操屋 1/1



三が日は混雑が目に見えていたのでそれを避け、遅れて初詣に行った。天気もどんよりと曇っていていたせいか、確かにすいていたのはいいが、参ったことに雨が降り出した。傘は車に置きっぱなしだし、駐車場まで戻るにもそれなりに歩かなければならない。参道には古めかしい佇まいの店が並んでいるけれど、軒下に入っても吹き込んでしまう。飯屋を冷やかす気にもなれない。新年早々ついてないなと思っていたのだが、俺はとある男に出会った。
その、この寒いのに着流し一枚っぺらで、妙な雰囲気をした眼鏡の男は「よろしければ、家にいらっしゃいませんか。雨を凌ぐ都合もあるでしょう」と、俺に言った。男は脇の細道を指さして、それから操屋という休憩所を営んでいると俺の手を取った。男に手を握られても困ったが、とても清潔感のある不思議な色気のある男だったので、まあいいかなと思えた自分にドン引きした。


そうしてなんだかんだあって、今、その男(本名は草二さんというらしい)が、俺の上に跨っている。これがまあ困ったことにエロいのだ。
「あっ、ぁっん…っはぁ、あっあっ」
「あのっもう少しゆっくり…!」
「だめぇ…ッ、んっイってくださっ、あっ私の中で…っ」
「ちょっちょっほんと出ちゃうんで!おわっアッ」
それもかなりのテクニシャン。ついでにインテリっぽい眼鏡の奥にハートマークが見えそうだ。腰をグラインドさせて中をきゅうきゅう締めて、俺をイかせる。ゴムはつけてない。俺は初対面の男に中出しをキメたわけだ。最低。
「っぅん……、出ましたね。気持ち良かったでしょう」
「すみません…ほんとすみません」
「謝るならもっと私を気持ち良くしてください?」
「エッ!?あ、あのでも、あの俺、お金ないですし」
「お代などいりません。ほら、喋ってないで、ぁっ…私のお尻、もっと、使ってください」
甘ったるく囁いて俺の唇をぺろぺろ舐める。草二さんの中に入ったままの俺のチンコはまたガチガチに硬くなっていた。すべすべのお尻を鷲掴みにして持ち上げ、また落とすと女みたいな声が聞こえてくる。
「んはっ、あっあぁんっ…!はっすご、ぉっ、もうこんな…っあっ、お、ちんち……すご、きもち、ぃっ」
同じ動作を繰り返してチンコが中でごりゅごりゅ擦られている。俺のめちゃくちゃな動きと、慣れた腰使いが合わさってすごく気持ちがいい。草二さんは髪を振り乱しでよがってくれるから、こっちも興奮できた。全身を汗で濡らして、外の寒さが嘘みたいだ。

っていうか、なんでこんなことしてるんだっけ?
確か、店に入って、それ一枚で寒くないですかって聞いたら「じゃあ貴方が温めて下さいませんか」ってしな垂れかかってきて。障子一枚向こうに布団があって、草二さんが誘うように脱ぎ出したから俺も裸同士の方が温かいって聞いたことあるなあみたいなノリでいつの間にかチンコを突っ込まされていたんだっけ?

「これがっ好きなんですか?」
「好きッあ、好きです…っ、中、突かれるのっいぃッ」
俺は女相手にもしたことない激しい突き上げで草二さんをイかせることに成功した。なんてことはないはずの普通のチンコから飛び出た精液が俺の顔にまでかかった。
「おい、お客様の顔になにしてんだ」
「ハヒッ、あっご、ごめっなさ…ぁっん、あっ」
「ごめんなさいじゃないだろ!」
「あぐっ、ぁっ、ぁっ、や、申し訳っ、もうしわけ、ありませ…っぇ、あっあんっ」
別に気にならなかったけど、尻を叩いて叱ると泣いて謝りながらもまた萎えないチンコが間で揺れた。ああなんだってこんな気持ちいいんだ。俺は草二さんのつんと尖った乳首を摘まむ。赤く色づいてコリコリしてる。
「やぁんっ、そこ、はっ…はっぁ、い、いたっ」
「本当に?ここ痛いんですか?」
「はいっんっ…んんっ、で、でもっ気持ちいい、です」
とても素直に涎を垂らして尻を振りまくって、ご褒美とばかりに俺は草二さんの肩を掴んで胸元に顔を寄せた。それだけで察したらしく、強請るように胸を押し付けられたら舐めるしかない。いっぱい濡らすように小さな粒をちゅぱちゅぱと音を立てていじめてやった。
「ぁっ、あっ、いぁっああんッ、いっいき、ますっ」
「ん…ッ…んふっ、うっ、俺も…!」
また中出しだ。しかも二度目なのに自分でも全然濃い気がする。草二さんもまた俺の胸あたりまで飛ばしていた。むっとした精液の匂いにまたムラムラすることがあるなんて、知らなかったことだ。
「はぁっあ、どうしよ…全然止まんない!」
俺は無我夢中で今度は草二さんを押し倒して、主導権を握るとずこずこ腰を振った。このままずっとやってられる気さえしていた。底なし沼にはまったような気分だ。それも妙に熱くて下半身を丸ごと飲み込むような。
「んぁあ…!あ、ぁうッい、いっひゃばっかりっ…なのにっ、んっま、まだ元気、なんですね」
「だって、そ、じさんのっ中ッやばすぎっ」
「嬉しいっ、ンッぁ、はあっ…もっと、気持ち良くなってくだ、あっぁあッ!」
中が痙攣していた。多分イったんだろうけど、今度は精液が出ていなかった。


とにかくめちゃくちゃなセックスをして、時間も忘れていたし、そこが一応は店であることもすっかり頭から抜けていた。繰り返し犯し尽くして終わった頃、金玉は軽いのに全身はやたらに重くて、風呂に入ってそれらを思い出した俺は青ざめていたが、気付けば淡々と、玄関。
「本日は、ご利用ありがとうございました」
「あ、あの……ええと…」
「何も言ってはいけません」
すいと草二さんが謝ろうとした俺の口を塞ぐ。そういえば、ナマで何発もやったのに、キスは初めてでなんだか恥ずかしかった。
「でも、あの、」
「いけません。厄が戻ってしまいます。藤波さま。どうか、良いお年を。足元にお気をつけて、お帰りください」
そう言われて、背を叩かれて、俺は歩きだした。
名前を教えた覚えはなかったのにとか、色んな疑問がわいては消えて、呆然と歩く。濡れた路面の黒だけを眺めて、寒くてポケットに手を突っ込んで一度も振り返りはしなかった。

「あれ?なにしてたんだっけ?」
覚えてないけど、なんかいいことあった気がする。



150106


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