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The dear devil was found. It is destiny to love it if it is destiny to fight again. Oh, you are my fallen angel.


2011/03/05Sat
狐さんわたしをたべて
蔵馬の欲望のプレゼント、それは、・・・



飛影は自室のベッドの上に置いてある物に、脱力感でもって項垂れたのだった。綺麗に包装された中身が何かなど聴く迄もなく。ため息を吐き出しつつ、それをビリビリ、と、盛大な音をたてながら紐解いたのだった。

やはり、これか・・・

奴が時折変態になることは、短い付き合いながらも充分に承知していた。が、しかし、「ウサギになってね」と、云われた際、脳内に、別れたい、と、過ったのを誰が責められよう。

着れ、と、いうことか。本音はこんな妖しげな物は黒龍で炭と化したいところである。だが、一緒に入っていたメッセージカードには脅迫文が綴られていた。ゆえに、飛影はそれに屈しざるをえなかったのだった。「Yは手のひらにあり。危害を与えたくなければ・・・」Y。つまり、雪菜を指していることは明白であった。

「あの野郎。いつかぶっ殺す」

雪菜と蔵馬。飛影は2人とも大切であるには違いない。が、時として、蔵馬に愛情より殺意が芽生えるのも、又1つの事実であった。

ふわふわの手触りが心地よい、ファーを主体としたそれら。上着は胸迄の長さしかなく、着れば腰や腹は曝すこととなる。下のパンツはどう見てもボクサータイプの下着の長さに等しい。そのうえ、尻にあたるところは、ポン、と愛らしい丸い尻尾。ご丁寧にウサギの耳を形どったカチューシャ迄揃っていた。

着たくはない、絶対に。しかし、と、そこであることを思い出し飛影はため息を溢す。

この部屋には実は、盗撮用のカメラが仕込まれていた。これを通して、画面の向こう側に存在する奴に見られたら。そう思考すると、着なかった場合の報復の方がよほど恐怖にあたいしたのである。以前、怪我の治療にこの部屋を訪れた時雨は「2度とお主の部屋には入らぬ」と、死人に等しい土色をし、血判書を持参したほどである。誰が時雨にそのような所業を行わせたのか、知る実用性はない。飛影本人も、その後、蔵馬の手によって、きつくお灸をすえられた。3日ほど立てず、ベッドの包容に包まれた生活を余儀なくされた。

その問題のカメラ。設置したのは、部屋主ではなく、その思い人の蔵馬。しかも、堂々と、「浮気防止です」と、のたまわった。飛影はあいた口が塞がらなかったものである。嫉妬深い奴である、と、承知してはいたが、ここ迄されれば、むしろ諦めたのだった。

いつも着用している黒い服を脱ぎ、それを1つ1つ着用したのだった。カメラの死角はたった1つ。その脱衣場で。どうせ、奴はこのカメラの前でもって、スタンバっているのは明らかである。憮然としたオーラを纏わせながら、開きなおっていい放つ。

「着たぞ」

ウサギ飛影の完成である。

カメラの前で、ふんぞりかえりながら宣言した。しかし、それとほぼ時を同じくし拍手が沸き起こったのだった。羞恥が表に出るより速く、狼狽しつつそちらに視線を向ければ、このろくでもない物を贈りつけた張本人が、悠然と立っていたのだった。

「可愛い、可愛い。似合いますよ、飛影」

「蔵馬!」

いつからそこに居たのだ、と、怒鳴りかけ、ハッと気づき、わなわな、と、怒りがせりあがる。迂闊であった、脱衣場はドアを閉めなければ、中は容易く見れる。奴の表情を見て、着替えの一部始終を妖気を消しその場で見ていたと気づいたゆえであった。

「耳は片方タレたほうがより好みかな」

などと、注文迄するしまつ。しかも、この耳、しっかと、中身が出来た仕組みになっており、蔵馬の手により、右側の耳をタレされたのであった。

「よし。完成。おいで、飛影」

手を掴まれエスコートされた先には、これまた奴が勝手に贈りつけた等身大サイズの鏡。そこに映し出された卑猥な己の姿。

「ふふ。顔も真っ赤になって、美味しそう」

すると、するりするり、と、腹の隙間から奴の手が侵入してきたのだった。

「ぁ゙ん!」

奴の手管によって代えられた躰は、乳首を摘み弾かれただけで反応してしまう。脱力し、後ろに立っている蔵馬に身を委ねたのだった。うなじから、耳の中、耳たぶ、それらに舌で嬲られつつ、両方の胸は奴の手によって、ツン、と、主張し始めていた。躰中が熱くなり、鏡に映しだされた己は、息も絶え絶えに、淫らな表情をしていた。そればかりか、下半身の白いとある部分が隆起し、色が僅かながら変色し始めてさえいた。

「淫乱なウサギはね、狐の好物なんですよ。ふふ」





その後、飛影は鏡の前で盛りのついた狐に嬲られ、啼いたのだった。










Fin.
Title By 確かに恋だった



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