- Awake Memo - | ナノ




The dear devil was found. It is destiny to love it if it is destiny to fight again. Oh, you are my fallen angel.


2015/01/13Tue
以外に大胆だったのは一緒
風邪をひいた蔵馬だったが・・・



「ぐづしゅんん!!・・・、あ゙あ゙ー風邪だなごれば」

誰もを魅力するその美しい音色を奏でる声はしわがれ、蔵馬は目の前の景色がゆらゆらしている事に気づく。妖怪でありながら、躰そのものは人間。自身でも厄介だと思うほどだ。心が受け付けないのか、はたまた別の理由からなのか定かではないが、人間界の薬は躰にあわず、いつも自身で処方していたのだが、最近忙しさにか負けてストックを作り置きしていなかった結果がこれである。

しかも、もっと大変な事情がある。その為には結界を張り巡らし、誰1人として部屋には入れたくはない。そう、例え愛しき飛影とて。

揺れ動く躰をなんとか絞り出す。あと1枚で結界の札を貼り終える。その時であった。そして、蔵馬は自分自身の迂闊さに後悔するのだった。それとも、心の片隅で待ち望んでいたあらわれであろうか、ベランダを最後にまわしてしまったとは。

「・・・」
「・・・」

互いに無言で対峙する。蔵馬は憮然と、飛影は唖然とした表情でもって。

「触らせろ」

・・・、やっぱりそう来ましたか。

「だめ。がえっで」

「・・・、貴様なんだその声は?」

「風邪でず」

案の定風邪を知らない人であった。確かに妖怪には無縁な病気である。そもそも、千年生きてきて風邪に出会ったのはこの躰が人間になったこの数年だ。なんと弱々しい躰になってしまったことか。

「まあ゙ー病気でず。大丈夫です、だぶん貴方にば移らないがら」

渋々蔵馬は飛影を部屋へと招き入れた。しかしながら、先ほどから飛影のキラキラしたルビーの視線が居たたまれない。背後にウズウズと効果音を背負っている。

妖狐の時にはおずおずとしてるくせに、やはり人間姿の方が低い位置づけなのだろうか。それとも、人間姿の方にこそ心を開いてる、とか?無い無い、飛影に限ってそれはない。飛影には人間姿も妖狐も何方もずる賢い、そして、憎らしいに違いない。恋人と思っているのはもしかすると自身だけかもしれないのだ。何方の姿の時も、始めは強姦だっし。その後も7割強無理矢理だし。蔵馬は過去を振り返り悲しく自分自身の考えに訂正をいれる。そう、残念ながら強姦率は9割強だった。それも、果てしなく100%に近い。飛影から1度として誘われたことはないし、最中でさえ嫌そうな顔を浮かべている。念入りに愛撫を施しても、声1つとしてあげてくれない。

だが、しかし、飛影にもお気に入りがたった1つだけある。それは、妖狐の尻尾であった。しかしながら、蔵馬にしてみれば心臓を鷲掴みされる事と同意語であり、妖狐の時とてむやみやたらに触らせたりはしない。よほど機嫌が良い時だけだ。以前、黒龍波を放った後、枕代わりにした事があった。よほど寝心地がよかったのか、その後も、妖狐になると飛影の視線は必ずや尻尾に向く。そうだった、触らせてやるからヤらせろと云った事も数度ある。しかも、その数度のうち何回かは誰が来るかも判らない外であった。飛影に対し見境がない自覚はあるが、こうして考えると、よく飛影は文句を云わずに抱かれてくれているものだ。それが愛だと断言出来ないのが悲しくもある。

「ぎょうは貴方にがまっでやれないよ?」

「人間の時には黒い尻尾なんだな」

聴いてる?ねえ、飛影、聴いてる?そのウズウズした手はなにかな。

そうなのだった、躰を壊すとバランスが崩れるのか、耳と尻尾が生えてしまうのだった。妖怪妖狐ならいざ知らず、人間姿では変人に分類されそうで、風邪の時には一歩も外には出られない、と云うか出られない。だからこそ、部屋中に結界を張り巡らし、母には狐お得意な幻術で誤魔化して今まで来たのだった。

「ヤられてやるから触らせろ」

「!!はっ?」

そう云うなり飛影はスカーフを外し、マントも外しバックルに手をかける。その姿を今度は蔵馬が唖然として見つめていた。と、同時に、自分が今までどれだけ無茶を強いてきたか再確認されられ胸が痛む思いだった。確実に飛影のなかでは、尻尾を触りたければセックスしなければならない事がインプットされてしまっていた。自身に呆れる思いでもあった、どれだけ尻尾で飛影を釣り上げてきたのだろうか、と。

しかし、美味しい。非常に美味しい。こんな機会、飛影相手ではこの先何年待つか判らない。だが、しかし、今の躰の何処にそんな余力があると云うのだろうか。

「まっだ!まっだ!!ずどっぷ!!」

理性を総動員し、慌てて声を荒げて中断させたが、ルビーの瞳が一瞬、ほんの一瞬哀しみに彩られたことに蔵馬はきづいた。そうだ、飛影の性格を思えば、なんとも思っていない者たちはその視界に入れることさえ煩わしく思う様に、逆説的に云えば、飛影は間違いなく自覚して自身に抱かれているのだ。ただ、それを云うのが恥ずかしだけで。その事に気づき、蔵馬の心に羽が確かに羽ばたいた。

「・・・、あ゙あ゙ー、えっどね、躰本調子じゃないがら貴方を満足ざせられないんです」

するとどうだろう、今度は目に見えて悲しげな顔色へと変化した。

嗚呼、駄目だよ、俺にそんな顔見せては。貴方をめちゃくちゃに蕩ける迄抱きたくなるじゃないか。悶々としてる間に飛影は脱ぎ捨てたマントを拾い、そのまま部屋を出ようとする。

本能的に腕が伸びていた。このまま帰してしまったら、その恐怖は蔵馬に冷水を浴びせたも同然であった。後ろから彼の小さな躰を抱きしめる。ここに居て、と、切に願いながら。

「・・・、熱いな貴様の躰」

「うん。ごめんね。・・・、尻尾も熱いがも」

触ってもいいよ、と云うサインでもあった。飛影は振り返ると、今度は飛影自身から抱き返してくれた。背中に回る小さな手の感触をこれほどまで愛しいものだったのだと蔵馬は再確認したのだった。触りたくても、今はきっと自身を気遣ってくれて我慢している。それがなにより嬉しかった。

「風邪とはなんだ?」

「クスクス、怪我みだいなものがな」

「・・・。薬屋みたいなくせに、速く治せ馬鹿」

「うん」

『ねえ、飛影。治ったご褒美、貰える?』

耳元に近づき囁いたそのセリフに真っ赤な顔になったのは云うまでもなかった。

嫌というほど愛してあげる。嫌だと云っても愛してあげる。










Fin.
Title By 確かに恋だった



prevSite Topnext


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -