◎ 29
<〜もしあの場面が違っていたら〜>
ぽかぽかしていてとても暖かい。
あ、そうだ……今は日陰で寝てるからだ。
あれ………なんで寝てるんだ私……?
えーっと……あぁ確か疲れたから、だっけ。
どれくらい寝たのかな、時間が全くわからないや。
「……て、……」
……声がする。
なんか、似たようなこと前にもあったな。
この声、翔音くん………?
……私の隣にいるような気が………。
バシャァァァァァア
「ぶふぁぁぁああッ!?」
な、なん、何だ何だ!?
顔に冷たいものがバチャァァって……。
あたりを見回すと、私から少しはなれたところに翔音くんがいた。
こちらに水鉄砲をむけている。
……水鉄砲だと……!?
「……ちょ、翔音くん……なんで水鉄砲……」
「……この家の玄関にあった」
なんで玄関に水鉄砲!?
遊ぶ気だったのか柚子は!?
いやそれよりも、
「それをなんで私にかけるのさ!!おかげで顔がびしょびしょになったじゃんかああああ」
「……だって、ゆすっても起きなかったから」
「だから水鉄砲有効活用したの!?どんな理由だ!!」
私がそういっても、翔音くんは気にしていないみたいだ。
“私を起こす”という目的を果たして満足したのか、彼はぴゅーぴゅーとあちこちに水鉄砲を発射している。
……楽しそう………
なんて起こされ方だ私。
確かに目はばっちり覚めたけどさ。
何この敗北感んんん
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