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よくわかんないものの正体もわかったからいいわよ、とフクロウに言われて
結局自分たちで解決出来たんじゃないのかとも思ったがしおらしいフクロウが見れたのは収穫ものだとみのるに耳打ちされたので秋太は、憤慨するのをやめた。
またね、と西崎に後ろから声を掛けられたが一切無視を決め込んで
今、家に帰る道を歩いているがどう考えても彼らの話の内容も行動もおかしい。
薄暗くなってきた空を見上げながら溜息をつくとみのるが覗き込むように伺ってくる。
「気に入らない?」
「あいつがにーちゃんの事好きでも嫌いでもどっちでも関係ないけど、
やり方が汚いだろ」
「あれはねぇ、あの子が望んでしてるんじゃあ無いんだよ」
「…じゃあなんでやってんだよ」
ふて腐れて見せるとみのるは少し呆れたように溜息をつく。
そんな彼を一度も見た事がなかったので秋太は子供じみすぎていたのかと思い、言ってからバツが悪そうに口の中で言葉をにごした。
「言ってたでしょう。彼の命を兄に注いでるって」
「だから、なんの為に」
「あの子のお兄ちゃん、本当は死んでるんじゃあないの?」
今日は、生きているだの死んでいるだのと、気味の悪い話ばかりだ。
気味の悪い事なんて今に始まったわけじゃないが、そんなものは出来れば避けたい。
避けたいのにここ2、3日は自分からその中に飛び込んでいる気がしてならない。
神妙な顔つきで囁いた狐から半歩のけぞった秋太は、その名詞を探すのにいくらか時間がかかった。
「…ゾンビ?!」
「あれ、ちょっと違うな…えーと、だから…言葉って難しいなあ。
つまりあの子がお兄ちゃんが生きるのを助けてるって事…かなあ。
まあ明日会ってみたらわかるんじゃない?」
「明日?」
「アレ、聞いてなかった?西崎くんのお兄ちゃん、双子で隣のクラスにいるって」
そんな話聞いていない、と出そうになったところで秋太は口をつぐんだ。
帰り際みのる達がなにか話していたのは知っていたが秋太は話をする気が全くなくなって西崎の方を殆ど見なかったからだ。
その時に聞いたのだろう。
自分が勝手に相手を拒否してその相手の情報が違う人間から入ってくるとこんなに居心地が悪くなるとは思わなかったが自業自得だ。
「双子…」
「双子ってひっぱられるって言うよねえ。じゃあ、明日学校でねぇ」
みのるは最後の最後まで意味深な言葉を吐いて軽く手を振ると舗装された道から逸れて
草の茂みに消えていった。
ぽつりと道の真ん中に残された秋太は、薄暗い夜道をなるべく街灯へ近寄って家へ戻った。
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