火神大我の守護霊 | ナノ


高校にあがってからは頻繁に悪夢に魘されていたけれど、それもある時期を境に減っていった。なにが原因だろうとずっと考えていたけれど、漸く、なんとなくだけど理解している。火神君と仲良くなってからだった。彼と長く話した日は決まって恐い夢はみない。本人に直接相談したこともあったけど心当たりないようで、寧ろ本人もこわがりだった。
「確かに火神大我は霊能者ではない、だが生まれつき備わっているものがある」
「守護霊様のこと?」
「あれは神霊と呼んでも過言でないくらいだね」
「す、すごいね」
「常軌を逸してるよ」
赤司君は言う。
「虹村億泰のスタンドがキングクリムゾンというくらい異常だ」
「……赤司君?」
「ん、君が分かりやすいと思う例えを出した筈だが?」
「ううん、ジョジョ読んでくれてありがとう」
それも登場人物とスタンドをフルネームで覚えてくれるとはやはり赤司君はすごい。
「つまり火神君は普通の男子学生だけど、守護霊がラスボス並みに強いってことなんだね」
ゲームの主人公みたいでかっこいい。でもそんなものを背負って本当に負担はないのだろうか。
「相変わらず他人の心配が好きなんだな」
赤司君は顎に手を添えて溜息でもつきたそうに腕組をする。呆れているらしい。
「明晰夢って知ってるかい?僕達がしていることだよ」
そう言って前振りなく綺麗に笑う。今、私と赤司君は夢の中で会話をしている。悪夢を見なくなった代わりに、時々こうして赤司君の話し相手になっていた。赤司君の方から出向いてくれる日もあれば、私の方が赤司君に招かれることもある。私自身はただ夢を見ている感覚でしかなく、赤司君が全ての主導権を握っているといっていい。
「理解はしてるな?ここは僕の世界ということだ」
中学時代を思い出す、あの人離れした彼がいた。彼が何者なのか、まだ誰にもわからない。

120828/八話了

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