なんかきもい三井 [ 14/38 ]

「花子!お願い!この通り!です!」
「だめ、ムリ、却下」
「お前鬼かよ……マジで!この通り!」

目の前で両手を合わせて頭を下げる三井。なにこいつ、こんなキャラだっけ。それとも何か、わたしが急に仏様になったんか。こいつはわたしを拝んでるんか。いやそんなまさか。それにしても鬼って何よ。人聞きの悪い。

「だってお前……こんなに可愛いのに!」
「わかってるっての。可愛いよ。すっごい可愛い」
「じゃあもう選ぶ道はひとつ!」
「おさんぽぞっこーう」
「チガウ!チガウよ花子さん!」

ほんとなにこいつ。ちょっと、周りの目を気にしてほしい。なんだこのデレデレして駄々をこねる生き物は。本当にバスケット選手?周りの視線が痛いよ三井。知り合いいなくてよかったね……ん?あれ?あの人どっかで見たこと……藤真くん?あれ藤真くんだよね翔陽の……。ちょっと三井。ほんとにやめた方がいいと思うよ。ライバル校のエースが見てるよガン見だよやめた方がいいよ三井なめられちゃうよ。

「超可愛いよー。撫でたい。抱っこしたい。舐めたい」
「いや、舐められてるよ三井完全に」
「何言ってんだよ花子。入ってもいねーのに。あーザラザラの舌で舐められたい」

なんだこいつキモ。ほんとにキモ。誰なんですか。本当にバスケ上手いんですか。え、ドッペル?ドッペルゲンガーなんじゃね、三井の。あ、藤真くん笑ってる。ん?誰か手招きして……うわ花形くんじゃん。ちょっとマジでやばいよ三井。翔陽のトップ2が見てるよ三井後ろ指差されてるよ三井やめなよ三井。

「花子ーマジで一生のお願い!この通りです!」
「今度一人で来てよー」
「ムリだろ男が一人でこんなとこ!」
「ほんとゴメンけどわたしアレルギーだから。猫」

マジかよ、お前神に嫌われることしただろなんか……。しらねーよ黙れこちとら可愛い猫触れなくて悲しんだ幼少期があったわ。お前こそもう翔陽に取り返しのつかないことをしちゃってるからね三井。ほんと、わたし知らないからね。

「猫カフェいきてえよ……」

とうとうディスプレイの前にしゃがみ込んでしまった三井。もう藤真くんたちとデートしようかな。





すいませんでした。



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