クラスメイト | ナノ


保健室の外でわざわざ待っていた火神君に感情が歪んでそれを誤魔化そうと笑ったら余計彼の表情が険しくなって本当にどうしようもない。リンゴのうさぎの耳みたいな眉を吊り上げて私を見下ろす彼はなんやかんやで格好いい。彼は目もうさぎみたいなんだから。そんな顔しなくて大丈夫だよと笑いかけようとして、皮膚がひきつった痛みに上手くいかない。
「……ンで黙ってた」
火神君の視線を追って左頬の白いガーゼを手の平で隠す。その時漸く私の手に汗が滲んでいることに気づく。やましいことなんて無い筈なのに罪悪感に似た身勝手な気まずさでいっぱいで、それを彼に悟られるのを恐がってる。「ええと、」言い訳を沢山して、でも元々喋るのが得意な方じゃない私の言葉は大変聞き苦しいものだった。でも長くしゃべっているうちに火神君の気も落ち着いてきたようで助かった。短気だけど話せばとまってくれるのはいいことだ。
「全然大したことない…っていうかほら不細工になっちゃってはずか…」
彼の行動に言葉を失った。不意に大きな手が頬を抑えた私の手に重なる。私の指の隙間に彼の指がかぶさる。熱い。
「別に不細工じゃないだろ」
疑問符を浮かべて躊躇うことなくあの真っ赤な目でみられて思わず息をとめた。
「けど勿体ねーから、今度からは呼べよ」
顔を覗き込みながら、絶対何も考えずにいったって様子に瞬目を2回。うわー。嘘じゃないところがまたズルいと、顰めた顔にまた熱と痛みが増す。

火神君とクラスメイト/120823
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