フクロウは突然走り出して小さな黒い亀裂の入った切れ目へ飛び込んだ。
みのるが慌てて追いかけるがあと一センチと言うところでフクロウは黒い狭間に吸い込まれて行ってしまった。
感情のない狭間にはみのる、秋太と、少し離れたところに鹿が立っていて、温度の感じられない石畳の上に鷹がまだ尻餅をついている。

「えっ、何?どう言うこと?」

「…黒い狭間は別の世界とつながってる」

「ナニソレどんなファンタジーだよ」

「ほんとだよ、秋太。どこに行くかわからないから誰も近寄らないんだ、普通は」

「…今普通の状況じゃ無いって事か」

みのるが秋太の後ろへ視線を流し、秋太も振り返り尻餅をついている男へ視線を流す。
最後に鹿が鷹の前で仁王立ちして鼻息を荒くしてやったら、鷹はのそのそと立ち上がって鹿を見下ろした。
それでも鹿は憤然と鷹を見上げていた。

「どおするのお?君のお気に入りのフクロウちゃんは君がいやで嫌で仕方がなくてここからいなくなったよお」

「大体、お前やり過ぎなんだよ、なんだよアレ。男の俺でもビビるぞ」

「秋太を倒した事忘れないからな!」

「…かえる」

「はぁ?!ふざけんな、てめっ!あっ!!」

鷹は興味なさげに狭間の切れ目からさっさと出て行った。
罪悪感のかけらも感じていないようでそれがまた秋太の苛々を増長させる。

「何あいつ!!なんなの!!」

「だからフクロウは鷹が嫌いなんだよお。話が通じないからねえ」

「そうだ、フクロウ!どうすんだよ!」

「大丈夫。誰も近寄らないけど、帰る方法がないわけじゃないから」

「ただ、フクロウが帰る気になってくれればいいけどねえ」

「…こっちから探せねえの?」

「やってみるう?」

にんまりとみのるが笑ったので秋太はまたなにか企んでいるのかと警戒しながら体を緊張させた。
別の世界なんて想像もつかないがもしとんでもないところへ行っていまったとしたら大変なことになる。
ただでさえ鷹に怯えて逃げ出したと言うのにそれではあまりにもフクロウがかわいそうだ。
それにこのままフクロウが帰ってこられなくなるのも困る。

「それじゃあまずさっきみたいな黒い狭間の切れ目を探す。鹿も手伝ってー」
 
3人は、木々の呼吸も、獣の鼓動も、石の感触も、風の音もなにも感じられない狭間の中をただひたすらに切れ目を探すために歩き回った。
狭間の中はある程度の空間で仕切られているらしく、その先に行こうとすると透明な壁のようなものがあって進むことができない。
見えない壁に触れてみると少し弾力のあるなにか生き物の体を触っているような感触だった。
秋太は何個か切れ目を発見したがどれも普通の切れ目であの黒い切れ目では無い。
特徴のようなものは無いのだろうかと思った秋太はみのるに訪ねたらみのるは目を少しだけ細めた。

「とにかくすごく嫌な感じがするからすぐにわかるよぉ。今の君のその目ならいつもよりは感度が上がってるだろうしねえ」

「あったー!!みのる!!秋太!あった!見つけた!!!」



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