本人が言う微妙なポジションを生かして(?)、この王都の中心部である
ダスティ城へ向かうストラス達にどういうわけか本当にデボラも同行した。
デボラが同行するということは自動的に部下であるコルベルも一緒で
一気に大所帯になった一向は、城門前でイヤイヤと首を振るストラスを引きずりながら
入城を果たした。
むくれ顔のままそっぽを向いて機嫌を損ねているストラスを最後尾に置き、
先頭を歩いているフルフルは嬉々としながら鼻歌交じりに先を進む。
城の左側に位置する竜騎士の宿舎へ向かうと通常の兵士とは装備の異なる
兵士とすれ違うことが多くなる。
従来の兵士の装備は鎧をかっちり着込んでいるか、暗めの赤を基調とした軍服に身を包んでいるが、竜騎士は急所のみを守るための鎧と、黒を基調とした軍服を身にまとっている。
彼らは獣人とよくわからない男女の一向をじろじろと横目で警戒しながら
すれ違っていく。
そして竜騎士の本部へたどり着くとフルフルは少し乱暴に本部の扉をたたいた。

「セーシーリーオー竜騎士団長〜!いーませーんか〜!」

「間抜け…」

「って言うかいるんですか?」

「さあ?」

コルベルがアポイントは!?とフルフルへ叫んだと同時に扉が開いて
いかにも性格の難しそうな険しい顔をした男が出てきた。
男は扉の前で騒ぐ一行をぎろりと一睨みすると短くお入りくださいとだけ告げる。
開かれたままの扉を見て一行はお互いの顔を見合わせてその男の後へついていった。
男はついて来いとも言わず後ろを一度も振り返らないまま前をまっすぐに見つめて
歩き続ける。

「え?この人がセシリオって人?」

「え?違う。セシリオはもっとこう…適当な人」

「何それ」

フルフルとデボラが小声でひそひそとやっていると首もとできっちりと髪をまとめている
性格の難しそうな男が振り返った。
あまりにもタイミングが良かったために二人の会話が聞こえたのかと思った
デボラとフルフルは びっくりして体を硬直させる。

「セシリオ竜騎士団長はこちらにおられます」

「僕たちが誰かって聞かないんですか?」

「そのサートを見てわからない者などここにはおりません。ストラス様」

「普通はそうなんですよストラス様」

「そうよ、それなのに処刑場にぶち込まれるってどういう事なのよストラス様」

「はーいそこの処刑人二人は黙っててもらえますかあ?」

「そう、そこの処刑人二人は入室を禁ずる」

「えっなんでよ?」

フルフルが異を唱えると男はほんの少しだけ目を伏せる。
てっきり男が答えるのかと思ったのだが以外にもコルベルがその訳を教えてくれた。

「あたりまえじゃないですか。処刑人なんてただの町役人ですよ。
ここは竜騎士本部。そもそもここまでこられた事の方がすごいんですから。
それなのにデボラさんが」

「ちょっと本部を見学したかっただけよ…」

プンと顔を背けたデボラに苦笑いを浮かべたストラスはいよいよ本部の中へ
入る気が失せてきた。
もともと苦手だったがどうにもこの『戦を職業とする人たち』と言うのは苦手なのだ。

「じゃあ二人はここで待ってて。ちょっと聞いてくるから」

「僕も行くんですかあ?」

「行くんですぅ、エンケラドゥス、ストラス逃がさないようにしてね」

「御意だ」

「うむ、では参ろうぞ」

主と従者のような会話をしながらストラスを引きずるエンケラドゥスの背中を眺めながら
コルベルは誰だよとつぶやいたのだった。




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