The dear devil was found. It is destiny to love it if it is destiny to fight again. Oh, you are my fallen angel.
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貴方を愛しすぎてるから act.2
※R要素が含まれてます。もう1度、ご確認。お姉さんは18歳以上ですか?OKな方はスクロール。
バスルームでも、ベッドでも、散々蔵馬は飛影を堪能した。ここまですれば、暫くは自慰もする気力もないだろう、それに、飛影の部屋に入ると気づいた盗聴虫の存在。躯自ら、奇淋や時雨に忠告を入れてるであろう。本来であるならば、自身の手で始末をつけたかったのだが、やはり、躯は女帝と謳われているだけはある。部下の間での、不埒な小競り合いを危惧していたらしい。それも、こちらの思惑さえも感ずいていたとは畏れ入る。躯も飛影の魅力に気づいていたというのは癪ではある、が、飛影のそれにつらつらと引き寄せられ、部下を失うことにでもなったら、少なからず躯の名声に傷がつく。女帝おん自らの忠告となれば、奇淋や時雨も従わざるをえないだろうから。
飛影を再度バスルームへと運び、今後こそ綺麗に後始末をし、新しいシーツの上へと運ぶ。少し、疲労が伺える顔色に唇を落とし、労りと胸中で謝罪をし、飛影の部屋を後にする。本当は、ずっと側にいてあげたい、が、その思いを裡に隠し、その足でこの要塞の主の部屋へと向かった。おそらくは、向こう側も、こちらが伺うことは承知のうえだろう。
対峙して後、開口一番。
「覗きとは、たいそうな趣味ですね」
「ふん。見たくて見てた訳じゃねーよ」
「端的に云えば監視、と、いう訳ですか」
「礼を云われると思ったんだかな、古狐はお気に召さないようだな」
「それほど部下を大事にする方とは、寛大でいらっしゃる」
「人手不足にでもなって、パトロールに支障をきたしたら、大統領政府や霊界から何を云われるかしれたもんじゃねーからな。部下たちの動向に多少は気を遣う、それだけさ」
「そうでしょうか。貴女の名声に泥を塗る。それを防いだだけなのでは」
「名声?はん。馬鹿馬鹿しい。貴様と縁のある黄泉と違って、俺はそんな意味のない下らん代物に興味はねーよ。寝床の中でごたごた五月蝿いのは住みずらい、それだけだ。奴らが飛影に惚れるのは個人の自由。しかし、古狐。だからって、全ててめーの思惑通りにさせる理由が俺にはない」
「貴女の目を盗んで、始末しようとしていたの筒抜けでしたか」
この分だと、奇淋や時雨、監視の役割を担って自身が改良し百足内に数千と放った“視間草”は全て別の代物に代えた、もしくは、躯自身で処理した、な。どうりで、近頃、送られてくる情報に狂いがあった筈だ、完全にこの女帝に一敗食わされた。と、いう訳、か。
「貴様がどう飛影を扱うかは勝手だ、たがな、飛影も含め奴らが俺の部下でもあること忘れるなよ」
表情は一見すると穏やかそうに見える、が、酸で焼け爛れた方の瞳も、美しい瞳も、底の深い凶悪な意思が宿っている、そう、肌で感じとり、蔵馬は慄然とする思いだった。
「胆に命じておきます」
やはり、黄泉などより格が違う、この魔界で1番怒らせてはならないのは眼前の女帝だ、そう、蔵馬は改めて思ったのだった。
それから、人間界へと帰り、幽助との対面だった。
エントランスでは、怒りが勝っていた。当然だ、1番会いたくはない人物だったのだから。飛影を、おそらくは自身しか知らない彼の姿を、幽助はその身に体験し、見たのであるから。あの場で、殺気を抑えただけでも誉めてほしいくらいだ。しかし、もとを辿るとなると、諸悪の根源は他の誰でもなく己自身。それに、あの女帝に軽くあしらわれたことへの苛立ち、それが尾を引いた。
「とりあえず、部屋に上がって」
「ホンッとにすまねー!」
「まあ、今回は赦します。しかし、次はないですからね」
コーヒーを差し出しながら、そう宣言すると、パアッー、と、幽助の顔が晴れ晴れとする。自身も、こんな風に単純明快であったならば、思わず、そう幽助の美点に対し、羨望と嫉妬が入り混じるのを自覚した。
「螢子に、は、そのー、・・・」
「云いませんよ」
自身の欠点が飛影ならば、幽助の最大の欠点は彼女。
「第1、彼女が信じるとは思えませんけどね」
男を相手にした、と、例え信じたとしても彼女は平手打ち1つで幽助の行いを正す力を持っている。それを、改めて知り、幽助を羨んだ。飛影はそうはいかない。彼は、例え自身が浮気をしたと知っても、はたして、取り乱してくれるかどうかさえ、危うい。もしかすると、彼は離れていってしまうかも知れない。その仮想が恐怖心を、そして、疑心を植えつけたのだった。
だからこそ、自身は試したかった。結果は惨敗と云わざるをえないが。飛影に、心の片隅では本当は拒否して欲しかったのだ、この提案自体を。彼らしく、一言、ばっさり、と。「下らん」、そう、始めに聴けていたならば、百足内に視間草など放ったりしなかった。あんな風に、意地になって、彼をいたぶるように抱いたりなどしなかった。責任転嫁であると、重々承知している、が、飛影の本心が本当のところ見えなくて、思っていた以上に、自身は焦っていたらしい。
「しかし、おめーらいつの間にできてたんだ?」
能天気なほどのその台詞自体に、心底呆れかえったのだった。
「知らなくて、手を出したんですか?」
「そう呆れた顔すんなよ」
「呆れはてて言葉も出ません」
「そう渇かすんなよ。まあ、実際、ノロケ散々聴かされて、俺も少しは呆れてるがな」
「・・・。ノロケ?」
ずいぶんとおかしな言葉を使う。しげしげと、幽助を見ると、ポリポリ、と、あ、マズイ、と、誤魔化したい様子な彼と出会した。云わないつもりですか、ニッコリ、と、笑顔を造り暗に脅すと彼はいとも簡単に折れた。
「ああー!もう、こうなりゃ、全部ゲロする吐く、飛影、赦せ!」
この場にいない飛影に向かって、土下座すらした幽助。
「あのよ、おめーが飛影に男誘えって云ったんだろ?」
「ええ、まあ」
まかさ、幽助がその事実を知っていたとは思いもよらず、少しばかり驚いたのだった。
「あいつ、なんて云って俺を誘ったと思う?」
なんて、そう云われたら謎だ。彼からはそんな話し一切聴けなかった。まあ、聴く雰囲気ではなかったのも確かではあるが。それとも、どこかでそれを恐れていたのであろうか。こんな風に幽助に逆に問われ、凄く気になってしまった。彼はなんと云ったのであろうか。その好奇心は、僅かに恐怖の色が伴っていた。
「蔵馬の匂いがする奴と寝たい。だとさ」
「・・・。それは、どう、解釈すれば、いい、のかな」
「おっ前、案外鈍いんだなー」
ケタケタ、と、先ほど迄劣勢にたっていた筈の幽助に笑われ、少なからず矜持を傷つけられ、ムッ、と、した。それは、顔にも出ていた、眉間には鋭いしわ、瞳には苛烈な殺気が復活していた。
「怒るな怒るな」
「怒ってません」
「おっ前、見かけによらず、飛影にぞっこんなんだな」
「悪いですか?ええ、そうですとも。はっきり云って、貴方を殺してやろうかと真剣に思い悩むくらいには、彼だけを愛してます、それがなにか?」
「逆ギレすんなよ」
させたのは何処の誰だ。やはり、今この場で殺るか。周りに仲間を殺した、と、白眼視されようと飛影への愛情が先ずなにより勝る。
「とりあえず、それ終え、こえーから」
どうやら、無意識のうちに、植物を剣に仕立てていたらしい。
「で?」
「えっとな。つまり、お前二足のわらじじゃんかよいってみれば。妖怪のくせして人間生活満喫じゃん。だから、そういう匂いってか、雰囲気持ってんのは、飛影の周りには俺しかいねー訳じゃん」
「つまり?」
「だあー!判んねーかな、これだから理論だけで生きてる奴は」
ぐしゃぐしゃ、と、幽助は頭を掻きながら苛立ちを露にする。どうやら、脳内の思考がパンクしてしまった様子だ。
「君みたく感情で動きませんから」
「・・・。飛影、可哀想に」
「なんですって?聴きずてなりませんね、その言葉」
可哀想。少なからず、図星をさされ動揺してしまった。それを誤魔化すが為に強気に出るしかなかったのである。確かに、こんな歪んだ愛情表現しか出来ない自身に愛され、はたして、彼は幸せと呼べる境遇であろうか。それを、突きつけられた錯覚に捕らわれ、知らず知らず心が戦いた。
「そのまんまだよ!あのな、あいつ、犯ってる最中も、ずっとおめーの名前呼んでたんだぞ」
「・・・。え?」
「おめーに云われたから、おめーのこと好きだから、飛影は他の奴自分から誘うなんて馬鹿なことしたんだろーが。あんまり、あいつ真剣に抱いてくれって頼むからよ、なんでだって聴いたら、おめーに会った時、他の奴と寝てないって知れたら、おめーに嫌われるから、そう云ってたんだぞ。それなのに、おめーときたら。飛影のことなんで信じてやれなかったんだよ。て、俺が云えた義理じゃねーが」
「ずっと、俺のことを」
「そうだよ。おまけに、抱かれたのおめーに判るようにしろだの、酷く抱けだの、中にたくさん出せだの、後ろから犯れだの、潤滑油いらねーだの、注文ばっかで、そのくせ、“蔵馬”しか云わねーでやんの。ありゃ、他の野郎なら萎えるか燃えるかに別れるな、うん、うん。て、だから、おめー、さっきから目すわっててこえーって」
「・・・。ごめん、幽助、俺魔界に行くから」
礼もそこそこに、マンションに幽助を残したまま飛び出していた、その足で急いで百足へと向かった。
「飛影。俺です、開けて」
機嫌がどうやらよくはない様子だった。当たり前、か。試すようなことをし、いたぶるように、また、詰るように抱いたら、その足で人間界へと早々に帰ってしまったのだから。
「ごめんね」
「なんに対しての謝罪なんだ?」
「いろんなこと」
「・・・。ふん」
「飛影。これだけは信じて。俺は貴方が好きだよ、貴方だけだから」
「じゃ、俺の云うことならなんでも聴くのか?俺が貴様に誰かと寝てこいと云えば、貴様は寝るのか?」
同じく彼に云われ、始めて彼の痛みを、そして、決断を理解した。彼の心の傷口に囁きかけるように、優しげな微笑を浮かべ応じた。
「それは、貴方の本心じゃないでしょう。だから、誰も抱きませんし、誰にも抱かれません」
そう云うと、暫し逡巡した後。飛影は始めて、涙を流した。とても静かに、とても、綺麗に。そんな飛影を酷く愛しくなった。
ごめんね、貴方を試すようなことをして、本当は怖かった、自信がなかった、見栄のみが先行して、結果的に貴方を傷つけてしまっていた。貴方を愛しすぎて、貴方の気持ちを慮る余裕がなかった。愚かで、卑小な自身を嫌わないで。でも、同時に嬉しかった。自身の言葉1つで揺れ動く貴方を見て、とても嬉しかった。
「抱きしめてもいい」
「嫌だ」
「飛影、・・・」
「最後迄しろ、遠慮なんかされたら気味が悪い」
ふてぶてしいそのセリフが、その態度が、彼なりの愛情の裏返しであると判る。ああ、貴方は自身が思ってた以上に、こんな身勝手な俺を愛していてくれていたんだね。
「いいよ。じゃ、遠慮なく貴方を抱きます」
飛影を抱き抱えると、スン、と、首筋から彼はこちらの体臭を吸い込む。まるで、本物であるか確かめる仕種に愛しさが募る。奪うように唇を重ね、彼の衣類を棄て去る。そこには、幽助がつけた赤い跡が散乱していた。一瞬、赤黒い嫉妬が脊髄に走る。どんな思いで幽助を受け入れたのであろうか。自身の名を呼びながら、幽助に貫かれ快楽に歪む彼を想像し、可笑しなことにこの時感じたのは、嫉妬でもなく、ましてや罪悪感などでもなく、歓喜であった。
「幽助より気持ちよくさせてあげるよ」
赤い跡を1つ1つ、その存在を消すがごとく、それに歯を突き立て新たに傷を生む。血がうっすらと皮膚が裂け流れ落ちる。彼は震えていた。痛みではなく、快感によるものだと、彼自身の躰が物語っていた。乳首はふっくらと立ち上がり、周囲の血の色と同化していた。同様に育った下半身を押しつけ、彼はその先を望む。望み通り両足を広げ、充血してひくひくと蠢く小さな孔に、なんの前触れもなく自身の凶器を穿つ。
「痛いの好きだもんね、貴方」
切れたそこ。鮮血が中へと入り込み、滑りが自身のペニスへと伝わる。貴方の血かと思うだけで、更に驚喜を呼び自身のそれは、質、量、共に増したのだった。しかし、それによって彼の表情には痛みよりも他のものが鮮やかに彩っていた。それに微笑み返し、最奥へと打ち続ける。血と愛液とが混ざり合い、卑猥な音が旋律を奏で、肌と肌がぶつかる音がそれに唱和する。背に感じる爪痕さえ、堪らなく嬉しい。それは、貴方がこの自身を確かに望んだ証。
やはり、自身は普通ではないらしい。それでも、この愛は本物。歪んでいようが、醜かろうが。
「うっ、んん。・・・、も、もっと、蔵馬」だから、貴方を抱く。激しく、壊してしまうほど、強く、強く。俺の匂いで、俺だけの匂いと痛みで満たしてあげるよ、飛影。
Fin.
2011/8/4
Title By 確かに恋だった
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