初恋の人 | ナノ


※悲恋注意


彼女の身体を努めて優しく抱き寄せる。けれどどんなに気をつけても彼女の身体は砂の城のように端から崩れていく。ぼくは彼女を守りたかった。ぼくはなにも持っていなかったけれど、空洞の心でも救ってあげたいと思った。「ごめんなさい」あふれる涙が彼女の朱色に交じる。抱きしめる身体よりも早く深く心が崩れていく。中身のないそこがひび割れて裂けて刺さって血が流れる。その痛みでぼくは泣いた。答えは明確だ、彼女は一度もぼくに助けを求めていない。ぼくに白い包帯まみれの顔を向けて信じられないくらい綺麗に笑う。今もこんなにも蘇る。永遠になる。剥がれるメッキ。見え隠れする骨組み。この日ぼくは呪いにかかった。(それでも好きなんです)

黒子君と初恋の人/120823
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