「私は、殿下が国を背負うに値するお方だと僭越ながら思っております。
…失礼ですが陛下と血が繋がっていなくても、殿下が城へ来て下さった事、とても嬉しく思っています。私はまだまだ若輩ですが殿下を、おまもりします」

「…有り難うございます…」

「…ええと、それは、許可していただいたと言う事でしょうか…」

「あっ、と許可、許可します」

「っ、はー!緊張したっ」

「俺も緊張したんですけど…」

「あっすいません…」

はにかんで立ち上がったフランクへ少し恨めしそうに視線を向けたキリは、
まだ少し戸惑っているようだ。
こんな街中で忠誠の儀をされたのとこうしてかしこまって頭を下げられたのに
慣れていないせいもある。
再び歩き出した二人は、今度は肩を並べていた。

「…あの。陛下は俺のことすごく大事にしてくれますよ」

「え?」

「…学院でのこと一番気にかけてくれてるのは陛下なんです。
嫌がらせとかやめさせろ!って大臣の人にも言ったんですけど、アガタがそれじゃあ俺だけ特別扱いになるからダメだって言ったんです。
俺もアガタの意見に賛成で、陛下は最後まで俺の心配してくれたんですよ」

「そうだったんですか…僕は陛下に大変失礼な事を思っていたんですね…」

「で、そのままアガタが言ったって事にするとアガタの印象も悪くなるからってフランクさんみたいに思わせるように今回の事は陛下が俺になんとかするように言った事にするって言ったのも陛下なんです。ちょっとややこしいんですけど」

「…それ、僕に言っていいんですか?」

「忠誠を誓って許可したんだから良いんじゃないですか?」

「…!はい!」

こんなにも嬉しいと思ったのはいつぶりだろうか。
本当は隣にいるだけでも恐れ多いはずの人物なのに
こうして対等に話をしてくれるだけでなく忠誠の許可までもくれるだなんて。
貴族は兵士になって忠誠を誓う事は珍しくないが、勿論許可されない事も多い。
まして王族の、女王の息子である皇子への忠誠が許可されたとなれば
どんな金品財宝よりもそれはもう貴族としては十分すぎるほど褒美に値する。
勿論、キリが皇子だから忠誠を誓ったのではなく、キリがキリだから誓ったのだ。

城へ戻ったキリはすぐさまそれを女王であるフォレガータへ報告し、
早急に正式な忠誠の儀を執り行った。
一番喜んでいたのは他でも無いフォレガータであった。


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