13
朝食を済ませて、準備ができたストラス達はシヴァの用事のために
街の広場に向かった。
シヴァの手助けをしたいと言ってここまで同行してくれたカルンは、つらら菊と色々話しがあるとかないとかで一旦は別れることになった。
同行者が一気に減って一抹の心細さを感じたシヴァだったが、取って代わったように、
よくわからないゴゴウが新たに加わったことによって心細さはさらに増した。
ストラスは恩人だと言っていたがフルフルやエンケラドゥスの件があった手前、
手放しに歓迎できなかったのである。
「えっ、僕、ほんとに広場で留守番ですか?」
「すぐに済むから!ゴゴウについて来てもらえれば平気だし。ストラスだって安心でしょ?」
「それなら僕が一緒に…」
「女の子は色々準備がいるの!」
やや強引な理由ではあったがストラスはしぶしぶと言った様子ではぁ、と呟いていた。
シヴァ自身もかなり無理があるとは思っていたが、ゴゴウを強引に引っ張って行くと
ストラスはそれ以上追及するのをやめて二人の背中を小さく手を振りながら見送った。
ぽつりとその場に残されるストラスがほんの少しだけかわいそうに思えた。
「それで、女の子?俺も男だぞ?ストラスに聞かれちゃいけない話でもするのか?」
「べ、別にそんなのはないけど、なんとなくゴゴウの方が良かったの」
「ふーーーん……」
(ストラスの性癖に気づいたのか?)
子供だから、女の子だから、鈍感だから、様々理由はあるだろうがシヴァはどうにもストラスの性癖がロリコンである事に気がついていない様子だった。
が、ここに来てようやくそれに気がついたのかとゴゴウは思ったがシヴァの発言でその可能性は消えた。
「ストラスってば私についてくるばっかりで自分のことは後回しにするんだもん。
たまには一人で自分の為の時間を持つのも必要だわ」
(ガキだなあ)
何かしらの企みはあれど、結局のところストラスのことをこれっぽっちもわかっていない少女をゴゴウはまじまじと観察する。
現実問題として、昨日今日であった大人をあっさありと信用して手を引いて歩いているこの事実。
こんなことではストラスがどうしてシヴァを優先するのかと言う疑問は恐らくあと5年くらいたたないと解消されないだろう。
ストラスがシヴァを優遇するのはあくまで『自分の為』である。
そこにシヴァの要望も組み込まれているのはシヴァにとってストラスが嫌悪する対象にならないためだ。
そして、それがとても短い期限付きのものであることもシヴァはあと5年くらいたたないと、
気が付かないのである。
「それじゃ、服を買いたいから、あっちにいこ」
「はあ」
ストラスが広場で過ごすのに、怪しまれない程度の時間つぶしをしなければならないので
ゴゴウの目を欺くためにもシヴァはごく自然にみえるように洋服が立ち並ぶ店舗へと足を進めた。
ゴゴウはゴゴウで、退屈な時間をどうして自分だけ回避できないのか理解できず、
きゃらきゃらとはしゃぐ女子たちの群れの中へ連れ出される億劫さを隠すのに失敗して
大きくため息を吐いた。
それをシヴァに見咎められ、さらに億劫な気持ちになるのに時間はかからなかった。
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