(モブ×左右田)R18/田中×左右田前提



目隠しと、布が擦れて痛みを帯びた手首。それから身体中に蔓延する熱。左右田和一はベッドの上で自由を奪われながら、びくびくとひとり震えていた。乳首と勃起したぺニスに貼り付けられたローターによる責め苦に、涙を流しながら耐える。
「う、うう……ん、く、ぅあ、あ……」
抑え気味の喘ぎ声が空しく響く。目覚めたときにはもう自由はなく、左右田が起きたと同時に誰かがスイッチを入れて退室したことだけを覚えている。そんなことを出来るのは、恋人である田中眼蛇夢しかいない。部屋の、今いるベッドの残り香も田中のものに違いない。しかし、こんな仕打ちを受ける理由などなく、左右田はじっと待つ。
「たなかぁ…も、や……早く来いよォ…」
情けなく鼻をすすっても誰も助けてはくれない。微弱でもどかしい刺激が続き、時折体の奥が疼く。関係を持ってから幾度となく抱かれた体だ。最後には男の、田中のぺニスを嫌でも欲してしまう。射精したいのに出来ない。躾られたという事実を改めて突き付けられ、左右田は唇を噛み締めた。そうしているうちにやがて、蝶番の軋む音がし、左右田は小さく「ヒッ」と声をあげた。
「た、なか…?」
コツコツと床を鳴らし誰かが近付いてくる。不安になり呼んでみても、人物は何も言わず左右田の傍らに立った。そして、手が、乳首に当てたローターを摘まみ、ぐっと押し当ててきた。
「んな!あ、や、やめっ……ぅ、あ!」
振動のレベルを上げられ、左右田は仰け反って喘いだ。すっかり立った乳頭を押し潰される。乳輪にそってくるりとなぞられるとじんじん痺れ、ぺニスからカウパーがぴゅくっと吹き出す。
「ああっ、たなか、田中っそこ、ヤメ…っ」
視界を奪われたことで過敏になった左右田の体は、面白いほどよく跳ねる。男は真っ赤に熟れた乳首に満足したように、スイッチを切ると今度は無防備な下半身へと手を伸ばした。腕とは違い自由な両足は靴下のみで、今にでも暴発しそうなのを堪えるためか膝がすりあわされている。しかし強引に割られ、ぶるりとペニスが期待に揺れた。
「ぁ、…う……んひっ…う、くっ」
優しい手が貼り付けられていた最後のローターを外す。ようやく振動から解放された左右田は大きく息を吸い込み、また次に与えられるだろう刺激に身構えた。すると、手はさっきとは打って変わって乱暴にペニスを握り、左右田は「ヒグッ」と痛みに声を漏らした。痛いくらいに張りつめたペニスをかつてない激しさでそのまま扱かれるとひとたまりもない。
「イっくぅ…!イっちまうっ、んぁっ、あっああ、たなか、田中ぁ…!ヤメ、イ、ひぃいいッ」
左右田は腕を頭の上で拘束されているのも構わずにぎゅっと引き寄せ、体を丸めて射精した。一気に押し寄せてきたとてつもない快感に、せき止められていた精液もどぷどぷと溢れる。汗まみれの腹と手を存分に汚し、はあはあと大げさなほど胸を上下させて左右田は弛緩する。そうして、男の方に顔を向けた。
「なあ、田中…もう、いい加減コレ外してくれよ」
「………」
「怒ってんのか?オレ…何か怒らせるようなこと…」
いくら声をかけても男は変わらず無言でそれどころか行為を続けようと足を持ち上げ、濡れた手でアナルを探ってきた。初めはこういうプレイなのかと半分ほど思っていたが、本気で怒らせているならばどうしたらいいのか分からない。一度は引っ込んだ涙がまた溢れて目隠しを濡らしていく。
「ッあ!ぅ、ぐぅう!」
指が容赦なく入りこんでくる。濡れていたとはいえ、それは今しがた左右田が放った精液のみだ。セックスをする上でそこをよく慣らさなければ危険であることを、田中も理解してるはずだ。これまでにこんな乱暴に扱われたことはなかったと左右田はますますパニックに陥った。
「い、痛ェ…ふっ、う、うう…、…ん、ひっあ、あ…田中っソコ、ぃ、やだ…ッ」
けれど若く性に貪欲な体は簡単に熱を取り戻し、甘い声でまるで強請るようになってしまう。気持ちいいのと怖いのとがないまぜになり、訳がわからない。知ったような指先が中でぐるりと円を描き前立腺を擦る。不快感はいつの間にかなくなり、ただ入口のひきつれるようなピリピリとした痛みだけだ。それさえも上回るものがあるのだから、左右田は抵抗を諦めてしまいそうになる。
「田中ぁ、もう…中、いいから…」
羞恥を押し殺して誘う。元から快楽に弱い左右田は、早く終わってしまいたかったし挿入による強烈な快感を待ち望んでいた。乳首やペニスへの愛撫ももちろん好きだが、なによりもただの排泄器官だった穴を性器に変えてしまうほどの凶暴ともいえる一物が欲しい。
左右田の言葉に男が動き出す。指を引き抜き、代わりに入口をぐっと左右に拡げられどろりと液体を塗りたくられた。潤滑油がくちゅくちゅと音を立てるだけで左右田は腹に反り返ったペニスをひくつかせる。唾を飲み込み、呼吸を整え、先端がめり込む。
「あ゛っ…!」
ずぶぶぶと無遠慮に肉が開かれていく。初めはゆっくり左右田を気遣うように、そして一気に奥へ全てを呑みこませるように貫かれた。
「ああああッ…!が、かはっ、は、はひゅっ、あ、ああ…、うぐ、ぅっん………あ…?」
隙間なくびっちりとペニスが嵌めこまれている。圧迫感がいつもよりも大きい。感じたことがないほど、苦しい。左右田は思わず首を傾げた。入っているモノに、覚えがない。
「た、田中じゃ、ねェ…?」
背筋が凍るような、信じたくもない可能性を口走る。それを肯定するかのようにドンッと最奥を抉るように突かれ、左右田は咄嗟に開かれた足をばたつかせた。
「ヒィッ!や、やめろ…!抜け、あ゛あ゛ッ」
「っ、おいおい今更嫌がるなよ」
無言だった男がとうとう言葉を発し、聞いたことのない声に左右田は夢中で暴れる。しかし腕の拘束と足の間に入られているせいで思うようにいかない。男は片足とペニスを強い力で握り、左右田は痛みですくみあがった。むき出しの急所が少しだけ縮まる。
「痛い?じゃあ大人しくするんだな…勝手に彼氏と勘違いしてぼくを誘ったのは君なんだよ…?」
「はっ離せよ!あ、ああっ…う、いぎっ!動かな、あっあっあ、ひううっ」
「お尻そんなに気持ちいいんだ?すごいエッチな体だね」
「ち、ちが…んぁっ嫌だ、あ、田中っ田中…!」
無茶苦茶に揺さぶられて嫌なのに感じてしまう。精神的な充実がなくとも、誰に抱かれても射精に至れることなど知りたくはなかった。再び硬度を増し液を零すペニスと、馬鹿な自分をひたすら呪いながら左右田は田中に助けを求めた。来るはずもないとどこかで諦めながら、けれど想う他ない。
「はあっはあっ左右田クン、どうして彼氏のおちんちんじゃないってわかったの?」
「う、うぐぅうう…っ」
「あんまり唇を強く噛んじゃ駄目だよ。ほら、声出して、おじさんに教えて」
「痛ッ!っぁ…で、デケェ…か、ら!ぃあ、あああっ!ヤメっちんぽ触ん、なぁ」
「本当?嬉しいなあ」
左右田が口を閉ざそうとすると男は体のあちこちに爪を立てて開かせた。そしてペニスにも無遠慮な愛撫を与えて追い込んでくる。ぐつんっぐつんっと二人を乗せたベッドが軋む。体に火をつけられたような、体を内側から壊されるようなセックスに左右田の弱り切った心が砕かれる。みっともない涎まみれの嬌声があがり、男も調子に乗る。
「あ、あ、んっんぎぃ!い、イヤだ、ああっイ、イギたくねェよお゛お゛」
「すごいよ左右田クン、ふふ、なんだっけ、きみ、超高校級のおまんこだっけ?」
「ぅあ!メカ、メ、メカニック、ぅう!あんんんッ」
必死になって答えても男はおかしそうに笑うだけだ。抵抗がほとんど止んだのを確信した男は、腰を奥へ奥へとすすめながら乳首を指でこねまわす。それだけで左右田がびゅくっと精子が濃く混じったカウパーを放った。
熱を吐き出しても、またすぐに新しい灼熱が押し寄せてくる。玩具で責められる前に薬物を投与されていることも知らない左右田は、絶望的になった。恐ろしいほど気持ちいい。これでは淫乱と罵られても仕方がない。
「違うよ。だってほらおじさんのおちんちん、美味しそうに咥えてるよ」
「お、おま、んこじゃっ、ねェ!も、もう許し、イッイっちまうから、ぎゃう!う、ああああ!!」
突かれながら片方の乳首を吸われ、片方をつねられてペニスまで同時に扱かれてしまい、左右田は二度目の射精をした。今度は精液こそ薄いものの絶頂は長く続く。その間も男は休みなく無茶苦茶に体を揺さぶっていた。ひふっひふっと忙しない呼吸音が気持ち悪い。
「うっ、ぼくもっそろそろイクよ!左右田クンのまんこにっ中出しっ…してやるからな!」
「あうんっ…、っ、ンがっああ!」
入口を男の陰毛がくすぐる。根元までずっぽりと食いこませながら男は左右田の中で射精した。どくどくと脈打ったペニスから大量の精液を注ぎこまれる。
「あ、中…ぁ、出て…う、うっ…く……ぁ、あ……」
ショックと疲労、射精の余韻に左右田は放心状態で声を震わせながらなんとか呼吸した。男は萎えたペニスを抜きとり、ぶるりと震えて残滓で太ももを汚す。そうして、たらたらと未だ液を零している左右田の異変に気がついた。
「左右田クン、かわいいねえ」
「っ、あ……?」
ちょろ、じょろろ、と勢いを増しながら左右田のペニスからは、尿が流れ出していた。男はうっとりと名前を呼んで離れ、皺だらけの白いシーツに黄色い染みが広がっていく様を見物した。左右田は漏らしている感覚がないのか、力の入らない体を投げだしたまま途切れ途切れに声を発している。
「た、なか……たなか……」
「おやおや飛んじゃったのかな?」
「田中ぁ…ひ、ぅ…うっ…うう……うぁ…っ」
左右田はただ子供のように泣きじゃくった。頭の中で後悔と絶望が渦をまく。愛するひとのための体を汚され、勘違いしていたとはいえ自分で誘いこみ、射精にまで至った。長い間拘束されていた手首の痛みはあれど、行為の上でそれらしい傷をつけられたわけでもない。ただ、気持ち良かったから抵抗できなかった。それと同義であることに左右田は気付いていた。
「気持ち良かったね、左右田クン」
涙でぐっしょりと濡れた目隠しを外され、左右田は部屋の明るさに目を伏せた。男の手が頬に触れ、口を開かせる。あまりに儚い抵抗も空しく、唇を合わせられ分厚い舌が潜り込んでくる。気持ち悪さに嘔吐くも逃げられはしない。
「おじさんのところにおいで」
ぼやけた視界に映る男に、見覚えはない。
「彼氏のよりもぼくのおちんちんの方が大きいし、気持ち良かったんでしょ?それにね、もう行く場所なんてないよ?」
男は左右田を上向かせ、ねっとりと呟いた。ドクッと心臓が跳ね上がる。両手首を拘束している紫色には見覚えがあった。
「あ、あ…!」
「田中クン、だっけ?」
左右田は喉が裂けそうなほどの叫び声をあげ、最後の抵抗を試みた。目の前が真っ赤に染まるほどの殺意というものを味わう。紫のそれが、田中のストールなのか正確にはわからない。しかしそうとしか思えなかった。自由のきかないままベッドの上で暴れ狂う。しかし、それも長くは続かずにバチンッと強烈な痛みがわき腹に突き刺さった。
「がッ、ぁ……」
「また遊ぼうね、和一クン」
男の手に握られていた黒いスタンガンに、左右田の意識は強制的に落とされた。

朝、目覚めると何事もなかったように清潔な自室のベッドで眠っていた。汗と、オイルのにおいがする。目線を下げると愛用している黄色いツナギのまま眠っていたようだ。それにしても嫌な夢を見たものだと左右田はそろりとベッドをおりる。いつまでも寝ていられないが、体は重く、あちこちが痛い。
「ん?」
左右田はテーブルの上に置いてあったニット帽に手を伸ばし、やめる。手首が、長い間何かに擦られたように擦り切れ、赤く腫れていた。



130704 題:花洩
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