










Fin.
2012/5/28
Title By たとえば僕が

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