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The dear devil was found. It is destiny to love it if it is destiny to fight again. Oh, you are my fallen angel.




哀腕に抱かれた act.3


※R要素があります。もう1度確認。お姉さんは18歳以上ですか?OKな方はスクロール。















「さて。飛影」

ゴクッ、・・・

レストランを出てから無言を貫いていた蔵馬であったが、マンションに帰りつくと共に美しい宝石を彷彿とさせる翡翠の瞳を光らせた。その妖気は他を圧し、恋人である飛影でさえをも震えさせるには充分であった。あるいは、恋人であるがゆえにその変化を見抜いたともいえた。どちらにせよ、飛影にとって災難が降りかかり始めたことには違いなかった。

「あ、あいつらは」

「これからお仕置きをうけるっていうのに、他人の心配かい。全く、見かけを裏切って貴方ってば優しいんだから」

ちょっと傷つくなあー。飛影のその優しさは尊いものではあるが、自身へにではなく他人へと示されるとやはり恋人としては心が荒む。狭量な心だと思うものの、飛影相手では自身の嫉妬は天井知らずなことも自覚している。相反するものにため息が零れた。貴方を愛してからというもの、自身は甘くなったものだと自嘲する。飛影が聴けば憤慨しかねないことを心中で蔵馬は呟いた。

妖狐の頃の自身であったならば、飛影も含め、耐え難い屈辱をうけたならば皆を皆殺しにして、事を終わりにしていたに違いない。現に、関係をもった女も男も1人残らず地獄へと送ってやった。それが、どうだろうか、この代わりようは。貴方のその気遣いが自分のことのように嬉しいだなんて。ヤり方は非常に気に入らないところではある、が。なにも、凍矢に親切あれこれ教えてあげなくとも。

それに、目の前の飛影はこれからおこり得る事態に脅えているのが悲しいといえば悲しい。自身よりも、凍矢や陣の方に信頼の比重が傾いているそれは証拠ではなかろうか。こんな重苦しい事態を生じた張本人たる陣は片恋だった凍矢と楽しいデートの真っ只中。懇願に訪れた陣の姿が、かつて飛影に片恋していた当時の自身と重なり、僅かに胸が軋んだのが運のつきとでもいうのか。陣の煽り文句を建前に、同情的に動いてしまったが為にこの有り様だ。あの冷静沈着と謳われた妖狐様が、だ。この時の蔵馬は、飛影の女装姿を見たい!という邪心は棚上げしていることに気づかぬまま思考を進めていた。

しかし、その友情とは反対に位置する醜い嫉妬も出口を求め荒れ狂う。八つ裂きにしたいと望み、それとも、猛毒漬けにしてもいいかもしれないとも思ってしまう。しかし、最終的に今日のこの遊びを了承したのは自身であるからには、陣だけに責任を押しつけ責めてもなんの益にもなりはしない。第1、服やらなにやらを用意したのは自身であるからには。

「大丈夫ですよ、今頃鼠の国で楽しくやってますよ。それより」

「・・・、わ、判ってる。不可抗力とはいえ、凍矢と、その」

「反省してますか」

「してる」

この云い様は本来矛盾している。そもそも、レストランで飛影の太ももを撫でたのを手始めに、レースの下着のなかに指を侵入しその気にさせたのは蔵馬自身であるのだから。まあ、しかしながら、蔵馬の予想外も同時に生じてしまったのだが。蔵馬本人はその矛盾発言に自覚があったが、云われた方の飛影は気づくことはなかった。神妙な表情を蔵馬が造ることにより、それらに気づく暇を与えなかったのである。

「じゃ、俺だけだってこと証明して。今すぐ、ここで」

「・・・、な、に?」

「クスクス、そうだなあー、その服でストリップして俺をその気にさせてよ」


イヤらしい笑みをその美しい口元に浮かべつつ蔵馬は飛影を煽ってみせたのだった。

「貴様!」

「ふーん、いやなんだ」

切れ長の翡翠が更に細められ、発する妖気に殺気が加わる。翡翠の瞳が、危険な金褐色をおびる。それは、蔵馬の機嫌が最高潮に悪いことを示していた。

「・・・、チッ」

この蔵馬を怒らせればどうなるか、これ迄の経験から飛影は苦々しく舌打ちをした。逆らえば、この身がどうなるかなど、嫌というほど骨身にしみている。

飛影はレースのミニスカートを恐る恐るあげ、見事な曲線を描く脚を、そして、その奥にあるもの迄をも曝し始めた。しかし。

「ふっ。なあーんてね」

「・・・。は!?」

「冗談ですよ。今回は見逃してあげます」

“今回は”、だけどね。蔵馬は心の裡だけでそう付け加えたのだった。凍矢とのことは、事故として処理しますよ、今回はだけど、ね。次回はありませんよ。

「貴様という奴はー」

「怒らない怒らない。ほら、座って」

「・・・」

「なに?その疑わしいって目は」

「貴様、可笑しなものでも拾い食いしたのか」

「酷いことを云いますね。俺のこと信用出来ないの」

「・・・、出来るか!これ迄のことを胸に手をあてて聴いてみろ!」

飛影の云われた通り蔵馬は胸に手をあてがうものの、ニッコリと他者の心に寒々しいものを与えるであろう微笑を浮かべつつ断言してのける。

「愛の成せる業です」

「・・・、そうきたか」

「フフフ。さあ、云い争いもここ迄にしましょう。せっかく貴方との休日なのに。今ココア淹れてあげるから待っててね」

飛影は降参すると共に、蔵馬の隣に腰をおろした。もやもやと、納得出来かねないなにかが飛影の裡に燻っていたものの、不問にしてくれるというのならばありがたくそれをうけとる。下手なお仕置きよりはるかにマシというものだ。だが、しかし、・・・

渋々ながら飛影はソファーへと腰を落ち着けると、反対に蔵馬は立ち上がりキッチンへと向かう。やがてやわらかな甘い香りが部屋中を包んだ。

「はい、ココア」

「・・・」

「なに?まだなにか云い足りない」

「・・・。なんか、落ちつかない」

「?」

「貴様、不能になったのか」

あまりに突然のことで、蔵馬は呑み始めたばかりのコーヒーを思わず噴き出してしまうという失態を演じた。

「汚ない」

「貴方が変なことを云うから」

「?」

判ってない、し。そんなにきょとんとしなくとも。却って傷口広がるじゃないか。

しかし、今のセリフを考えてみれば彼のなかの自身はとんでもなく腹黒像に聴こえてしまう。そんなに意地悪してきたつもりはないんだけどなあー。確かに、始めは強姦したっちゃたけど、他に向けられる視線に嫉妬しては押し倒してきたけど、雪菜ちゃんと話しをするたびにその見つめた回数だけ嫌みを云ったりもしたけど、幽助たちと手合わせするたびにヤキモキしてあたったこともあるけど、好きと云ってくれない悲しさから無理矢理云わせたこともあるけど、百足に会いに行くたびに、周囲に対し牽制次いでに飛影に密かに思いを寄せていた輩を葬りさったりもしたけど。全部愛情だったんだけどなあー。などと、自分流に解釈する蔵馬であった。ばかりか、項垂れ悲しげに飛影に訴えた。

「なんか、心が痛い」

「貴様、たぶん間違ってるぞ」

「でも、そう、フフフッ」

殊勝な態度を一変するかのようなその乾いた笑い声に、飛影は訝しげに蔵馬を見つめ返した。

「・・・?」

「そんなに貴方俺に襲って欲しいの」

「ば、バカ、違っ!」

「もう、照れ屋さんなんだから、フフフ。可愛い」

「いい加減俺の話しを正しく理解し聴く能力を身につけろ、貴様は!」

「そんなつれないこと云って、ホントは襲って来なかったから淋しかったんでしょ。それとも、不安になったのかな。貴方への気持ちがなくなったって」

「ッ!ば、だ、誰がそんな!」

「クスクス、おいで。お望み通り抱いてあげる」

マグカップをテーブルへと移すと、その細腰を持ち上げ自身への膝の上に。ちょうど向かい合う態勢に、飛影は白皙の頬を紅色へと代えた。

「・・・、なんか、癪にさわる」

「フフフ。可愛い、飛影」

先ほどと同様、黒いミニスカートのなかへ手のひらを忍ばせる。柔らかい太ももを充分に堪能した後、スルリ、と、下着のなかへと。そこには、愛液に濡れレースの下着を窮屈そうに押し上げているものがあった。綺麗なレースは、テントをはりそこから流れるもので滲みを造っていた。蔵馬は鈴口から零れ続けているそれを指先ですくいとると、引き締まった双丘へと向かう。わり開き、ピクピクと物欲しげに蠢く小さな孔のなかへとぷつりと入れた。

「やぁ、・・・、んんっ!」

「飛影、そのまま腰をあげてごらん」

ソファーに膝をたてるように腰をあげた。それを追うように蔵馬の指先が深く侵入してくる。奥ゆかしいく隠れている痼を蔵馬は簡単な見つけだすと、そこを激しく刺激し始める。それが合図かのように、飛影の甘えた切ない嬌声が零れ落ちるのだった。

「ひぁ、ンッ、・・・ああ」

飛影は気づくと蔵馬の首筋に腕を廻し、自らすすんで腰を揺らしていた。蔵馬は下着を僅かにずらしたのみで、隙間からはにちゃにちゃといやらしい水音を伴って飛影の愛液が蔵馬の美しい指を濡らしていた。

「やぁ、あん、も、・・・、もう」

「イキたいの飛影」

コクコクと懇願し、蔵馬はその姿を確認すると共に、唇の端をあげ妖艶な笑みを浮かべた。それに伴ってなかの指を更に激しいものへと代える。涙を滲ませながら飛影はついに下着を濡らした。

「あああー!」

「クスクス、ぐちゃぐちゃになっちゃったね」

誰がしたんだ!そう、罵声を浴びせたいところではあるものの、その蔵馬の手管に堕ちたのは他ならない自分自身であることを思いいたり押し黙るみちしか飛影にはなかった。だいたい、こんな女の格好のままヤるな。

「クスクス、今更睨んでも遅いよ飛影。俺を煽った責任はきちんととってもらうから、ね」

「・・・、ッ!」

なんたる云い種か!だのに、もう、赦してしまっている。そればかりか、この先を望んでしまう。ずいぶんとこの狐に甘くなったものだ。

蔵馬は飛影の絹のレースの下着の上から、硬度をまたもち始めた飛影のそれを包みこむ。

「やぁ!んんっ」

「クスクス、こんなに汚して、悪い子」

「あん、やっ・・・、そこばかり、やだ、また」

「ダメ。1人でそう何度もイかないの」

「ひぁん!」

蔵馬は出口を塞ぐと同時に、窮屈な自身のそれを外気へと曝す。飛影の恥態にそこは既に破裂寸前だった。ピクピクと待っているそこにあてがうと、蔵馬は唇の端のみを意地悪くつり上げてみせた。

「自分で奥に入れてごらん飛影」

「!や、む、あっ、無理」

「先っぽだけ入ったこの状態の俺もつらいんですよ。ほら、速く」

蔵馬は意地悪く腰を揺らし催促する。甘い嬌声をあげた後、飛影は涙で頬を濡らしながらゆっくりと腰をおろしてゆく。慣らされたそこは、待ち焦がれたかのように蔵馬の硬いものを呑み込んでゆく。苦しみを感じながらも、蔵馬のその熱い楔が己のなかに入ってゆく快感の方が上回り、抑えきれない声が幾つも零れては、蔵馬を楽しませていた。

「んんっ、はぁ・・・、ふぁん。は、入った、ぞ」

「温かいね、貴方のなかはいつも」

「う、五月蝿い!ごちゃごちゃ云う前に動け!」

「それじゃ遠慮なく」

「あああー!」





数日後──

「いやー、おめーらのおかげだべ!」

「そう。それはよかった」

「・・・。な、なんか怒ってねーか蔵馬」

「はあー。怒ってませんよ。強いて云うならば」

「な、ならば、なんだべ?」

凍矢と念願叶って恋人同士になれたのだ。おまけにあんな可愛らしい姿も拝めた。これもひとえに蔵馬のおかげに他ならない。自分たちに出来ることなら協力を惜しまない。そう、意気込んで蔵馬に尋ねる陣だった、が。返ってきたセリフに言葉を失うことになるのだった。

「俺としたことが、お仕置きに夢中になって“お帰りなさいご主人様”と、飛影に云わせるのを忘れたんです!ああー、妖狐蔵馬一生の不覚、絶好の機会だったのにー!」

めそめそしくしく涙ながらそう嘆く蔵馬だった。

「・・・」

うん、オラ間違ってねーべ。やっぱり、蔵馬ムッツリだべ。

陣は、始めて心の底から飛影に同情をよせたのだった。










Fin.
2012/4/29
Title By たとえば僕が

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