何かあったら呼べと言われたものの、午後の授業もさして問題は起こらなかった。
そもそもそんなに頻繁に起こられても困るのだが、
とにかく昼休みを過ぎた勉強は本当に眠い。
どうにかして欲しいと思ったのは眠気ぐらいだ。
教室の清掃を終えて、みんなが一斉に教室から出て行く慌ただしさが、
秋太は嬉しくもあり寂しくもあるものだった。
他のクラスメイトのように部活には所属していないのでする事と言ったら
適当にコンビニで時間を潰してだらだらと家に帰るだけ。
引っ越す前は大きなショッピングモールもあったので退屈しのぎには困らなかったが
ここは本当に自然しかない。

(暇…)

「秋太」

「お、フクロ」

「あれぇ、森田さん。ウチのクラスに用?」

「うん。秋太に」

「えっ、秋太お前森田さんと知り合いなの?!」

モリタって誰だ、なんて考えながら掴みかかってくるクラスメイトの男子の尋問を受け、秋太はまあ…と曖昧に返事をする。
知り合いといえば知り合い、知らないと言えばそれっきりだが、
クラスメイトの反応からすると、フクロウはそこそこに知名度があるようだ。

「モリタさん、えーと」

「帰ろう、秋太」

「つ、付き合ってんの?!」

「そう言うんじゃ…」

急かすフクロウは、秋太の腕を引っ張る。
耐えかねてクラスメイトが、いよいよ核心に迫る質問をぶつけてきて
秋太は苦笑いを浮かべるしかなかった。
手を引いているのに動こうとしない秋太に少し苛立ちをみせてフクロウは早くと
更に急かした。
その姿がクラスメイトにはどうやら可愛く写ったらしく羨ましいと、秋太へ妬みの視線を送っていた。
そんな彼を残し、二人は校舎を後にする。
とは言え、フクロウがぐいぐいといつかのみのるのように腕を引っ張って行くので
また別の意味で視線を浴びる事になった。

「おいどこ行くんだよ」

「山」

「えっ」

「狭間には行かないわよ」

ぎくり、とした秋太の意図を察知してフクロウは安心しなさいと言わん口ぶりだった。
いくらかホッとした秋太は力を込めていた腕の力を抜いてそれではどこへ行くのだろうと考えた。

「じゃあなんで山に?」

「よくわからないものが出るの」

「は?」

「生きてるのかそうでないのかわからないの」

それは幽霊の類ではないのだろうか。
瞬時に背筋に寒気が走った。

「なにそれ…」

「それを確かめるのに狐が山へ行ってるのよ。さっき使いがきて
秋太を連れてこいって」

「俺になにしろって」

ぐいぐい引っ張っていたフクロウは突然立ち止まると掴んでいた腕を放して
くるりと振り返る。
じっと見上げてくるフクロウは目がくりっとしていて唇はピンク色のふっくらしている。
ふんわり揺れる髪を更に揺らして秋太へ詰め寄った。
正直な感想を言えば、可愛いのだ。

「そいつの正体を暴く」

「お前らにわかんないことが俺にわかるわけないじゃん…」









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