夜鶴衝動 1/2



隣のクラスの女子が妊娠を理由に退学したことがあった。派手な化粧で入学早々に好奇の目に晒され、ビッチだ淫乱だと上級生からも評判は悪く、あちこちに男がいると噂が立っていた。腹の子供の父親は、男手ひとつで彼女を育てた実の父親という話だ。真実か定かではない。でも彼女は確かに性的暴行を受けていたらしい。周囲はドラマのようだと他人事のように顔をしかめてせせら笑い、すぐに忘れて自分の下半身の心配をする。
僕と彼女には共通点がある。父子家庭であることと父親が夜に狂い性行為を強要することだ。けれど僕らは同性であり子を成さない。それは救いであるけれど、ほとんど女のようなあの人はいつか本当に僕の子を身籠るのではないかと、とても恐かった。

「巴、明日は学校を休みなさい。電話を入れておくから」
「……わかった。それじゃあよろしくね、父さん」
週の真ん中で父さんは時々僕を拘束する。頑張れなくなってしまったのだと、疲れた顔を隠そうともしない。僕に拒否権はなく、既に電話を入れているはずだ。学校の教師たちは、僕の欠席を自然と不審がることも止めた。
「さて、そうだ…今から出だして、日帰りの温泉にでも行こうか。二人でいけるところまで」
「疲れているのにいいの?そんなこと言って」
「巴と二人きりのドライブなんだ、苦痛なものか」
「それじゃあ遠出はやめよう。僕が気を遣うし、疲れる」
「若いのにだらしがないなあ」
こうして笑ってみると、まるで普通の親子だ。血の繋がった関係でありながら、互いのペニスを触り合うようにはとても思えない。小さい頃からとても過保護で心配性だった父さんが、僕をこうして従順に育てるために画策していたと疑う余地もなく、僕は今でも囚われている。
「それじゃあ、着替えて行こうか」
「運転眠くならない?」
「任せなさい。巴がいれば大丈夫だよ」
父さんはそう言うと顎をすくいあげて、キスをした。ほんのりと感じる苦味は煙草だろうか。僕のために止めたのに、強いストレスを感じると吸ってしまうという。ならば、それを癒すのが息子である僕の役目なのだろう。僕は父さんの唇を軽く噛んで、腰へ腕をまわした。
「ああ、駄目だよ、巴……っ」
「ハグだけだから」
抱き寄せただけで戸惑うのを、なんと形容したらいいのか僕は迷う。きっと、可愛いで正解だと思うけれど、どこかで軽蔑しなければならないとも思った。このままでは外になんて出られない。僕はわざと下半身を押し付けるようにして、それから耳へ唇を寄せる。
「父さん、かたいの…あたってるよ」
首筋まで赤くした父さんは俯いて、僕が誘うのを待っている。僕に求める台詞を言わせたいのだ。少し焦らして間をあけると、小さく腰が揺れた。
「出かけるのは明日にしよう」
「で、でも……こんなの、直ぐ治まるよ」
「僕が父さんを抱きたいんだ」
恥ずかしそうなのは演技じゃない。父さんはこの瞬間から、女になっていく。ドラマの中でしか見たことがない、尻軽でどうしようもない、男がいなければ駄目になる女だ。父さんは、武器にもならない貧相な体を僕に抱かせることで何に浸るのだろうか。
「じゃ、じゃあベッドに行こう、巴」
「なんで?ここでいいよ」
強引なくらいが好きだから、あえてそう言って押し倒す。毛の短いカーペットに転がった父さんの上に跨り、キスを仕掛ける。それだけでズボンの前を押し上げたそこがひくひくしていた。感じ易い父さんは、服を脱がす間もずっと震えていて、か細い声をあげる。
「こんなんじゃ、外出れないよ」
「ぁ、……っ、う…んっ、んっ、ぅ…」
「それとも外でしたかった?」
「まさか…!違う、違うよ、巴」
大人しく裸にされた父さんは意地悪を言われて泣いた。僕を責めるでもなく、ただ自分に酔った涙を僕は舐め取る。それから勃起したものを緩く掴んで上下に擦った。
「んんっ、ぁ…は、ぁ、ぁん……ッ」
太ももを忙しなく動かして、肩へ手を伸ばす父さん。甘えた仕草に胸がドキドキした。ペニスの先からはとろとろと透明な先走りが漏れ出し、添えた手は濡れていく。僕が小さな乳首に吸いつくと、父さんの腰がぐぅうと持ち上がった。
「巴っ、はぁ…っ、あっ…、ぅん、んっ」
「父さん、足あげて。後ろ解してあげるから」
頬にキスをしてあげてから、僕は名残惜しく体を離す。すると父さんは自分のひざ裏を掴んでお尻の穴を露わにした。見つめるだけでひくんひくんと収縮して、いやらしい。僕は濡れた指先を宛がい、更に唾液を落してそこを濡らした。そして皺のひとつひとつ愛でるように撫でて馴染ませる。
「指入れてくね」
頷いた父さんを褒めるように優しく指を入れていく。すんなりと飲みこんでいった様子からしても、自分で先に解していたのはバレバレだった。既に柔らかくなっていて、黙って二本目を入れた。
「あっ…んぁ、ひ、ぅッ…は、はっ…ぁっ」
「僕とするつもりでお風呂でいじってきたんだ?」
「そ、そうっ……」
「僕の知らないところで、父さんはお尻に指を入れて……えっちがしたして、中をくちゅくちゅしてたの?」
嫌と口走っても父さんの中はきゅうきゅうと僕の指を締めつけた。僕は欲しい欲しいと言っている穴の周辺へ更に唾液を垂らす。存分に濡らして拡げて、犯す準備をする間は震えを起こしそうな喜びを感じていた。


 


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