『誰がお前をここから出したと思う?』

(知らない)

『本当は知っているくせに。知らないふりをするの』

(だって本当に知らないんだってば)

『なら教えてあげようか』

(っていうかお前だれ?)

『ねえ。君の弟ってソレ。ホンモノ?』

(どう言う意味だよ)

『君に兄弟なんていた?』

(いたよ。俺が小さい頃から遊んでたんだから)

『それってほんとの記憶?』

(だから何が言いたいんだよ)

『ねえ。君の弟って、龍神じゃあない?』

(リュウジン?)

『川の神様だよ。君のそばにいるのが不思議だけど』

(じゃあお前はなんなんだよ)

『龍神は俺を追いかけているんだよ。君に僕のにおいがついているから君を追いかけているだけなんだ』

(意味がわからない)

『私は彼を龍神から救ってほしいと頼んだの。だから彼だけが追われているわけではないんだよ』

(さっきから人称が定まってねーぞ)

『狭間にはそういった既存の概念はあまり意味がないよ。狭間だからね。君は狭間を歩く術を教わった方がいいかもしれないね』

(誰から)










「私が教えるから早く起きなさいお兄ちゃん。遅刻するわよ。夏生はもう学校に行ったわよ」


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