マリッジ! [ 29/38 ]

「いざ式のこと考えると、なんか、大変だな」
「正直、思ってたほどのワクワク感ないしね。予算とか規模とか引き出物とか、何がいいのかわかんなくなってきた」
「おう、同感」

ローテーブルに結婚式のカタログを3冊ならべて、2人でカタログたちとにらめっこ。気に入ったページはすでに20近くもあるし、付箋はもはや意味を成してないし、ホテルは全部一緒に見えてくるし。式場決めも楽しかったのはものの15分程度だった。

「寿ー決めてー」
「んー、じゃあ、ここ!」
「高すぎー却下ー」
「んだよー。ンなこと言うなら花子が決めろよー」
「じゃあー、ここー!」
「500人収容可ってなんだよ、俺らライブすんのかよ。却下だ」
「ああ、もう無理だー。頭まわんない」

ふらり、と後ろに倒れて、手元に転がっていたクッションを胸に抱えてみた。ああ、何も考えなくていいー。楽チンだなあ。目を閉じて息を吐くと、隣にもごろん、と気配。

「式とかどうでもいいー。こうしてるだけで幸せだなあ」
「ふふ、何?」
「あ?んだよ笑うなよ。幸せだろー?」
「やー、寿がデレてるー。こりゃ槍が降るわ」
「引き出物は槍にすっかぁ」
「あっはは!マサイ族かよー」

2人で眼を閉じて、秋のやわらかい夕日を感じて。
少し休憩だなー、なんて低くて優しい寿の声を合図に、式場のカタログとはしばし休戦を宣言する。もう式場なんてこのマンションでいいや、なんて考えていたら、睡魔に飲まれた。




(ちょ!花子見て!この式場近くにバスケットコートあるんだけど!)
(ぶはっ!わけわかんない!もうそこでいいじゃん!)




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