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The dear devil was found. It is destiny to love it if it is destiny to fight again. Oh, you are my fallen angel.




砂上の楼閣 act.2


※R要素が含まれています。もう1度、ご確認。お姉さんは18歳以上ですか?OKな方はスクロール。















それらを、影で息をひそめ見ていた者がいた。その者は、漆黒の髪は肩を通し腰へと美しい曲線を描いており、瞳の色は誰をも魅了する美しい翡翠の宝石を有していた。それとも、妖しく光る金褐色であろうか。男の名を、妖狐蔵馬といった。

耳を疑った。目の前におきている光景をも。

何故、彼を追おうなど思ってしまったのだろうか。まだ間に合うのではなかろうか。この切ない迄の思いを伝えれば、彼はなにかしら反応を示すのではないか。彼ほど矜持の高い者が、易々と同じ男に組み敷かれる。その意味はなんであるのか、・・・。その一筋の光にすがった結果が、これか。これほど迄に愚かしい、また、滑稽な光景を目にするとは。足元が崩れ去る音をどこかで聴いたように思えた。躰の震えが可笑しなほど止まらない。躰を支えている幹さえも、自身の思いが伝わっているのか、ざわめきだっていた。今、自身が地に立っていることさえ不思議だった。どう転ぼうが代わらない歯車。今、目の前で起きている現実は貴方を求め続けた罰なのであろうか。とり去ろうと、奥に鍵をかけようと、滑稽な迄に思った幽助への黒い焔。それは、全て徒労に、そして、絶望へと席を譲ったのだった。

やはり、彼の存在が貴方の全てであり、自身は貴方にとってなんら益する存在ではなかったのであろうか。貴方はやはり振り向いてはくれないのか、ずっと、永遠に・・・

蔵馬に、諦めの吐息が零れ落ちた。それとも、絶望の吐息であっただろうか。溢した本人さえも、その判別は難しく困難を極めていたことだけは確かなようであった。そして、誰にも告げることのない誓いを己だけにたてたのだった。その場を去るその背に、哀しみの色をたたえて・・・

「飛影」

「なにも聴くな。・・・、抱いてくれ」

蔵馬に触れられた場所全て返すから。1つ1つ、その場所にはお前への蔵馬の思いが折り重ねられている。熱く狂おしいくらいに。これ迄、不当に独占してきてすまない。赦してくれ蔵馬。全部全部、幽助、お前に返すから。だから、だから、蔵馬。お前を、お前だけを思い続けてゆくことだけは赦してくれ。それだけは赦してくれ。

もう、お前が幽助を見ていくことに、その思いや気持ちをみたとしても感じたとしても、嫉妬などしないから。幽助を羨んだりなどしないから。耐え続けていくから。

「・・・。それでおめーはいいのか」

心を見透かしたかのようなセリフに1つ頷き返す。

「かまわない」

光沢のある飛影の髪に、幽助の唇が舞い降りた瞬間だった。触れてくる優しい手、それに己の手のひらを絡め目を閉じた。

蔵馬のように手慣れた様子がない愛撫。服さえももどかしいと思えた。躰のラインを確かめるだけのささやかな愛撫なのに、吐息が熱をおび始めていた。

「んっ、幽、助」

「どうして欲しい?おめーの望むように抱いてやるよ」

「・・・。激し、く」

なにもかもを奪うくらい。蔵馬が触れた場所から、蔵馬の匂いが、思いが、全て消えるくらい激しく。でなければ、未練がましく祈ってしまうから。この思いがもしかしたら叶うかも知れない、と。

幽助の顔に己の手のひらをのせた。躊躇いが微かに残っているその瞳に、始めて蔵馬以外に抱かれるのだという恐怖が小さくではあるが飛影のなかで沸き起こった。それを消し去るように、幽助の唇に自身のそれを重ね合わせた。始めてだった。自発的に他人を求めたのは。蔵馬にさえ、口づけを赦さなかった筈なのに。自暴自棄とはこうしたことを指すのであろうか、と、頭の片隅でぼんやりと思った。

気づくと下着以外の衣服は脱がされており、幽助の胡座の上に足を広げていた。首筋にチクリ、と、痛みに似た感覚が迫る。ふるり、と、あわ立つような心地よさが躰をかけあがる。

「んっ、ふ、・・・」

蔵馬の手管によって、躰は代えられていたのだと今更ながらに悟らざるを得ず、羞恥でカアッーと飛影の白皙の肌が美しく赤みがさす。

その様子に、幽助は思いの外自分自身が昂りをみせていた。ジーンズのなかで、窮屈そうに出口を求め蠢き始めていた。かたちのよい綺麗な鎖骨、胸の左右に鎮座する赤くぷっくりとした乳首に次々と唇を移動した。片方をこね指の腹で擦り合わせ、もう片方を丹念に舌先で転がし嬲る。すると、ほんのりと飛影の躰から芳しい匂いだち、それは自身の半身へとより誘導される。しなやかであり、きめの細かい肌触りは、充分以上に幽助の性欲への起爆剤となった。

これ迄も戦闘の際に見てきた肌が、これ迄とは違った意味で幽助の目の前に惜しみなく曝されている。

不思議と嫌悪感はなかった。寧ろ、飛影の躰を綺麗だと思えた。白皙の肌に跡がつく様を、新雪に自分自身だけの足跡のように美しく映える様は扇情的であり、期せずして幽助は喉の奥が渇く。筋肉は思っていた以上に細くしなやかで、とても剣を素速く振り回すとは思えないほどだった。

「あっ、・・・、ふぅん」

甘く感じいるその声さえも、可愛く思えた。もっと聴きたいとさえ思えた。そして、飛影のなかにあるなにかを救ってやりたかった。こんな手段でしか、裡にある葛藤をあらわせない飛影を、憐れとは思わなかった。ただただ、この時愛しいという感情だけが幽助の心を支配していたのである。

「気持ちいいか飛影」

そんなことさえも判らなくなりつつあった。薄い靄がかかり、躰は熱くなる一方だった。

背に廻された手のひらが優しく上下に動くたびに、飛影の顔から普段の鋭利な剣が退場し、とろけるような甘い顔つきになる。

下着の上からそれをしごかれ、にゅちゃにゅちゃとしたはしたない水音が聴こえる。幽助の少しごつごつした指先が、飛影の尻たぶを広げながら下着の薄い布ごと後孔に食い込む。第1関節しか入ってはいないのに、前から滴り流れる愛液が裏筋を通り道とし後孔迄濡らしていた。布の摩擦と幽助の指が、今迄感じたことがない感覚を生み出し、飛影の唇から嬌声があがる。その場所を赤く染め上げ締めつけながら、幽助の指を更に奥へ奥へと誘っていた。そして、幽助はそれに応えるかのように指を2本へと増やし、なかを時に優しく、時に強く解してゆく。最早、下着は飛影の愛液のみで形成されているかのようだった。

下着の隙間から直接その後孔をまさぐる。円を描くようにもどかしげになぞっていると、我慢出来ないのか、無意識に飛影のそこは収斂しなかへなかへと誘う。その呼吸に合わせ、幽助は指をまたしても増やし、挿入を繰り返す。

「あっ、・・・、ふんっん」

「飛影腰あげて木に手つけ」

霞みゆくなか、幽助の言葉に従いおずおずと立ち上がる。それに伴うように、下着を下ろされ幽助の眼前に自分自身の昂ったそれが天をあおぐように、愛液を滴りながら曝される。瞬間、カアッー、と羞恥が襲う。

先端に柔らかな感触が伝わり、幽助の咥内へと導かれたのだと判る。条件反射で、思わず腰をゆらゆらと動かしていた。止めどなく小さな穴から愛液が溢れ、幽助はそれらを愛おしむかのように吸い全てを飲み込む。思わず視線が下へと向く。そこには、根元に手のひらで自身のものを支えつつ頬張り、後の穴をまさぐりながら、頭を舌をあますとこなく動かす幽助がいた。始めて見るその光景に、違和感と罪悪感に似た感情が沸き起こる。こうして欲しいと幽助に願っておきながら、まだ、心のどこかで蔵馬を思っている自分自身は、おそらくこの世で最も愚かな部類に入るのだろう。

指の太さが違う。挿入の速さもリズムも違う。なにもかもが蔵馬の動きと違う。なのに、それでも感じる醜い躰。嬌声さえも抑えることが叶わない。

「ふぁ、・・・ひぃん。や、も、もう」

飛影のそれは収斂し、小さな穴から勢いよく飛沫が飛ぶ。イってしまった余韻で、足腰がガクガクと震え、木についている手のひらが地面と飛影をかろうじて防いでいた。

幽助は舌先でもって己の唇の回りをひと舐めし、飛影の液体を一粒も漏らさぬように咥内へと運び入れる。

充分に解れた後孔は、なかの腸液も手助けし、これ以上ないほど蠢き幽助を誘っているかのように見えた。自分自身でも、その動きが判ってしまうほど。恥ずかしいと思う一方、幽助にこれ迄蔵馬にうけたもの全て返さなくては、という気持ちが潮騒のように胸をざわめきただせていた。

「飛影そのままゆっくり腰落とせ」

嚢丸を己の手のひらで持ち上げながら、もう片方の手のひらで尻たぶを広げつつ、その場所に向けてゆっくりと腰を落としてゆく。収縮し、ほんの僅かに捲れあがったそこに、幽助の太い剣先が幽助の滲み出ている愛液とともにあたるのを感じる。

その時、ほんの一瞬蔵馬のあの微笑が浮かんだ。

飛影は頭を左右に振ることで、無理矢理その姿を脳裏から追い払う。未練がましい自分自身を、それは否定するかのようでもあり叱咤するかのようでもあった。

躊躇いをみせた飛影の腰を掴み、幽助は蠢くその坩堝に昂った己を穿った。

「ヒ、アアー!」

待っていたかのように飛影のそこは幽助自身を包み、よりいっそう締め付けた。なかを突かれ肉と肉が擦れあうたびに、飛影の甘い声が木霊する。互いの荒い呼吸だけが耳に入り他の小さなものは一切が入らなくなりつつあった。

「あッ、ゆ、幽助」

前も一緒に擦って欲しい。乳首ももっと舐めて吸って欲しい。それらの願いを口にのせるのに羞恥心が邪魔をした。だが、幽助には充分に伝わっていた。後ろに太いものを穿たれながら、幽助の手のひらに包まれた瞬間、飛影の躰が弓なりに仰け反る。背を手で支え、その飛影の白い首筋に、幽助は惜しげもなく赤い花びらを輝かせた。

「あ、・・・。んんっ」

また押し寄せてくる感覚。幽助のものが角度を代えた瞬間、背中から突き上げられる感触に全身の毛穴という毛穴があまりの気持ちよさに総毛立つ。幽助のものが胎内で質量を増し、尚も突き上げられる。腸内のうねる息吹さえも、幽助に聴こえてしまっているのではないか。

「ヒィァ、・・・、あん」

幽助のものがそこを突き上げ擦るたびに、前からも半透明な愛液がおされるかたちで流れ落ちる。自分自身の腹も、幽助の手のひらにも、また、腹にもそれらが飛びちりばめられ、淡い茂みは湿地帯へと変貌をとげていた。その愛液のねっとりとした感触さえすぎた快感へとなる。

ふと、幽助と視線が交差した。

そこには、蔵馬の翡翠の瞳は当然ながらなかった。だが、蔵馬がいつも浮かべていた無表情の熱意とは違い幽助は真っ直ぐに己だけを見つめて抱いてくれていた。充分だった。それだけで、飛影は全てが救われたように思えた。目頭が熱くなり、それを悟られないように幽助の首にすがりついた。

そして、そっとその場所に赤い花を一輪咲かせた。それは、蔵馬へ向けるたむけであり訣別であった。

意識が遠退きそうになった瞬間、胎内の奥に幽助の飛沫を感じた。結合部分の僅な隙間からトロリとそれが太ももを伝うのを最後に視界が暗転した。

気づくと衣服は綺麗に整えられ、なにごともなかったかのようだった。だが、幽助の膝に己の頭がある姿勢にハッと我にかえる。起き上がろとした際下半身の違和感に気づき、安堵にも似たため息が零れ落ちていた。

「・・・。悪かった」

「バーカ。謝るこっちゃねーだろ」

「幽助」

「あん?」

「・・・、返せたか?」

伝わっただろうか。蔵馬の思いを幽助は。

「は?」

「いや、なんでもない」

伝わっていてくれれば、もうそれ以上なにも望まない。

飛影は一瞬だけ悲しげな表情を見せ、その場を1人去った。





ホテルの自室へと帰った幽助を待っていたのは、以外にも蔵馬だった。

「キスマークがついてますよ、幽助」

「ここに、ね」と、幽助の首筋の裏に指をさし、その後、蔵馬はいたって冷静にソファーへと戻り自ら淹れたコーヒーを口つけた。バッ、と慌てたように首筋に手のひらを回す様を見ても蔵馬は顔の筋肉1つ動かさなかった。










2011/11/9

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