竜騎士本部の室内の奥には執務用の机が一つ、その手前に来客用の
テーブルとイスがあって、机の横には何かの資料であろうか本棚がいくつか並んでいる。
壁には観賞用なのか剣が何本か飾ってあった。

「ようこそフロウルの諸君。私になにか御用かな?」

「セシリオ騎士団長に聞きたいことがあって」

「聞きたいこと?」

セシリオは緩い髪を案内してくれた男よりも緩く首元で結び、
穏やかな笑みを浮かべてフルフルの言葉に耳を傾ける。
年のころは40代頃と思われるが瞳は若々しく輝いており、人々をひきつける雰囲気を持っていた。

「あたしみたいに青い髪の竜騎士がいるでしょう?」

「ああ、うちにはテイモンと…イフナース…だけだったかな?」

「あと、ダライアスがおります」

「じゃあこの三名だな。どうかしたか?」

「その三人をここに呼んでくれれば一番良いんだけれど」

フルフルがそういうとセシリオはフルフルの様子から何かを察したようで男に目配せし、
男は一度だけ頷くと本部から出ていく。
執務机の前に立っていた三人はセシリオに立ち話もなんだからと
来客用のソファへ座ることを勧められた。

「で?その三人に何か?」

「今日、ストラスが青い髪の竜騎士と女の子が話しているのを聞いたらしくて、その
青い髪の竜騎士を探してるの」

「待て待て。まずどうしてその竜騎士を探している?」

決して焦っていたのではなかったがフルフルの要所しかない説明だけではさすがに
理解できなかったらしく、セシリオは宥めるようにフルフルが話すのを止めた。
例えもう一度わかりやすいように説明しろとフルフルに言ったところで
彼女ではおそらく同じ説明を繰り返すばかりだろうと、今度はストラスが説明を買って出る。

「えーと、探しているのは女の子の方なんですけど、見つからないので
それならその女の子と話していた青髪の竜騎士なら行き先とか知っているかなと思って
尋ねてきました」

「手がかりってやつか?その女の子とは?」

「なんかね、ドラゴンの涙が欲しいみたいなんだけれど、たぶんその子に今日ストラスが
変質者扱いされちゃってねえ」

「それは…災難だったなあ…。しかし君たちはその女の子を探し出してどうするんだ?」

「え?いや、特になにも。ただドラゴンの涙ってかなり珍しいし女の子が
欲しがるようなものじゃなかったから気になって」

「なるほど……ドラゴンの涙……」

セシリオが何か考え込むようにするのでフルフルは青い髪の男を問いただす前に
ここで何か分かるかもしれないと身を乗り出す。

「なんか知ってるの?」

「いや、最近の話なんだが…スォード山脈の向こうにある一族がいてな。
その一族が皆殺しにされたらしいんだが狙われた原因が…ドラゴンらしいんだ」


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