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The dear devil was found. It is destiny to love it if it is destiny to fight again. Oh, you are my fallen angel.




月がとても青ひですね act.2


※R要素があります。もう1度確認。お姉さんは18歳以上ですか?OKな方はスクローズ。















反論出来ない躰が恨めしい。手首を縛り上げられ、下半身だけが無様な形で宙に浮く。その間隙を埋めるかのように蔵馬は硬く熱い楔を打ち込む。肌と肌が激しくぶつかり、その度に粘着質な音が鼓膜へと導かれてゆく。羞恥よりも悲しみが優った。一切の愛撫がない。口づけさえも。だのに、こんな扱いであっても躰は喜び、蔵馬を逃すまいと貪欲に蠢き締めつける。悔しくてならない、惨めでならない。哀しい、心底惚れた相手からこの様な責めを何故受けねばならないのか。

「くっ、・・・んん、あっ、はん」

「ほら、ここ。貴方好きだものね。・・・、幽助にもここ突かれて善がったの?ねえ、どうなのさ」

違う、してない。そう云いたかったが、飛影にはその余裕さえ与えられなかった。蔵馬は飛影の躰を本人以上に熟知している、その為、最初から徹底的に前立腺めがけ擦りあげた。痛みしかない筈なのに、あがる声は飛影の意思を裏切り続ける。喘ぎ声に蔵馬は気をよくしたのか、飛影の両足を肩に担ぐとより深く捻じこんでゆく。ガクガクと揺さぶられ、蔵馬の肩にあった片方のブーツが振動で床に転がり落ちる。打ち込まれた蔵馬のものが中で一層硬く熱くなるのが判った。次の瞬間飛影の中が蔵馬のものでいっぱいになる。蕾の隙間からは血と白濁が混ざり合って太腿へと伝え落ちてゆく。それでも蔵馬は止めようとはしなかった。滑りが良くなったのを機に、更に強く激しく飛影を犯してゆく。いやらしい音は更に激しさを増し、それに伴い飛影は躰を揺さぶられ続けた。何度も何度も注ぎ込まれ、腸内で受け止めきれなかったものが流れ、蔵馬が挿入を繰り返す度泡立ち、蕾は赤く腫れ上がり痛々しいものへと変化してゆく。飛影に欲望を吐き出させないように、蔵馬は予め細い蔦でそれを巻き上げていたため、飛影は度重なる絶頂に悶えるしか術はなかった。痛みにより萎縮しかけても、その蔦がそれを赦してくれず、飛影の鈴口に、又睾丸へと舌の様にうねり蜜を味わうのだった。自分自身の意思で達することを赦されず、蔦が零れ落ちるのを吸収し、達する直前に蔦が意思を持ち飛影のペニスを極限迄縛り上げる。出口を塞がれた熱は、躰を駆け巡り、飛影に更なる苦痛を与えたていたのだった。

この為、己がいつ気を失ったかさえ記憶にない。

気づくとフローリングの上で全裸で横たわっていたのであった。辺りには鉄の匂いに混じり独有の雄の匂いが立ち込めていた。受け止めきれなかった蔵馬のものが、腹にも顔にも髪の毛にもあり、如何に蔵馬が普段と違う抱き方をしたかそれを物語っていた。「貴方を傷つける様な抱き方はしません」、あの言葉が嘘の様に。まるで、物以下の様に抱かれた。

常ならば、蔵馬が後始末をしてくれ衣服をも整えてくれる。暖かい布団に包まれ、蔵馬が造った料理を食べることも。が、しかし、この時は後始末どころか毛布もなにもない。ただ、捨て置かれた。この意味するところを理解出来ない。いや、正確を帰すならば飛影はしたくはなかったのだ。

・・・、棄てられた。

徐々にその言葉が飛影の心を占めてゆく。それは、絶望をも意味していた。別れの言葉さえもなく。ただ、棄てられた。“あの時”と同じように、飛影という存在そのものを始めから無かったかのように。泣きたいのに、涙さえ出ない。飛影は自虐的な笑みを浮かべ、その後、壊れたかのようにその場で声をあげて笑い続けたのだった。

どれくらいそうしていたのか、そもそも蔵馬にどれだけ抱かれ続けたのか定かではない。ふと、窓から朝日が差し込み始めていた。もう、ここには2度と来れない。いや、来てはならない。それだけは理解出来た。

悲鳴をあげる躰を無理矢理起こし、無造作に散らばっている己の衣服をかき集める。その何れもが原形を失うほど破かれていた。己自身が抵抗した為でも、蔵馬の激高の末でももう何方でも飛影には感心が湧いてこなかった。意味のない事だからだ、もう。

テーブルの上にあるティッシュペーパーの箱を痛む躰で掴むと、数枚引き抜き、腹や顔や髪の毛についたもの、そして始めてそこを拭う。拭ったものに大量の血液と蔵馬が出した捌け口がまざまざと目に留まる。そうだ、捌け口でしかなかった。暴力だけで、微塵もそこには愛情は無かった。蔵馬という荒れ狂う嵐のなか、飛影はただただ耐える事しか出来なかった。蔵馬はもしくはずっとこの機を望んでいたのではないだろうか。そんな疑念さえ浮かぶ。幽助のところから帰って来ても、蔵馬は始め変化は無かった。常と代わらない、穏やかさ。だが、突然の変貌。幽助のところに行っていたのを口実とし、強行に事に及んだのではないか。もう、蔵馬はずっと前から己に対し愛情が無くなっていたのではないだろうか。うっとうしい存在を手酷く切るには、この方法が1番手っ取り早くていい、と。飛影はそれがこの時正しいのだと思ってしまったのだった。

ボロボロになった衣服を、痛む躰をおしてなんとか身につけ終えた時であった。僅かな気配が後ろにあることに気づく。この部屋の主の気配だということには早々に気づく。しかし、顔を合わせたくない。今の女々しい顔を蔵馬に見せたくはない。このまま別れを余儀なくされるのだとしても、蔵馬には醜い己の姿を残したくはない。だが、しかし、最後に1度は、そう思いなおしおそるおそる振り向く事に決意をする。まだ居たのか、きっと蔵馬はそう云う。飛影は努めて冷徹な表情を造り振り返ったのだった。しかし、そこには、当然あるものだと思っていた蔵馬の姿は微塵もいなかった。氷のような寒々しいものでもなく、穢らわしい者を見る目でもなく、蔑む気配もなく、ただただ驚愕に彩られた翡翠の瞳があった。

「・・・、どこに行くの?」

困惑と不安に支配されたかの様な頼りない声であった。

「・・・」

「飛影、どこに行くの?」

尚も沈黙していると、蔵馬は思いもよらないセリフを紡いだのだった。

「俺を棄てるの?」

「・・・」

「ねえ、なんで黙ってるの飛影。ねえ!」

どうして、蔵馬が怒っているのだ。飛影は状況が旨く呑み込めなかった。何故、蔵馬が怒っているのかその理由が見当たらない。飛影はまだ混乱の只中にあり蔵馬の紡いだセリフを考える余裕もなかった。

急に恐ろしさを感じとり、飛影は後ずさる。その姿を見、蔵馬は慌てて飛影を逃すまいと腕を掴む。爪が食い込むほどの強さに、飛影は益々当惑する。

「ぃやだ!・・・、離せ」

何故引き止めるのだ、最早用無しの己の事など放っておけばいいものを、何故。

「ごめん、飛影。怒ってるんだよね、何度でも謝るから、だから何処にも行かないで、ここにいて。お願いだよ飛影」

蔵馬に抱きしめられ懇願される。悲しみが雪のように融けてゆくのをこの時感じた。結局は好きなのだ、蔵馬が。どんな扱いをされ様とも、どんな酷い言葉を投げつけられても、この男が愛おしいのだ。

「ごめんね、でも、云い訳させてお願い。帰った貴方から幽助の匂いがして、それで俺・・・、頭に血がのぼって、気づいたら。ごめんね飛影、ごめん、本当にごめんね。いてもたってもいられなくなって、貴方を放って幽助に真意を聴きに行ってんたです。ごめんね1人にして、ごめんねあんな抱き方をして」

「・・・」

嬉しかった。どうしようもなく嬉しかった。蔵馬が我を忘れるくらい嫉妬してくれた、その一事が。

「幽助に聴いた。なにもなかったって。そればかりか、説教されちゃった。・・・、あのね、喧嘩になったあの匂いは母さんの為に俺が調合した物なんです。母さんの好きな香水にちょっと細工して。ほら、俺、躯のところの妖怪たちちょっとヤっちゃったでしょ?あれで俺また敵造ったようですし、母さんにも危険が及ぶかもしれないから、香水に俺独自の結界を配合した物なんです。でも、貴方、・・・母さんの話しあまり好きじゃないでしょ?母さんの話しになるといつも寂しそうな辛そうな顔してたから。だから、つい、関係ないって」

馬鹿だ。蔵馬はこんなにもこちらを気遣っていてくれたのに。云いだし難かったにちがいない。けじめだと云い、大切にして守っている母親。が、一方は母親殺し。矛盾を1番抱え苦しんでいたのは蔵馬だったのに、なのに、己は不用意に。

鼻の奥がツンとする。泣き出しそうな己が判り、それを誤魔化す為に蔵馬の胸に顔を埋めた。

「飛影。好きだよ」

返事の代わりに蔵馬の背を強く、強く、握りしめた。

次の瞬間躰がふわりと重力から解き放たれ、蔵馬に横抱きされていた。恥ずかしい格好に抵抗しようにも、躰の節々が悲鳴をあげそれどころではなかった。寝室のベッドの上に優しく下ろされる。

「ちょっと待っててね、今代えの服とか色々持ってきますから。絶対に帰ったら駄目ですよ、絶対ですよ、いいですね絶対」

あまりの念のおし様に、なんだか可笑しくもあった。

暫くすると蔵馬は色々な物を持って寝室へと入る、服に桶に湯をはり躰をふく布に救急箱に。

「はい飛影脱いで」

「い、い、いい!自分でやる!」

「駄目、脱ぐ」

こうなると梃子でも動かない。外はまだ明るい。蔵馬とはもっと恥ずかしい事をしている仲なのだから、今更という気もあるにはあるが、やはり、明るい場所で脱ぐのは躊躇われる。それに、この様子だと、蔵馬がアソコに傷薬を塗るきだ。それもやはり恥ずかしさに拍車を掛ける。ギュッと服を握りしめていたら、蔵馬はキザったらしくその手のひらに唇を落とした。こういうところが、本当はたまらなく不安にさせる。こうやって甘やかしてきた過去を彷彿とさせられるから。だが、しかし、信じてもいいんだよな。今、蔵馬のなかにいるのは己であると。

「飛影」

まるでこれからセックスでも始めるかの様に、あちこちに唇を落とし愛撫しながら脱がされてゆく。昨夜と全く違う蔵馬に戸惑っているうちに全て脱がされていた。手早く蔵馬は飛影の躰を清めてゆく。不意にその手が止まった。不信に思い蔵馬を見つめると、痛々しく顔を歪めていた。そして、いきなりペニスへと唇が落とされ慌てふためく。

「ごめんね、縛った後ついちゃってる」

「・・・、べ、別に、暫くすればこんなもの消える」

「う、ん。・・・、じゃ、後ろ向いて腰あげて飛影」

飛影は痛む躰を反転させ、頭を枕に埋めると共に腰をあげた。ふっ、とそこに息をかけられ声があがる。治療だと言い聞かせるが、蔵馬の指の蠢きは治療の範疇をはるかにこえていた。

「ぅんん・・・、ぁあ、ふぅん」

「いいよ、イッても。貴方昨夜1回もイッてないでしょ?」

次の瞬間、コリと蔵馬がそこを刺激し飛影は艶やかな声と共にシーツの上に放ってしまった。昨夜縛られたため、達する時ヒリヒリとした痛みがあったが、それさえも気持ちよかった。恍惚としている間に蔵馬は後始末を全て終え、ベッドから腰をあげるところであった。ふとそこに視線がゆき、蔵馬のそこは僅かに隆起している事に気づく。飛影は蔵馬の袖を掴み、ただ、静かに名を呼んだ。それで蔵馬には充分伝わった。

「駄目だよ、飛影。・・・っうん!」

蔵馬が理性を抑えていることは飛影も百も承知であった。でも、今、蔵馬を感じたいのだ。飛影は蔵馬のそれを服の上から確かめるかの様に口に含む。始めてであった、蔵馬からはされた事は幾度もあるが、恥ずかしさがいつも邪魔をして手を触れることもしなかった。本当は蔵馬が望んでいると知っていた。もう、誤解やすれ違いは嫌だった。嫉妬された事は嬉しかった、しかし、それはこちらの愛情を信用されていないからではないか。違うのに。己とて蔵馬が愛おしいのだ。だから。欲しい。

拙い仕種でバックルを外しジッパーを下ろしてゆく。現れたそれに息を呑む。

「飛影、いいよ無理しないで」

蔵馬の静止をも無視し、飛影は生まれて始めて口淫した。喉の奥が焼け付く様に熱い。蔵馬を真似ようと必死だったが、思い出すのは口淫されている時己は我を忘れていたというなんとも恥ずかしいものだった。暫くすると、蔵馬のそれが口内いっぱいに広がった。蔵馬を真似、数回に分けて呑み込む。

「飛、影。もう、貴方って人はどうなっても知らないよ」

その宣言後気づいたのは深夜であった。己から誘ったこととはいえ、かなり恥ずかしい事迄してしまった。それに、あまりの気持ち良さに、はしたない声を何度あげてしまったことか。このため、飛影はすっぽりと布団を頭から被って仮の要塞と化していたのだった。ふと、ベランダに視線を向けると、布団の隙間から月が浮かんでいるのが見えた。

「クスクス、飛影いつまでそうやって隠れてるつもり?」

「・・・」

「嗚呼、今日は満月か。・・・、飛影、月は好き?」

「・・・。嫌いじゃない」

昔は嫌いだった。でも、今は月を見ると蔵馬を思い出すから。眩く妖しげなその光。儚く遠い存在であるのに、手を伸ばさずにはいられない美しさ。蔵馬に似てる。母がたった1つ遺してくれた氷泪石にも。

「俺も愛してます」

「・・・?月をか?」

「クスクス、さあ」

愛してます、愛してます、愛してます。愛してます、愛してます。

月の様な貴方を永遠に・・・───










Fin.
2014/11/24
Title By capriccio

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