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The dear devil was found. It is destiny to love it if it is destiny to fight again. Oh, you are my fallen angel.


2013/10/05Sat
lame excuse
ハッピーハロウィン。誰が為の悪戯・・・



「熱心だな蔵馬」

目の前には山と積まれたお菓子。それらを1つ1つラッピングし箱詰めしている。しかも、ダンボールの端には天地無用シール迄。最近人間界と魔界との間を宅配サービスなるものを始めた。もともとは大統領政府や躯たちがパトロールに必須な夢幻花の花粉を如何に届けるか、から始まった。蔵馬とて作り置きはしているが、何分生モナらしいく精製して直ぐでないとその効果が薄れるらしい。実際、人間界へと返された者のなかには、その効力が不充分の者が多くいる。その一部には、やれ地球外生物にあっただの騒ぐ者たちもおり大統領政府もこの問題を軽視出来なくなっていった。今迄は注文されると飛影がこちら(人間界)に来たついでに言付かっていた。が、しかし、飛影もそのまま魔界へと足を運び難い状態に陥るこが多々あり(蔵馬が色々邪魔して)、結果として夢幻花の花粉なしにパトロール部隊前線は対処し得なく、肺の洗浄のみを行い人間を強制送還するに留まった。温厚な煙鬼も最初の頃は見逃していたが、こうも続くと蔵馬に対しきつく一喝した。が、この妖狐がそんな脅しに屈する筈なく。その後もこの状態が続く羽目になった。大統領政府は此処に至って飛影に託けるから不味いのだと気づき、新たなルートを開拓することにした。その答えが宅配サービスである。運営は無論大統領政府直轄。このサービスが始まるやいなや、パトロール前線で夢幻花の花粉がきれたことは1度としてない。おまけに、躯や大統領夫人等酒好きで知られる者たちは、人間界の酒を好きな時に呑めるとあって、このサービスを高く評価しているらしい。この甲斐あってか、大統領政府の懐は潤っている。幽助に云わせれば、今迄どれだけ飛影に物の運搬頼んでたんだ?と、いうことになるが。

「もう直ぐハロウィンですからね、飛影が向こう(魔界)で困らないようにしないと」

「なるほど、ね。飛影の周囲には悪戯好きな奴ら多いからなー」

躯を筆頭に、と、幽助は心中で続けた。無論と云うべきか、このなかに幽助は自分自身は入らないと思っている。

宅配サービスが始まったと同時に、人間界の風習なんかも魔界では広まっていった。バレンタインはもとより、クリスマスなどなど。去年ハロウィンの際、飛影の手元には一切のお菓子はなく、その為散々なめにあったとか。ついでに付けくわけえておけば、蔵馬も飛影との甘い夜はお預けをくらったとのこと。これに関しては、幽助は自業自得だと思っている。

「でもよ、このサービス始まる切っ掛け造った張本人が1番利用してるってどうよ?」

お前の性慾が原因だろ?と、ちくりと嫌味を口にした。が、返答は。

「それはそれ、これはこれですよ」

云いきったあたりが蔵馬らしく、幽助は苦笑するに留まった。飛影もまた大変な奴に惚れられたもんだ。

数日後───

「あれ?飛影、どした」

人間界に今日いるとは思わなかった。なにせ、今日はハロウィン。魔界で蔵馬が待っているのでは?その疑問は飛影の答えが解決してくれた。

「チッ、あの馬鹿洋酒入りの菓子ばかり送ってきやがった。全部躯にとられた」

「へえー」

そこで幽助はある事に気づき、人の悪い笑顔を造った。

「で?わざわざ蔵馬のとこに菓子食いにきたってのか、それとも、“悪戯”されにきた、とか?」

案の定、真っ赤に染まる。朱色は耳迄到達している。

「べ、べ、別にあいつに会いにきたわけじゃないぞ!俺はただ菓子を食べにだな」

「ハイハイ」

こんなんだから、躯たちの肴になるのだろう。

お菓子、か。ハロウィンってのは確かお菓子くれないと悪戯し放題だったな。見ると、飛影の手元にはお菓子などなかった。あいつ、絶対に確信犯だ。躯たちから飛影を独立させ、立腹させて人間界へときたところを美味しく頂くつもりらしい。感心していいのか、呆れていいのか判断に悩むとこだ。

「確認するが、おめーちゃんとハロウィン知ってんのか?」

「知らん」

やはり。テキスト通りの回答に幽助は項垂れた。去年の教訓がこいつには生かされてない。躯たちの性格を思えば、おそらく菓子は強奪に近かったに違いない。飛影には無垢でいて欲しい親心がそうさせたのかは甚だ疑問だが。が、しかし、ここで幽助にも悪戯心が沸き起こる。目の前のコンビニに入り、小さな四角い菓子を飛影に渡した。

「?」

「お守りだ」

おそらく、なにも知らない飛影は今日はあのセリフを云えばタダでお菓子が貰えると思っているのだろう。そこを蔵馬も判っている。だからこそ、躯たち向けに洋酒入りの菓子を送った。飛影の手元には最初からなにも残らないと計算して。飛影にとびきり甘い菓子を渡しながら、狼に変貌する気満々。「じゃ、俺もTrick or Treat」。無論、飛影はなにもない。狼狽したところをすかさずって寸法だ。蔵馬の慌てる顔を直に見られないのが難点だが、この悪戯は成功する。ニンマリと幽助は笑ったのだった。後日、痛いしっぺ返しが返ってくるとは知らずに。

一方、飛影は。

「蔵馬、とりっくおあーとりーとだ」

「はい、どうぞ。・・・フフフッ、飛影、俺もTrick or Treat」

「ん?貴様も食べたいのか」

ええ、勿論です。貴方を美味しく食べ・・・、あ、れ?飛影の愛らしい手のひらには小さな四角い菓子が1つ乗っていた。

「ほら」

チロルチョコレート!!

蔵馬の計画が破綻した瞬間だった。










Fin.
Titl e By たとえば僕が



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