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The dear devil was found. It is destiny to love it if it is destiny to fight again. Oh, you are my fallen angel.




凍て蝶 act.3


※R要素があります。もう、1度ご確認。お姉さんは18歳以上ですか?OKな方はスクロール。














奇淋の舌が全身を這う。時に強く肌を吸われ、そこには、赤い痕跡が刻まれる。感じまいと首を左右に振るものの、薬によって躰は意思を裏切り続けた。

もとより、手足の自由は奪われたも同然であり、先ほどのように奇淋を殴りつけることは叶わない。ばかりか、反抗を試みようと手足を動かすも、その僅な振動さえも蔵馬の鞭は敏感に察し、更にきつく締め上げる。結果、シーツには四方に血の海を、飛影の躰には快楽を与えていたのである。

「ヒィっ!や、・・・んん」

ねっとりとした感触が飛影の双丘をわり、後孔に触れたのだと知り戦慄いた。今、同じ男に犯されているのだと思うと、瞳から溢れるものが止まらなかった。悔し涙というものを、飛影は生まれて始めて流していたのだった。なのに、躰は速くも薬に順応し始めており、飛影の意思は神経をも裏切りをみせていた。舌先がなかを行き交うおぞましさに、ただただ、声を抑えることしか出来ない。己の下半身は、既に天に向かいそそり、その先端からは解放を望むかのように、蜜をたらし続けている。気持ち悪い筈なのに、感じてしまう浅ましい己。薬によるものだと承知はしていても、それに屈してしまっている己の躰をも呪いたくなった。

その衝撃は突如として訪れた。

「ガッ!・・・、うぅ」

「へっ、指3本も入りやかだった。熱くてスゲー締まるぜお前のなかは」

奇淋は興奮しつつ、指先に力を込めてなかを荒らし続けてゆく。自分自身の指を呑み込んでいるそこを凝視し、指に呼応し蕾が波うつたびに、奇淋のそれも更に高く強度を増す。そのたびに、飛影は躰をしならせ、蜜を出し続けるしか出来ない。グチュリ、と、そこからは淫靡な音が絶えることがない。絡みつくそこに、奇淋は自分自身のものを入れた時の快楽を思い、堪らずゴクリと喉がなる。

なかの痼を見つけ、奇淋の瞳は更に狩人のようなギラギラしたものへと変化した。

「あ、んんっ。・・・、ぅは、あああー!」

飛影の躰は一瞬動きが止まっていた。だが、それは、胎内にたまっていた熱を放出する前触れに過ぎなかった。指を勢いよく抜かれた瞬間、それ迄耐えていた全てが壊れた。聴く者に、甘く切ない声。そのかん高い声と共に、飛影は自らの腹に白濁した液を撒き散らしたのだった。それと共に、引き抜いた場所は収縮を始め、なかへと誘っているかのような動きをみせたのだった。腹から茂みへ、更に、小さな後孔へと、粘った白濁は流れ落ち収縮の隙間を通るかのように、なかへとクプリと吸い込まれてゆく。それは、卑猥な光景と共に、男を充分に刺激する光景でもあったであろう。

弛緩したのもつかの間、飛影の唇からまた悲鳴があがった。両足が鞭を通して更に広げられ、躰を2つ折りにされたからであった。自分自身の今の羞恥の格好を直視するに耐えられず、飛影は瞼を閉じ、無益と承知しながらも蔵馬に懇願した。

「やッ!く、蔵馬、止めろ、イヤだ!」

それ迄傍観者に徹していた蔵馬が、唇を意味ありげにニヤリと吊り上げ、2つの躰を眺めやる。

「クスクス。だって、そのままじゃ奇淋が入れるの苦労しそうだから、手伝ってあげてるだけですよ。大丈夫、直ぐよくなりますよ」

「やめッ!い、イヤだー、グゥ、あああー!」

指などとは比較にならない圧迫に、飛影の躰は悲鳴をあげた。肉が削げ落ちているのか、それとも、肉のなかに蠢くなにかを仕込まれたのか、その判断さえ出来ないほどそれは強烈なものだった。

めりめり、と、小さな蕾は悲鳴をあげたが、薬の効力でたちまちそれは快感へと立場を代えてゆく。入り口が切れたように思えたが、それもほんの一瞬だった。血臭は、もはやどこからやって来ているかの判断も、飛影には不可能だった。そして、その痛みさえ、気持ちがよくて、気づかぬうちに飛影は内部から奇淋のそれを更に強く締め上げてさえいた。

なかに熱く硬いものがある。排泄器官である筈なのに、苦しくて、痛くて、それが動くたびに悔しい筈なのに、この躰は喜びにうち震える。浅ましく、貪欲に。そして、醜く。

ガツガツとなかを突かれ擦られるつど、それに呼吸を合わせるかのように蠢く。やがて、それは、はっきりとした快楽へと席を移し、飛影は気づかぬうちに自ら腰を動かしていた。唇からは呑み込めなかった唾液が零れ落ち、それと共に飛影は切ない喘ぎを続けた。排泄器官であったそこは、完全に黙殺され、今や女のように濡れ締め付けていた。奥を突かれるたびに、擦られるたびに、全神経が淫らな喜びへと代わる。

また下半身に熱が集中し始め、飛影のそこはキュッとなり、腹につきそうなそれには血液と熱い血潮が集結してゆく。またイってしまう。そう思った瞬間、胎内でなにかが弾けた。ドロッとした液体が、奇淋のそれを追うように飛影の蕾を汚した。刹那、何故か幽助のあの笑顔が浮かんだのだった。そして、一筋、雫が飛影の頬を伝いシーツを濡らした。

汚された、・・・

覚悟していたのに、覚悟した筈の気持ちが、脆いガラスでしかなかったのだと知る。

幽助、幽助、幽助。何度も脳裏に浮かべ、赦しを乞う。その行為じたい無意味であると知りながら。

次の瞬間、またしても痛みが飛影を襲った。まるでそれは、飛影の心の裡を読んだ蔵馬の嫉妬のように。蔵馬は、新たな鞭を伸ばし、達し得なかったそれを縛りあげたのだった。無数の棘が飛影のそれを傷つけた。点々と流れ落ちる赤い血と、白濁。悶え苦しむ姿さえ、妖艶に映っていた。

「イッ、グ、ァあああー!」

「フフフ。痛くはないでしょう。気持ちよさそうですよ、飛影。貴方の血と混ざってとても綺麗な色合いだよ」

イキたいのに、イケない。棘が徐々に深く刺す。なのに、こんな屈辱のしたで、それが別のものへと代わっていくのを止められない。熱を放出出来ない痛みも、とろけてしまいそうだった。

「なにしてる、速く続きをしたらどうだ」

蔵馬の行為に絶句していた奇淋は、その蔵馬の冷ややかな一瞥に、いい知れぬ恐怖を感じていた。先ほど迄感じていたセックスの高揚は、その一瞥で粉砕されていたといえた。こうして、飛影を犯させておきながら、本心は別のところにあるのではなかろうか。先ほどの冷たい翡翠。あれは、嫉妬の焔を凍らせたものではないか。そうは思うものの、奇淋は結局蔵馬に従う術しかなかったのだった。

2度、3度と続けざまに奇淋は蔵馬に云われるがまま、その後も犯し続けたのだった。飛影が失神する迄その饗宴は続けられたのだった。





※ ※ ※





重たい瞼をゆっくりと開く。夢だったのだろうか、あれは。だが、躰を起こすと、あらぬ場所が悲鳴をあげた。左手は、刀で貫かれた為熱を持ち始めていた。包帯が綺麗に巻かれていることに、忌々しく舌打ちをした。まるで、先ほど迄のことをそれは誇示しているかのようで、胸焼けに似た感情が押し上げてきた。躰のあちこちに残る赤く醜い跡。その全てが汚なく見えてならなかった。躰を庇いながら、辺りを見渡す。己の部屋にいることに、驚きを隠せなかった。あのまま、奇淋の部屋で蔵馬に監禁されるか、放置されるものだとばかり思っていたがゆえに。

あれからどれくらいの時が流れたのであろうか。忘れたい記憶が蘇り、飛影は唇を噛みしめた。

その時であった。ドアが開き、悠然と蔵馬が現れた。射殺さんばかりの眼差しを飛影は蔵馬に向け対峙したが、蔵馬はそれには一切動じる気配はなく、常の穏やかな微笑を浮かべていた。まるで、先ほど迄の出来事は夢物語であったかのように、それは慈愛に満ちてさえいた。それゆえに、いっそう飛影は警戒感を募らせた。

「クスクス、怖いなあー、そんな顔しないでくださいよ」

「・・・。幽助には」

その名を飛影が口にした途端、それ迄蔵馬を覆っていた穏やかな気配が一変した。底が見えない、狐独特の瞳が飛影の姿をとらえていた。他者を畏怖させ、屈伏させるなにか。あるいはそれは、独裁者にも似ていたかもしれない。

「フフフ、約束ですからね。貴方が幽助を思って自慰をしたことは黙っています。」

ゆっくりと飛影が半身を起こしているベッドへと近づき、蔵馬は奇妙に唇の端をあげた。刹那、飛影にまたしても悪寒が走った。そして、予感とは、得てして悪い方へと当たるものだと思い知らされるのだった。

「でも、俺、あの時“これは”と云いましたよね」

「・・・、な、に」

どういう意味だと、飛影が問い質す前に、蔵馬は懐から1枚のDVDを差し出したのだった。

まさか!?

瞬時に飛影の顔色が代わる。

「クスクス、そう、ご明察の通りですよ。さっきの貴方たちのセックスを録画したものです」

「貴様!」

「どうしようかな、“これ”?」

「また俺を脅す気か!」

「人聴きの悪い。取り引きしましょう、と持ちかけているだけですよ」

同じことではないか。なんたる云い種か。不遜で、慇懃無礼な蔵馬が本質であるのだと、飛影は改めて思い知る。穏やかな一面など、所詮は蔵馬の表面を覆っている薄い皮膚に過ぎない。

「・・・」

「フーン。黙秘、ね。そういう態度とるんだ」

蔵馬は、その録画したものをコピーしメールで即座に幽助のパソコンに送れる準備迄していたのだった。殊更みせつけるかのように、キーの上にそのしなやかな指先を置き、美しい微笑みをみせた。

「これを押すだけで、さっき迄の貴方がたのセックスが幽助に知れますよ。そうそう、桑原君家のパソコンにも同時に送信するようになってます。彼女、最近螢子ちゃんとメールのやり取り覚えたんだってね。驚くでしょうね、貴方が男に犯されてる動画を見たら。実の兄だと知るよりも強烈だ」

「・・・、っ!」

「そう、また黙秘か、残念」

「ま、待て!・・・。なにが、望みだ」

「クスクス。なあーに、大したことじゃありませんよ。俺に抱かれて」

「な、なんだと?」

今、なんとこいつは云ったのだ?飛影の脳裏はもはや恐慌の嵐の直中に追いやられたのだった。

「簡単じゃない。さっき散々奇淋のを美味しそうに銜えこんでいたじゃないですか」

「あれは、貴様が!」

薬で。そう、続けるより先に蔵馬に遮られた。

「そう、断るんだ。じゃ仕方ない」

蔵馬は指先に力をこめようとした刹那、飛影の悲鳴に近い制止の声だけが虚しく室内を圧した。蔵馬はそれを待っていたかのように、薄く微笑んだ。

「・・・、判った、貴様と寝てやる」

「フーン、寝て“やる”、ね」

その蔵馬の口調は、飛影に新たな屈辱を植え付けるに充分であった。誰が誰より上かを、誰が誰に命令しているのかを、それは示唆していた。それを察した飛影ではあったが、逆らうことは同時に最悪の結末を生じさせることも判っていた。全身の血が怒りで震えた。だが、大人しく従うしか術はなく、飛影は結んだ唇から新たな血を流すことしか出来なかったのである。

「・・・れ」

「なに。聴こえないよ、飛影」

「抱いてくれ」

「フフフ。そうそう、そうやっておねだりしてくれれば、抱いてあげる」

蔵馬の腕のなかにいる己が、酷く小さな存在に思えた。

蔵馬からは、甘く香しい花の匂いがした。だが、しかし、飛影にはその匂いは毒素の香りがしてならなかった。1度でもそれを嗅いだら、誰も知らぬ死後の世界を彷彿させるであろう香り。捕らえられてしまった。逃げ場のない迷宮へと。この美し過ぎる狐に。

「そんなに固くならないで。優しく抱いてあげますから」

貴方のなかから幽助が消える迄、何度も、何度でも抱く。それによって、例え、貴方が壊れようとも、構わない。憎むならばそれでもいい。卑怯者と詰られようとも、悪魔と罵られようとも厭わない。貴方を幽助にだけには渡さない。絶対に渡さない。

始まりの口づけは、血の味がした。










2012/2/20

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