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The dear devil was found. It is destiny to love it if it is destiny to fight again. Oh, you are my fallen angel.




愛を請う act.3


※R要素があります。もう1度確認。お姉さんは18歳以上ですか?OKな方はスクロール。















人差し指でその綺麗なふちに触れると、恐怖からか蕾が小刻みに震えた。見方を代えればその様は期待し誘っているかのようにも見える。時雨は内心で期待と不安が錯綜するのを感じていた。この躰を始めて征服する期待と、これから辿るであろう飛影の様々な苦悩。飛影を心配するのも本心ならば、こみ上げてくる男の性も又本心であった。揺れ動く心の片隅で確実に思ったことは1つ。この躰は化ける。確信だった。1度男を知ったらその快楽に溺れるに違いない。堕ちると云っても大差はないであろう。蔵馬ははたしてその事に気づいているのだろうか。時雨はそっと振り返ると、隣室で夢幻華の花粉を精製すると云っていた筈の蔵馬が扉に寄りかかり腕組みをしていることに気づく。その瞳が冷たくこちらを見据えていた。薄暗い室内でもはっきりと判るほどその瞳は苛烈な光を放っていた。その内在する激しい焔が嫉妬心であることも。散々煽っておきながら、飛影に触れた途端にその冷静さを失っている。時雨は完全に当て馬にされたかたちであったが、不思議と蔵馬に対し怒りは湧いてこなかった。寧ろこの様な行動でしか蔵馬は飛影の本心を試せなかったに違いない。疑心暗鬼の迷宮に迷い込み、もがき苦しむ姿がこの時時雨にははっきりと見えた。思いが大きければ大きいほど、強ければ強いほど、自分自身は飛影にとって相応しいのだろうか、と。そして、飛影は本当にこんな自分自身を本気で愛してくれているのだろうか、と。そう考えると不憫ではあったが、時雨は蔵馬の気持ちの奥底を垣間見た気がした。矛盾する思いを蔵馬自身が1番もてあましているのだと。それとも、己自身のなかに封じた気持ちがそれらに同調し且つ看破したのだろうか。日に日に大きくなるのに出口のない思い。決して伝えることの出来ぬ思い。いや、伝えてはならぬ思い。蔵馬と時雨の違いは、おそらく大差はない。相手を思うという1点では。ただ、行動するか否か。おそらく、いや、絶対に自分自身では出来ない。又、しようとも頭の片隅に思いつかないであろう。それをこんなかたちではあったが2人の関係を前進させようとしている。そこに僅かながら時雨は羨望を感じたのだった。行動に移せる蔵馬の勇気に。誰からも賞賛されない甚だしい濁った勇気ではあったが。そして、同情と憐憫。飛影を不憫に思うものの、蔵馬の考えや思いに、時雨は完全に否定する材料を見いだせなかった。そして、敢えて振り返り蔵馬と対峙する。

「ジェルかローションはないのか?」

時雨は殊更冷静沈着に蔵馬に問うた。案の定、眉間には深いシワが刻まれ苦々しい舌打ちが溢れた。一応時雨も用意をしてきてはいたが、この狐がなんの準備もなく2人を迎えたとは考え難い。半分は意趣返しでもあった。

蔵馬は寝室へと入ると、ベッド脇の棚から小さな瓶を時雨へと投げる。

「だが、いいのか?バージンなんだしいっそのこと血まみれにして楽しめばいいものを」

クツクツと奇妙な笑みを造りながら蔵馬は云う。見る者を震えあがらせるには充分なほどの。しかし、時雨は看破した。冷たい言葉の裏側こそが蔵馬の本意であると。でなければ、もっと別な物を時雨に与えていただろう。

「血まみれにしてよいのか?」

敢えて時雨は問うた。意地の悪い聴き方をしてい自覚はあった。するとやはり、目に見えるほどの悪鬼な顔へと変化を遂げた。怒りと嫉妬、そして、心を読まれ、誇り高い矜恃を傷つけられた憤り、それらが一瞬にして今の蔵馬の顔色を造りあげた。しかしながら、それもほんの僅か一瞬のことであった。次の瞬間には無表情のフィルターを被り、ベッドの隣に置かれていた椅子に無言で座す。

「さっさとやれよ」

もう、そこには一分の隙もない冷酷な蔵馬しかいなかった。時雨にはもはや蔵馬を推し量る術はなかった。

冷たい感触に飛影はぎょっとし振り返る。男同士がどこを使うかはさすがの飛影も知ってはいた。昔拾われた盗賊団のなかにも、好んで男を抱く奴がいた。少々児童愛の癖があり、飛影も危うく餌食になりかけたことも1度や2度ではない。飛影自身が激しく抵抗したことと、その当時の盗賊団の頭がさり気なく牽制してくれていたおかげで助かっていた。妖怪にしては珍しく良識的であったその頭。今にして思えば飛影はその盗賊団に拾われ幸運だった。形見の氷泪石を奪われることもなく、他の妖怪に売り捌かれることもなく、盗賊団の愛玩具にされることもなく。もし、もっと卑劣な盗賊団に拾われていたならば、飛影の運命も大きく代わらざるを得なかったに違いない。

が、しかし、今は誰かの後ろ楯も保護もない、寧ろ自ら進んで抱かれようとしている。それも、好いた男の目の前で。だが、ここで止めるわけにはゆかない。蔵馬は云ってくれた。他の男に抱かれたならば蔵馬自身が己を抱いてくれるのだ、と。その蔵馬の言葉だけが、飛影を支える柱であり拠り所であった。飛影は唇を噛むと同時に枕を強く握り締めた。冷たいなにかがぽたぽたと尻の上に落ち、その間を縫うように後孔に流し込まれる。気持ち悪さがこみ上げ、飛影はますます枕に顔を埋めた。その刹那。時雨の剣ダコの指が侵入し、痛みが全身を貫いた。内臓を引っ張り出されるかのような圧迫感と痛みに躰から冷や汗がふきでる。

「・・・ぅん」

体内を行き来するその始めての感触に、飛影はくぐもった声を抑えるのに必死だった。しだいしだいに水音と共に抜き差しする指の律動が速くなる。排泄器官であるそこは、女のように濡れてくれない。判ってはいても、屈辱的な行為に飛影は耐えるしか術はなかった。やがて増やされた指が、ある1点をかすめた時だった。

「ひっ!・・・や、んん」

抑えきれない艶やかな声。艶かしくしなる躰。ほんのりと汗ばみ赤みがさした肌は桜を思わせる。程よく解れ、指を奥へ奥へと誘う。それらを眺めていた時雨は、抜き差しを速め集中的にそこを攻め始めた。それに伴い縮まっていた飛影のものは再び熱をおび始め、シーツの上に染みを造り始めていた。時雨は指をなかで拡げたまま更に挿入を繰り返す。クチュクチュとその度に恥ずかしい水音が室内を覆う。その羞恥の音が鼓膜をも刺激し、飛影はいやいやをするかの様に枕の上で頭をふる。その間、時雨は、腰を抑えていた手を前へと回し、芯をもったまま放置していた乳首を抓る捏ねるを繰り返す。すると、堪らず飛影は声をあげる。それに伴いなかが貪欲に蠢き時雨の指を締めあげる。

「飛影」

時雨は困惑していた。これほどの名門とは、と。出入りしている指を勢いよく抜くと、後をおうように震え次を望むかのように誘う後孔。先ほど迄慎ましくあった蕾は今では男を迎える為だけにあるかのようだった。一瞬ゴムをつけるべきか否か迷った時雨であったが、隣の男からの視線が熾烈に放っていることに気づく。先ほど、血まみれにしてよいとは云われはしたが、本意でないことは蔵馬の態度を見ていれば明らかであるように思われた。時雨はゴムを装着すると未だヒクヒクと誘っている後孔にあてがいゆっくりと奥へと貫いた。そして、時雨は驚愕が確かな確信へと代わるのを肌で実感した。今まで抱いてきた男の誰よりも魅惑的に蠢く飛影のなか。直に触れていたら間違いなくもっていかれたに違いない。それほど迄に飛影のなかは気持ちが良い。

「あ、ん・・・ぅんん」

指で確かめた前立腺を徹底的に突き上げ擦りあげる。始めて男を迎え入れた器官とは思えぬほど感度もよい。それになにより、包み込み絶妙なうねりと締めつけ具合に時雨は一時我を忘れ腰を打ち続けた。

「ぅ、はっ・・・あん」

乳首から脇腹を何度も往復し飛影の肌触りを楽しむ。その都度飛影は敏感に反応し声をあげるとともになかの締めつけ度合いが増す。細い項から背中にかけて唇を這わせ、時折耳を食む。しっとりと汗ばんだ肌触りは時雨の頭から蔵馬を忘れさせるほど夢中になるほどであった。ローションの滑りを借り、時雨は挿入したまま飛影の躰を反転させた。

「ひひっ!・・・や、ぁあああー!」

向き合う形になるとともに、飛影の両足を抱えあげ抜きかけたものを激しく穿つ。

痛みを訴えていた声はしだいに艷めきのものへと変化してゆく。それが証拠に飛影のものからは後から後から快楽の汁が流れ続けた。その鈴口を指の腹でもって刺激してやると我慢の限界を超えた。明らかな欲望の証を飛影自身の腹や時雨の手のひらや腹を白濁したものへと変えた。恍惚としている飛影を、この時時雨は始めて美しさを感じていた。その後も貪るように2度3度と飛影の躰を貫き続けたのだった。

ぐったりとした飛影の姿に、時雨は漸く自分自身を取り戻した。禁欲生活が長いとはいえ、我ながら失態を演じたものだと自嘲的な笑みがこぼれ落ちた。

その時、隣からクツクツと笑う声と手を叩く音がした。明らかな嘲弄に時雨は舌打ちしたくなった。

「思っていた通り教科書どおりのセックスする奴だな貴様は」

蔑むセリフ同様、蔵馬の表情は暗闇を彷彿させた。

「指をくわえていることしか出来ぬお主らしい言い種じゃな。それとも、怖いのか?怖いのだろうな。飛影に嫌われることが」

「・・・」

「今まで淫蕩の限りをつくしてきたお主だ、それを飛影に悟られるのがそれほど恐怖か?黙秘ということは図星か」

「貴様に俺のなにが判る」

「・・・。判ることもある。少なくとも、思いを殺す苦しみはな」

「・・・」

「しかし、こんな事を続けていたら、そのうちなにもかも失うぞ」

飛影も、飛影から与えられる無償の愛も。

しかし、その忠告は蔵馬には届いた様子はなかった。それとも、それとも。それも承知の上なのであろうか・・・

その上で、飛影に請うているのだろうか。もし、そうであるならば、なんと蔵馬の思いは苛烈なのであろうか。己だけてなく、飛影にも又同じ苦しみを味あわせる。蔵馬を好いているならば、もがき耐えてみせろと。共有する苦しみが2人の愛情だとでも云うのだろうか・・・

「終わったならさっさと俺の前から消えろ“狗”が」

「次は恫喝か。実にお主らしいな。・・・、もう1つ。もし、こんな馬鹿馬鹿しい事を続けてゆくつもりなら、飛影に男を選ばせる際には慎重にしろ。飛影の為でもある」

1度男の味をしめたら貪欲になりかねない躰。蔵馬からの愛情を請えないと錯覚した時、飛影はおそらく自暴自棄になり男たちに溺れる。その可能性を時雨は示唆したのだった。

「狗はキャンキャンと五月蝿くてかなわん。さっさと去ね!殺されたいのか!」

「狐はよく嘘をつくと聴くが、ほどほどにしておけ。でなければ本当に失うぞ」

そんな事とうの昔から判っている。判った上で確かめられずにはいられなかった。愚かしいと笑いたければ笑うがいい。臆病者と蔑むならばそうすればいい。もう、後戻りは出来ないのだから・・・

時雨に抱かれた飛影を蔵馬は見つめ、誰にも真似出来ぬ優しい温もりで蔵馬は包みこんだ。

ゴメンね、飛影。こんなやり方しか思いつかなかった。こんな風に貴方を苦しめるつもりもなかった。でも、云って欲しかった。ただ、一言。あの朝の際に、ただ、一言。

好きだ、と・・・───










2014/10/31

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