脱走したと思われる男達がカフェで暴れていると
報告された、ストラスとこれで本日二回目の面会を果たしたデボラは
自分の仕事道具であるデスサイズを携帯し、ストラス、
部下のコルベルとともにその現場へ向かった。
現場は騒然としており、カフェ店内はめちゃくちゃに荒れていた。
その原因が果たして逃げ出した罪人のせいなのか、罪人を取り押さえたと思われるフロウルの
二人のせいなのか判別しかねるほどだった。

「デボラ遅い」

「これは…ええと」

「これでここに現れた罪人は全部だ、コルベル君」

憎まれ口のようなものを叩いたフルフルと、もこもこした
大きな獣の手で床に座らされている男達を指さしたエンケラドゥスはそれはもう
清々しい表情であった。
それはストラスを助けに来て、盗賊たちを叩きのめした時と同じだった。
それを見て楽しんだのだなと思ったストラスはなんとなく、
その場にいなくてよかったと感じたのだった。

「…間違いありません、イーヴァル他6名です。リストにあります」

「はあ、まあ助かったよ。ありがとう」

「処刑場もずいぶんと警備がおろそかなのね」

「手引きした者がいたとは言え、我々の失態なのはかわりないわ。申し訳ない」

「それで、その手引きした者は?」

「まだ捜索中」

話にならない、と肩を竦めるフルフルを見てデボラがしゅんとする。
そういうところはデボラの役職に似合わずとてもかわいらしいところであった。
てきぱきと部下を呼びつけ、暴れまわっていた男たちを処刑場へ連れて行く準備を
整えたコルベルはちょっぴり落ち込んでいる上司の横に並ぶ。

「って言うかお三方はどうしてここに?さっき職員から聞いたらストラスさんの
家にも強盗が入ったって」

「ああ、処刑場にあの盗賊たちを連れてきた帰りだったんですよ」

「今日はストラスさん災難じゃないです?」

「僕も心底そう思うんですけどねえ、なんだかもう一悶着ありそうでヒヤヒヤしています」

コルベルが心配そうにそう言うのでストラスがため息交じりに宙を見つめると
何故かフルフルが自信満々に胸を張る。

「ここまで来たらもうなんでも来いよ!」

「やめてくださいよ、本当に来ちゃったらどうするんですか!」

「俺が守ろう」

「あたしも守るよ」

「あ、わ、わたしも…!」

順にエンケラドゥス、フルフル、そして何故かおろおろとデボラも名乗りを上げたので
コルベルは頭を抱える。
ストラスは気が付いていないし、デボラ本人も周囲にバレていないと思っているようだが、
ストラスに思いを寄せて、その事にコルベルはすっかり気づいている。
そう言った理由で彼女が他の人よりもついストラスびいきになるは分かるが処刑人がそんなでは周囲に面目が立たない。
ましてや処刑場の1位、2位を争う優秀な処刑人なのだから。

「デボラさんは仕事があるでしょう!っつーか、ストラスさんほんと姫みたいですね?」

「困りました。僕はどちらかと言えば第四王子とか、そのあたりのポジションなんですけど」

「なんすかその微妙なポジション」






[ 6/50 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -