ご褒美 | ナノ


「ちゃんと見てた、勝ったね」
屈むよう仕草だけで訴えると訝しみつつも従順に膝を折るから、彼は本当に私に甘いなあ、堪えても堪えても口許が緩む。いつも以上に高まる動悸が気づかれないように祈りながら、背伸びをして彼の赤髪をかきあげて、
「おめでとう」
幼さの残る額にリップ音を立ててキスをした。小さな子が悪い夢に魘されない為のおまじないみたいに、少しだけ魔法をかける。
「おま…っ、なっ、ばっか…!」
火神君は綺麗な眸を見開いて顔を真っ赤にして口が大きく開いては閉じる。ちらちらと見える犬歯がかわいいと思いながら暢気に笑う。彼といる空気はこうも心地が良い。
「ンなろ…なににやけてんだ」
「わっ!いたた」
仕返しに暴風でも喰らったように頭をぐしゃぐしゃに混ぜっ返された。くせっ毛だから一度崩れれば絡まって大変だと大袈裟に嫌がるのに比例して弄ばれる。
「Thanks…まさか今ので終わりじゃねーよな?」
決して貌を見せないように縮むほど頭をぐいぐい抑えられて、相変わらず甘さを隠せない声を聴いた。


どうぞお気に召すまま。/120724

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