(グリムロック×ウルトラマグナス)R18



獣じみた荒い息遣いにウルトラマグナスが怯む。大きな体を折り畳み尻を掲げた格好で、背後に迫るそれに恐れを抱き、けれど震えて待っていた。激しさをもって伸びた腕は腰を手繰り寄せ、本能的に穴の位置を悟った雄はウルトラマグナスを犯した。地に這うかたちで行われるものに甘美な気配はなく、それは動物的な交配だった。
実際、片方は金属の肉体を有した獣だ。遥か昔の地球に生きたという肉食の王者が、太い尾を振って官能に震える。しかし、誰に習うでもなく種の保存を目的とした正に本能的な行動は、体の持ち主であるグリムロックにとっては不可解な興奮であり、どこか戸惑った声をあげた。
「オレ、グリムロック……やっぱりコレ、なんか、変だ」
「何が変なんだい?」
「体がムズムズして、でも、それがイイ、おかしい」
「おかしくないさ。それは誰しもが得る快感というやつだ」
それにいつも答えるのが、二人の傍らに立つ科学者の役割だった。今や調教師の仮面をかぶり、グリムロックの背を褒めるように叩く。
「そのまま好きにすればいい」
「でも、コレ、いつも、ウルトラマグナス…苦しそうだ」
「ああ、まあね、君にはそう見えても仕方ないがね」
落とした視線の先でウルトラマグナスは床に這い、呻き声をあげるばかりだ。口を開けば、レセプタから送られる痺れるような感覚が、浅ましい音となって飛びだすのが恐ろしかった。
「それがいいんだよ。彼は今悦んでいる」
「ぅうう……本当か?」
「本当だとも。そうだろう、ウルトラマグナス」
パーセプターは柔和に微笑むと、屈んで青い頭を撫でた。そうして、返答がないままでいると「言わなければわからないだろう」と言って、顔横の天へ伸びる白い特徴的なパーツを掴み、上向かせる。ウルトラマグナスは恨めしそうにその手を一瞥したが、逆らうだけの気力もなく、出来るだけ視線を逃がした。
「ほら、グリムロックに教えてあげなければ」
「ッ…く、ぅ…だ、大丈夫、だ…っ」
「何が大丈夫なんだい?」
尖った声に容赦はない。羞恥を覚えることを責めるように、思考を混ぜるように、パーセプターは掴んだ頭を乱暴にがくがくと揺する。
「くっ…ぅ、はっ、んんっ」
「君がはっきり言わなければわからないだろう」
「はっぁ、う、んっ、ん…!」
ウルトラマグナスの背後では、グリムロックが忙しなく腰を振っている。パーセプターに答えようにも、振動の中で上手く声を発することが出来ない。
どこか迷うようなことを言っても、所詮はケダモノだ。例えここで拒絶の言葉を吐いたとして、味をしめた快感の前では、男を犯すことに今更逆らうことも出来ないだろう。覚悟というよりは、いっそ諦めの告白をする瞬間、ウルトラマグナスの声は酷く震えていた。
「き、気持ちっ…、ひっぃ…っ、いい、から…ッ」
「だそうだ。わかったかい、グリムロック」
「そうか。オレ、グリムロック。わかった」
パーセプターは子供を諭すように微笑んで、グリムロックが頷くと、ウルトラマグナスからようやく手を離した。そして軽くステップを踏んで後退し、満足げに傍に寄せたスツールに腰掛ける。
「初めはどうなるかと少し心配だったんだがね、君たちは相性がいいみたいで安心したよ」
嘲りを含んだ台詞を聞きながら、ウルトラマグナスはきつく口元を結んだ。奥歯を噛みあわせ、耐えようとする。グリムロックは未だ比較的穏やかにリズムを刻んでいるが、それはいつ豹変するか分からない。繰り返し体を繋がされ、ある程度のお互いの癖を学習しても、気紛れな獣相手では上手く対処出来ないことがままあった。途切れることのない快感の波を必死にいなしながら、ただこの行為の終わりを願うだけだ。
「グゥウッ、ウッ……、ふっ、ふっ、ンンッ」
やがて、息を荒げたグリムロックが尾を振って足踏みを始める。細い爪の先がウルトラマグナスの腰部を、塗装を剥がさんばかりの勢いでガリガリと引っ掻いた。
「……やれやれ、我慢のきかない子だよまったく」
それが絶頂へ向かい更なる興奮状態に入る前兆だと知るパーセプターは、途端つまらなそうに顎に拳を添えた。頭を使い相手を翻弄することなど、低能なダイノボットに求めるものでもないが、事態を引き起こした身として惰性的な接続に飽きがきていたのを隠しはしない。
「ウルトラマグナスの中、ぁっあつい、気持ちいい」
「う、っふぅ、ぅ…っ、はぐっ、ぅあ!」
グリムロックは浮ついた声で、でたらめに腰を振る。唆された獣は、己の為に行動しているだけだ。二人の間にはもちろん名のつく感情などない。画策する調教師の足元で、獣の交わりは夜を満たすように長く続いた。



150504
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