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The dear devil was found. It is destiny to love it if it is destiny to fight again. Oh, you are my fallen angel.




傲慢な愛情の囁き act.1


※R要素があります。もう、1度ご確認。お姉さんは18歳以上ですか?OKな方はスクロール。















“妹”、ね。

その瞬間、蔵馬の笑みが零れた落ちた。しかし、それは、どこか見る者の心を寒々しくさせる奇妙な笑みであった。

思いもよらなかったな。蔵馬は飛影との出会いを脳裡に浮かべた。敵と勘違いされ刃を交えたあの日。意識のない彼から、女の名前を聴かされ、随分と驚かされたものだ。あの日から1年と数ヶ月。あやふやであった気持ちが、しだいしだいに輪郭をみせ、今ではその思いで満たされている。まかさ、冷血で冷酷であると謳われてきたこの自身が、誰かに心酔し、その彼の為ならば例えどんな卑怯な手をつかっても生きたい、彼の傍らに帰ることが可能ならば、血の流れる無惨な姿であろうとも生きてみせる。彼をこの腕で抱きしめる為に。生に対し執着を失った筈なのに、真剣にそのように思う日が来ようとは、昔からは思いもしなかった。愛してしまったから、彼だけを。

その彼の大切な妹。率直な感想は“似ていない”、であった。まさか、こんな美少女で可憐をそのまま具現化したかのような人物が彼の妹とは。しかも双子とは。血の気まぐれ、または悪戯は、人間に限らず妖怪にも適用されるものか、と思ったものだ。もっとも、蔵馬からみれば、どんな美少女であろうが、飛影より可愛いとは思えないのであった。鋭く輝く赤い瞳も、かたちのよい眉も唇も、白皙の肌も、漆黒の艶やかな髪も、そして、意思の強さも、高みを望む姿勢も、憎まれ口を叩く姿全て、蔵馬には至上の宝にみえてならない。桑原君の熱い告白?の類いに、面白くなさそうにしかめっ面をしている顔は、却って蔵馬に愛しさを募らせる。だが、同時に悪戯心が沸き起こるのだった。

暗黒武術会も佳境に入り、残り2戦。人間界へと、応援に来た彼女から治療をうけた。半ば以上は、飛影への意地の悪い意趣返し。幽助だけが、彼女が飛影の妹であると知っていた。そして、飛影自身も彼女のことを自身に黙っていた。そのことは、蔵馬のなかにある、嫉妬に火をつけていたのであった。だからこそ、あえて彼女の治療をうけ入れ、飛影の意識を己へと向けさせた。嫉妬心。どんなかたちであろうと、彼から得られるであろうそれらは極上の媚薬にも値する。この胸の痛みも、彼からの贈り物と思えば苦にはならないから不思議だ。

先ほどの飛影の顔を思い出し、再び意地の悪い笑みが唇を彩る。そして、随分と自身は器が小さいものだ、と、自嘲する。

「クスクス、そんな顔しないでよ。俺が彼女に治療されたの、そんなに気にいらなかったの」

難しい顔をして、そして、面白くなさそうに蔵馬に一閃を投げる。よほど、先ほど彼女に治療されたのが気にくわないらしい。終始、仏頂面を自身の背に向けていたものだ。それとも、“両方”であろうか。彼から、愛情を感じない訳ではない。あれほど頑なであった彼の心が、今では別のなにかを自身へとうかがわせている。でなければ、この矜持の高い彼が躰をひらく訳がない。だが、そうとはっきり指摘すれば、彼は耳迄紅潮して自身への思いを簡単に否定するであろう。まあ、そんなあまのじゃくなところが、また可愛いいんですけどね。

「気安く雪菜に触れるな!」

尊大な態度で云っているわりに、違和感がまとわりついていた。声にもいつものハリがうかがえなかった。それに気づき、嬉しさから破顔してしまう。だから、つい意地の悪い質問を投げかけてしまう。

「クスクス。どっちにヤキモチ妬いてるのかな?」

悪戯っぽく唇をあげつつ問う、すると、思った以上の反応を返してきた。顔を真っ赤に染め上げ、言葉に窮している。得意な舌打ちさえ失念してしまったらしい。痛いところをつかれた彼は、驚愕することさえ追いつかないほどであった。その様は更に蔵馬を高揚させた。

「俺に?それとも、俺に触れた彼女にかな?」

「・・・、う、五月蝿い!兎に角、雪菜に近づくな!」

おやおや、甘いお兄さまだこと。それとも、自身が彼女に手を出すとでも本気で心配しているのか。だとすれば、飛影には充分判らせないと。貴方しか愛せない男になってしまったのだと。

どんな美少女であろうが、例え他人から絶世の美女と謳われる者であろうが、蔵馬にはその他の小石にしかみえはしない。云い寄ってくる女も男も、飛影の前では欲にまみれた醜い獣にしかみえなくなっていた。飛影を好きになってから、こんなにも自身は執着心が強かったのかと知ったのだ。かつて盗んできた宝さえ、盗んでしまえば興味を失っていたというのに。それなのに、彼に近づく者全てに嫉妬心さえ覚えるのだった。それが、例え彼の大切な妹であっても。いや、血をわけた妹だからなのだろう。その嫉妬は根が深く深刻を極めた。一瞬ではあるが、明確な殺意を抱くほど。

昔を知る者が今の自身をみたら、はたしてなんと云うであろうか。何人もの女を囲い、その全てを平然と棄ててきた。男とて同様だった。邪魔になれば、容赦なく切り棄ててきた。他人に向ける愛情など、歯牙にもかけずそれらを一蹴していたにも関わらず。それが、このざまだ。そんな想像をし、人知れず笑みが零れた。

「ねえ、どっち?俺、それとも彼女」

尚も彼に尋ねる。可愛い可愛い貴方。でもね、飛影、俺は本当は心が狭いんだよ。貴方に関する限りは、ね。

たった今閉めたドアに右手をあてがい、彼をそのドアを背に背水の陣へと追いこむ。そして、その耳に意識して低く囁く。彼が自身の声に弱いと知ったうえでの行動だった。案の定、彼は肩を震わせ瞼を閉じた。小刻みに睫毛が震えるさまも可愛らしくて堪らない。

「ねえ、飛影、どっち?答えてくれないと悪戯するよ」

発言と共に、スルリと彼の下半身を撫で上げた。まだ硬さを成していないそれを手のひらで包むようにし、人差し指の先で先端部を軽くノックした。

「あッ!」

途端に、甘い声が唇からもれた。

「クスクス。云わないとこのまましちゃうよ」

「やぁ・・・、んん」

「ほら、どっちなのさ」

優しく撫で始めていたものを、しだいに強弱をつけ飛影を追いつめていく。漆黒の短い髪が、自身の胸の辺りで左右に嫌々をするように振られれる。それにともない、彼の分身が徐々に成長し始めてゆく。布の上からかたちを確かめるように、そこばかりを弄る。時折敏感な先端部を引っ掻く、すると素直に躰が反応を返す。飛影の躰が小刻みに震え始めた。もじもじと、頼りなげに足を動かし、その隙を狙いすましたかのように、蔵馬は膝をその足の間に入れた。膝を器用に使い、飛影のそれを数度下からぐりぐりと刺激すると、かん高い甘い声と共にはてた。

「ぁふ・・・、き、貴様」

潤んだ瞳と声で凄まれても、煽る材料にしかならない。

「フフフ。濡れちゃったね。脱がしてあげる」

ベルトに指をあてがい、殊更彼の耳を刺激するようにゆっくりと外してゆく。布が肌を通りすぎてゆく僅な刺激をも飛影は敏感に感じとってしまう。下着を脱がせると、先ほど達したものが淫らな糸をひき、特有の匂いが辺りを占めた。項垂れているそれを直に触れると、にちゃとした感触が手のひらいっぱいに広がる。その滑りを飛影のそれに擦りつけながら輪のなかで飛影のそれをまたもや育ててゆく。

「ああ!ひぃん、・・・ぅふ」

「クスクス、そんなに声出したら廊下に聴こえちゃうよ」

ギョッとなり、飛影は慌てて手のひらで口を塞ぐが、蔵馬は手を動かすことを止める気配はなく、そればかりか、いっそう激しくそれを弄る。先端からは我慢汁が後から後から流れ落ち、蔵馬の彫刻のように美しい指を濡らしている。恥ずかしそうにそこに視線を落とす、すると、自らの愛液に濡れた蔵馬の手が映り、淫靡な光景に羞恥でカッと躰が熱くなる。だが、襲ってくる波に逆らえなくなっていた。しかし、それでも尚、蔵馬に制止を求めた。無駄に終わると判ってはいたが。

「だ、だったら、んん、・・・、止めろ」

「止めてもいいの?これ。このままで辛いの貴方だよ、ほら」

「あああー!」

「フフフ」

ぐっしょりと濡れた手のひらを、そのまま睾丸を通過し双丘のなかに隠れている赤くヒクつく蕾へと伸ばす。

「あっ!や、やめ」

飛影の制止の言葉より速く、中指の指先をつぷりとその熱いなかへと侵入した。

「ふぁ、んんッ」

「クスクス、貴方のなかはいつも熱いね」

入り口を広げるようにくにくにと擦る、それと共に甘い喘ぎが蔵馬の耳に入り込む。それに気をよくした蔵馬は、更に1本を滑り込ませ、硬い蕾を左右に割り開いてゆく。濡れた指先を深く差し入れ、熱い腸内を激しく出し入れし硬い蕾を解してゆく。

「んん、あっ」

「フフフ、ほらここ」

「ひぃ!んぁ」

前立腺を指の腹で刺激すると共に、彼の躰が仰け反った。白皙の喉仏がのぞき、誘われるがままそこに舌を這わせた。強く吸い付くと、所有の証のように赤色の花弁が舞った。

その瞬間、飛影の躰が弛緩しドアの方へと躰が傾いた。飛影の躰が隙を見せるのと同時に、蔵馬はその躰を反転させ、腰を自身の方へと引き寄せた。ドアに手をつき、腰だけを蔵馬へと差し出しているその格好に、当然ながら飛影は慌てたが蔵馬は意に介さなかった。そればかりか、口元には妖しい笑みさえ浮かべていた。

「やめ、ああー!ひぃん」

硬く赤黒い先端が、そのとろけ始めた蕾へと入ってゆく。赤く熟れた襞がひくひくと開き呑み込まれてゆく様子に、蔵馬は更に笑みを深めた。だが、全ておさめるより速く、その先を外へと出した。蕾は後を追うように収縮を繰り返し、蔵馬の先端から出た愛液と腸内から溢れ出た卑猥な水音をたてながらその孔から流れ落ち、飛影の内腿を淫らに濡らしてゆく。蔵馬は意図して、自らの先端部だけを繰り返し繰り返し出し入れをし、蕾を花へと代えていった。だが、決定打とはしなかったのである。

入り口の辺りだけが開かれ、その奥へとは入ってこない。その焦れったさに、蔵馬の意地の悪さがうかがえ舌打ちをしたいところではあったが、もはや躰は飛影の意思を裏切り反逆者へと代わり始めていた。なかを突いて掻き回して欲しい。しかし、そう簡単にそれを口にのせるには矜持が邪魔をした。首だけを後ろへと向け、嫌みな微笑を浮かべている蔵馬へと飛影は潤んだルビーを向けたのだった。

「く、蔵馬ぁ」

「なに?飛影。はっきり云わないと判らないよ」

奥への刺激を望んでいると承知した上で、蔵馬は意地悪く飛影に問うた。

その時だった。ドアの向こう側で1つの気配が動いた。蔵馬はそれが誰であるかを悟ると、その口元の笑みを更に妖艶なものへと変質してゆく。あるいは、その微笑は、死神から死を宣告される時に見せられるものに似ていたかもしれない。

「飛影さん、蔵馬さん」

雪菜!?

ドアごしに妹の声を聴き、飛影の躰は硬直する。ドアを開けられでもしたら、そう考えると悪寒さえ走った。

「ひぃっ!あああー!」

「飛影さん?どうかしましたか大丈夫ですか」

ドアの向こう側では、突然の悲鳴に慌てる雪菜の気配がしている。ノックをする手も慌てて心配していることをうかがわせた。しかし、それに応えたのは、苦しみとやっと与えられた快楽に酔っている飛影自身ではなく、与えている側の蔵馬からであった。

「大丈夫ですよ、雪菜さん」

腰をグラインドさせながら、蔵馬は白々しく会話を続けてゆく。飛影はというと、片手をドアへ、片手で唇を覆い、後ろから絶えず突き上げられる刺激に必死に耐えている様子だった。

「でも。あの、お辛そうな声が」

「薬草がしみてちょっとびっくりしたみたい」

「薬草、ですか。・・・、あの、やはり飛影さん怪我をなさっていたんですね。でしたら、私やっぱり治療したいのですが。お手伝いさせてもらえないでしょうか蔵馬さん」

蔵馬は飛影の耳へ語りかけるように、小さな声で確認をとった。

「クスクス、だって、さ。どうします飛影?ドア、開けようか」

「んん、ふ、ふざけるな、うっぁ、貴様。あっ、あああー!」

「飛影さん!?大丈夫ですか」

「・・・、クッ、あっ。大丈夫、だ、俺に構うな」

ドアごしに聴こえてくる彼の声は苦し気であり、雪菜の心に霜を降らせるには充分だった。

「でも飛影さん」

「ふっぁ、お前の治癒は、んん、俺には必要じゃ、ない」

「・・・、で、ですが」

「っぅ、く、蔵馬が、はぁ、いるから。お前は、うぅぁ、他の奴らだけを、心配してろ」

「・・・。ごめんなさい」

──“蔵馬”がいるから。

勇気を振り絞り、ここに立つことを決心したことが、今となっては悔やまれてならなかった。能力ではなく、自分自身の存在を否定されたように感じとり、雪菜はドアの前で涙を浮かべた。1粒で何億となる至高の輝きを。だがしかし、雪菜は唇を噛み締めると共に、その雫を呑み込んだのだった。

どうして、あの方を兄だと思ってしまったのだろうか。判らない。心証だけだった。なんの証拠も確証もないままに。助け出された際、何故ともなしに信じてしまっていた。疑うことさえしなかった。そして、この手を必要としてくれると。嘘をつき、国をまたもや飛び出して迄。・・・、馬鹿、ね、私ったら。あの方にとって、自分はその他大勢のなかのちっぽけな1人に過ぎないのに。どこかで自惚れていた。なんと恥ずかしく愚かなのだろうか。本当、馬鹿な私。あの方には、既に他の方がいる。その方はおそらく、今あの方の目の前で治療をしているのだろう。深い翡翠の瞳が、あの方を優しく包むように。きっと、私に出来ることは、ただ黙っていることだけ。静かに、いつまでも静かに。

ドアの向こうの気配が消えてゆく。それを確認し、蔵馬は優しく飛影の耳へと囁いた。誰からも魅了されるその低く甘やかな声で。悪魔にも劣らぬ旋律を孕んで。

「クスクス。よく出来ました、飛影」

「貴、様!あああー!」

「ご褒美だよ」










Fin.
2012/3/14
Title By HOMESWEETHOME

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