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The dear devil was found. It is destiny to love it if it is destiny to fight again. Oh, you are my fallen angel.


2013/05/06Mon
小ネタ。
雪菜ちゃんと蔵馬の一騎打ち?



この男に兄を任せてよいのだろうか、と、雪菜は真剣に思った。執着心が強く、独占欲も人より数十倍はある。それらは逆の視点を考えれば、1度懐に入れた者は大切にしてくれるだろうことをうかがわせた。それゆえに、この男の存在そのものを黙認してきた。見目も悪くないし、なにより切れ者としてあの躯さんや黄泉さんが一目置いている。それが、こんなにもオツムの足りない男だったとは。未誤ったわ私。かと云って、今更2人の間を裂くのは躊躇われる。もし、そんなことにでもなったら、兄たる飛影の方が泣き出しかねない。それは不味い。ああ見えて、一途な兄。そんな兄の悲しむ顔は雪菜の心に霜を降らせるには充分だった。雪菜は蔵馬に気づかれぬように小さなため息を零した。

「ね、この通り雪菜ちゃん!」

「ですから、そんなことの為にはお教えいたしません!」

なにが蕩けるセックスをプレゼントしたいだ!媚薬ですって、そんな危ないもので兄を汚されてたまるものですか!

「そんなあー!」

眉を下げ、如何にも情けない顔を蔵馬は浮かべた。しかし、その表情そのものが造り出されたものであると、雪菜は瞬時に理解した。人間臭い顔のそのもののしたに、隠しきれていない獣のそれが見てとれた。そして、この男はこちらがそれを見抜くことも知ったうえで演技しているのだ。今とて、心のなかでは赤い舌が蛇のように笑っている。こんな腐った二重人格だと最初に気づいていれば、兄を任せようなどとは思わなかったに違いない。だからこそ、これ以上兄の傷になるようなことはなんとしても避けねば。情に流されたらそこで終わる。これは勝負ですわね蔵馬さん!

「雪菜ちゃんの誕生日でもあるんですよ」

「外堀から攻めるのは確かに定石ですが、人選は失敗ですわね蔵馬さん」

暗に自分は落ないと云ったのだが、その瞬間「ちっ!」と、蔵馬の苦々しい舌打ちが虚しく響く。

「そういえば、雪が降っていたと聴いてます」

「当たり前でしょう!氷河の国なんですから!」

「クスクス。怒ったお顔も整っていてむかつきますわ」

「あのね雪菜ちゃん。俺が大人しくしている間に云ったほうが得策ですよ」

「まあー怖い。今度は脅迫ですか。それにしても、薬に頼らなくては兄を満足させられないなんて。・・・、蔵馬さんももうお年ですのね」

その瞬間、蔵馬のこめかみに青筋が浮かんだ。それとは対極に、雪菜の表情はしてやったりと満足気に微笑んでいた。そこにいたのはまさに、氷の美少女。





ちゃんちゃん☆
蔵馬兄さん一生この双子には勝てないから。



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