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The dear devil was found. It is destiny to love it if it is destiny to fight again. Oh, you are my fallen angel.




壊れても愛してあげる act.2


※R要素が含まれてます。もう1度、ご確認。お姉さんは18歳以上ですか?OKな方はスクロール。















一触即発ななか、それ迄雪菜と性交をしていた飛影が、ベッドの上からのそり、と、起き上がり、そのか細い声が、その場を終息へと導いた。

「兄さん」

「なんだい、飛影?」

ごく穏やかに蔵馬はそれに答えた。幽助はその飛影の発言に、全身強ばり驚愕したのだった。何故、飛影は蔵馬を兄と認識しているのか、咄嗟に理解出来なかったのである。

飛影はベッドの上に横たわる雪菜には、正確を帰すならば、蔵馬が造り出した植物である、その彼女の姿を、完璧に模した植物には一切見向きもせず、裸体の姿のまま蔵馬にすがりついてきたのである。蔵馬は、そんな飛影を責めるでもなく、ありのまま受け入れ、その膝の上に優しく飛影を抱き止めたのだった。

「また、いけなかったの?しょうのない子だ」

「兄さん、なかにいれて」

飛影は蔵馬の首に、その細い腕を回して懇願したのだった。その異様ともとれる光景に、幽助は改めてゾッとしたのだった。

「見ててどうぞ幽助」

呆然と佇む幽助にむかい、蔵馬は半ば意識的に煽る表情と声で、そう、応じたのだった。

「兄さん、だと?どういうことだ、蔵馬」

「フフフ。彼女と俺の立場を入れ替えたのさ。今、飛影のなかでの認識は、恋人は彼女であって、俺が肉親なのさ。だって、不公平じゃないかい?」

「不公平、だと」

「飛影にとって、恋人は単なる飾りにすぎない、でも、肉親はそれ以上の意味を持つからさ」

蔵馬は寧ろ、それらを誇らしげに幽助に語ったのである。

そう、いくら飛影を愛したところで、あのまま行けば彼女には勝てなかったに違いない。肉親への愛情に、傾斜が傾く傾向にある飛影が相手では。ならば、その関係や感情を交換してしまえばよい。幸い、飛影の記憶は自身と彼女のみ。逆転のゴールを踏む機会を、蔵馬は充分に利用したのだった。そのきっかけとなった、彼女の死さえも。全ては、飛影の側で生きる為だけに。

蔵馬の表情をその漆黒の瞳に捉え、幽助は、今の飛影の状態を、蔵馬が最大限に利用し、真実をすり替えたことを、漸く理解したのだった。その瞬間、幽助の顔色に、蔵馬に対し、避難とも憐憫ともとれる、複雑な色に代わったのだった。

「兄さん、兄さん」

「ああ、放っておいてごめんね飛影。今抱いてあげる」

蔵馬は飛影の背中に手を滑らせ、その肌の感触を確かめるかのように、さわさわと上下に指を動かした。そのつど、飛影は甘い声を隠そうともせず、先を望むかのように、腰を浮かせた。今の飛影には、幽助の存在はどうやら見えてはいない様子だった。目の前の愛しい兄に素直に甘え、その身を委ねているようだった。

「なんで?」

「恋人の時の名残でね。飛影は女を抱くだけじゃいけなくなってるんだ、突っ込んであげないとね。だから、最後は俺に抱かれにくるんだよ」

「ほら」と、蔵馬は飛影を膝の上で反転し、幽助に、その直立したペニスと、後孔を開脚して見せたのだった。飛影の瞳に幽助は映ってはいなかった。暗示にかかったかのように、視点は虚ろい、唇は“兄さん”と、壊れたレコードと化し、型どってはいなかった。

幽助は堪らずその飛影から視線を外した。直視していられなかったのである。幽助が知る飛影は、この場にはいなかった。あれほど、矜持の高かった飛影は、どこに消えてしまったのだろうか。幽助は、自身でも気づかぬうちに、目頭が熱くなっていた。

躯や時雨の云うように、ここ迄代わり果てた飛影を、治すのは容易なことではない、と、痛烈な苦味を胸に感じながら、認めざるをえなかった。項垂れ俯いたまま、幽助は2人に背をむけた。その行動は、臆病からなのか、事実から目を背けたいだけなのか、幽助自身にさえも判らなかった。

「見ていかないのかい?」

「・・・おめーや飛影をこれ以上見たくはねーよ」

「そう。でもね、躯に定期連絡いれなきゃいけないんだけどな」

「おめーでやれ!」

「これ迄、俺の意見しか報告していなかったからね、躯に要求されたんだよ、第3者の意見が必要だと、ね。どこまで、飛影が回復した、か。客観的に見てもらいたいんだがね」

蔵馬は口にこそ出さなかった、が、飛影を監禁し、治療を始めた当初から、その重荷に耐ええる者は、他ならない幽助であろう、と、思っていたのだった。幽助ならば、そんな甘えもあったに違いない。これにより、自身たちのなかに溝が生まれようとも。

「それを、俺にやれってか?おめーが飛影を抱いてました、飛影は喜んでました、そう伝えろっていうのか、ええ!?」

仲間の堕ちた姿を見るにも耐え難いというのに、それを、治療の一環として魔界の女帝に伝えなくてはならないなど、幽助には心臓を抉られるにあたいするほど、屈辱的に捉えたのだった。

「うん。だから、そこで見ててよ。“今の”飛影をね」

幽助の顔に、明らかな憤怒が刻まれた。が、まるで、魂がその場に根づいてしまったかのように、幽助は一歩もその場から動けなかったのである。

「兄さん、前」

「うん。いけなくて苦しい、飛影?」

飛影は夢遊病患者のように、蔵馬の問いかけに、こくり、と、1つ頷く。すると、蔵馬は、その反応に、軟らかな笑みで返した。そこには、確かに、2人だけの世界が存在していた。

蔵馬は飛影を開脚させた姿のまま、はりつめたペニスに手をあてがい、ゆっくりと上下に扱き始めた。カリのところを引っ掻くように乱暴に扱われることにより、飛影は蕩けるような表情に代わり、無意識に腰を揺らし始めてもいた。吐息には熱気をおび、飛影の先端部からは、透明な雫が顔を出し、重力に比例して、1つ、又、1つ、と、落ちてゆく。その液で、蔵馬の手は濡れほそり、飛影に新たな刺激を与えていた。クチュリ、と、粘った音に徐々に代わり、飛影が最後を望むかのように、蔵馬を“兄さん”、と、呼ぶ。

「せっかく幽助がいるんだ。飛影が元気になってきたと、きちんと判ってもらおうじゃないか」

その蔵馬の宣言に、幽助は2人から背けていた瞳を、驚愕と戦慄により見開いた。視線を蔵馬に注ぐと、蔵馬はこのうえないほど、優美に微笑んだのだった。そして、飛影の膝元を支えていた手のひらには、いつ出したのか、細く長い葉が、1つあった。

「飛影、いきたい?」

「やぁ、・・・も、もう。出ちゃ、う」

「もう少し我慢しようね。気持ちよくいきたいだろう?」

蔵馬の声に操られているかのように、飛影は何度も、頷いてみせた。それに、満足そうに笑みを深めると、シュル、と、その葉を飛影の小さな穴に差し込んだのである。

「やぁああー!・・・はぅん、に、兄さん、痛い、よ」

「大丈夫。最初だけだから。こうすれば、いく時、たくさん出せるんだよ。気持ちいいの好きだろう、飛影?」

塞がれてしまった穴の周りには、そこからにじみ出ている半透明な液が、室内の灯りにてらされ、淫らに光彩を放っていた。達することを赦されず、飛影のペニスは小刻みに震え、それに伴い、全身の力も失われつつあるようだった。

「ひぃぅ、ん・・・はっぁ」

蔵馬はその細長い葉を自在に上下し、飛影を刺激した。もう片方の手も休まず、嚢に滑りこませ、感触を馴染ませるように揉み上げた。

飛影は前のみの刺激に痺れをきらした様子で、蔵馬の美しい手に己の手を重ね合わせ、その下へと導こうと試みた、が、蔵馬はその飛影の要請には従わなかった。我慢の極みに達した飛影は、とうとう、蔵馬にすがりついた。甘い吐息と共に。

「やぁ、ん、に、兄さん。ま、前、やだ・・・後ろに、いれてぇ」

「いいよ。でもね、今日は立ったまましようか?」

すると、飛影を幽助の眼前に蔵馬は連れて行き、幽助の両肩に飛影の手をそれぞれかけさせたのだった。飛影を間に挟み、その蔵馬と視線が重なり、恐ろしい者と対峙している思いにかられ、幽助は全身の鳥肌が立つのを自覚したのである。

「そう、いい子だね飛影。お尻こっちにむけて」

飛影は蔵馬に云われるがまま、幽助の肩に手をかけたかっこうで、下半身を蔵馬に突き出す。幽助は金縛りにあったかのように、一切の動きが止まっていた。ただ1つ、確認出来たのは、至近距離にきた蔵馬の表情に、常軌を逸脱した何かが含まれていた、それのみだった。

ローションをたっぷりと絡め、指で丹念に解し、充血し熟れた蕾に、蔵馬は自身のペニスをあてがった。挿入する間際、ニヤ、と、口角があがったことに、はたして、幽助は気づきえただろうか。

一気になかに入らず、蔵馬は味わうかのように、殊更ゆっくりと挿入した。なかほど迄入れ、飛影の双丘を広げ、後孔に自身の分身が入っていることを確かめるように、その視線はどこ迄も楽しげであった。ゆるゆる、と、出口付近を刺激してやると、物足りないのか、飛影は自ら腰を振り、なかへと導こうとする、その間、ひっきりなしに甘く艶やかな嬌声をあげていた。やがて、抜き差しを激しいものへと代え、そのたびに、肌と肌がぶつかりあう音と、淫らに響く水音、そして、飛影の嬌声が、室内に充満したのだった。この間、幽助はなす術なく、速く終わってくれ、と、祈っていたのである。

蔵馬は、獣に似た瞳で飛影を嬲り、赤く染まっている耳に舌を這わせ、柔らかな耳たぶに甘く痺れるように噛みついた。瞬間、飛影の内側が、強烈に締まるのを、恍惚とした面持ちで受け止めたのだった。

「あっん、ふぁ、も、もう・・・い、いきたい、兄さん」

「いいよ、いって」

蔵馬は飛影の1番に感じいる場所めがけ、大きく腰を打ちつけた、その瞬間、前を塞いでいた葉をタイミングよく抜き去り、我慢を強いられていた小さな穴からは、大量の白濁した液が、ピシャリ、と、勢いよくほとばしった。それは、幽助の服に、そして軌道を描きながら、滴り落ちて靴へと、流れ落ちた。

倒れこむように飛影は崩れ、その細い躰を蔵馬は愛しむように抱き止めたのだった。どうやら、気絶してしまったらしい飛影をベッドへと運び、真新しいシーツにくるむ。

未だ、茫然と立ちすくむ幽助に、新品のタオルを投げた。ハッとするように、蔵馬から投げ入れられたタオルを受け止め、蔵馬を苦々しく睨んだ後、汚れてしまった場所を丁寧にそれで拭き取った。

「ね?飛影、よくなってきてるだろう、幽助」

この時になって、幽助は漸く自己を回復させた。あまりに、濃い時間を、この2人と共有してしまったものだ、内心、恐慌の渦のなかにあったのである。

沈黙の旋律が、蔵馬と幽助との間で奏でられた後、観念したかのように、重たかった唇を動かし始めた。

「・・・よく、ね。どこから境か判らねーがな。それに」

「なんだい?」

「飛影より、おめーの方こそ壊れちまったみてーだな」

皮肉と憐れみを詰めこめたその言葉、有効に、又は、正確に蔵馬には届かなかったようだった。その証であるように、蔵馬の唇が、先ほど迄見せていた、獣のそれであった。

今の蔵馬には、どんな説得も、援助すらも無意味である、と、悟り、幽助は重苦しいため息を心中に溢した。そのため息は、代わってしまった2人に対し、幾ばくかの虚しさ、惜しむ思いをも伴っていた。

幽助は蔵馬とその後形ばかりの話し合いを設けた、が、全て平行線を辿ったのである。叩きつけるように、踵を帰した幽助の背中を、蔵馬は生涯忘れえないだろう。そう、思ったのである。

そして、消えて行った扉に視線をむけたまま、蔵馬の思考が時を遡行し始めた。

それは、懺悔から、か、蔵馬自身にも定かではなかったのである。










2011/1/21

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