※発熱



今日は、沢城がゲゲゲの森を案内する日
高山は待ち合わせ場所である神社前のベンチに腰掛けて、案内人を待った
待った
待ったが、沢城が来ない

「どうしちゃったんだろう」

この森から行けるって言ってたな
行ってみようかな

カランコロンカランコロン…

しばらく歩くとゲゲゲの森に辿り着いた

うわ…綺麗な景色
そして澄んだ空気…ん〜美味しい
あれは…妖怪ポスト?
ってことはここが沢城くんのおうちか!
大きい…
中にいるかな

「お邪魔します…っわぁ!どどどどうしたの?!沢城くん!熱いっひどい熱じゃないか!」

沢城が家の入口に向かってうつ伏せで倒れていた

布団を敷いて病人を寝かせる
初めて来た家だが、居心地は抜群
ちゃんちゃんこを脱がして、服のボタンを開ける
額に冷たいタオルをのせて少し様子を見ることにした

「…ん」
「お邪魔してるよ」
「えっ!高山さん…どうしてここに…」
「どうしてって、今日はゲゲゲの森で会う約束をしてたじゃないか」
「今日…あれ…明日じゃ」
「きっと熱でぼーっとしてるだけだと思うよ」
「高山さんにこんなこと…僕がやりますから」
「駄目だよ!病人はしっかり休んで!ほら起き上がったらだめだってば」
「…でも僕が…」
「僕がじゃないよ!今日は僕がお世話するからね」
「…ぅ」
「お粥を作ろうかな。鍋はここでお米は…ここか。お水はあそこだな」
「…塩はここです」
「ん?ありがとう」

高山はしっかりお兄ちゃんをしています

グツグツ

ん〜こんなもんかな
おっと額のタオルを変えないと
…沢城くんよく寝てる
そういえば着替えはあるのかな?

「ん…」
「あ、具合はどうだい?」
「まだ怠いけど少し楽になりました…ありがとうございます」
「よかったぁ」
「お粥…作ってくれたんですか?」
「うん、食べれそう?」
「はい、食べようかな」
「それじゃ あーん して?」
「///じっ自分で食べますからっ」
「何言ってるんだ!今日は僕がお世話するって言ったじゃないか」
「ごはんくらい自分で食べれる!っゲホゲホ…」
「ほら大きな声を出さない」

あーん

「…/// 美味しい…」
「本当?よかったぁ。はい、あーん」
「////」
「そういえば、この森にも黒イモリはいるかな」
「いますけど、ちょっと奥の森に入らないといけません」
「そうか。よし、ちょっと森に行ってくるよ」
「え!あっ危ないですよ!森は僕が案内しようとしていたのに」
「ちょっと採ってくるだけだよ。行ってくるね」
「あ…行っちゃった…大丈夫かなぁ…」


ゲゲゲの森の奥にてー

黒イモリはどこかな
体力回復にはもってこいの栄養素だから、沢城くんに食べさせてあげたいんだ
今の僕にはこれくらいしかできないからね
でも本当に綺麗な場所だ

カサカサ…

あ!いた!
痛っ!!木の根が凄いっ
足場が悪くてっおっとっと…何度も転びそうになるな
よし!1匹ゲット!


その夜ー

ん…あ、また寝てたのか
高山さんは?あれ?いない
?!もう夜じゃないか!
もしかして森で迷子になっちゃったかー

「沢城くーん」
「はっ?!高山さん!」
「ごめんっ遅くなっちゃった」
「心配しましたよ」
「ジャーン!黒イモリを8匹も捕まえたんだ」
「そんなに!高山さんは虫取り名人ですね」
「はい、どうぞ。黒イモリの燻製だよ」
「えっいつの間に燻製に…」
「家の中で燻製はできないからね。外で作業してたんだ」

カリっ…もぐもぐ

「久しぶりです、黒イモリなんて。凄く美味しい」
「風邪をひいた時に父さんがよく食べさせてくれたんだ。回復力が凄いんだって。あと燻製にしてるからお茶や非常食にもなるよ。残りは好きにしてね」
「ありがとうございます」
 
くんくん

身体が燻製くさい…水浴びでもしてくるか

席を立った高山に

「あっ待って!」
「ん?」
「もう帰っちゃうんですか?っ/////」

沢城が心で思ってた事を声に出してしまい思わず赤面してしまった

「どうしたの?顔が凄く真っ赤だ」
「えっあっいやっ…」
「お世話するって言っただろ?まだ一緒にいるよ。熱もあるみたいだし」
「///」

高山が帰らない事に沢城は安堵した

バシャ…バシャバシャ

高山さん水浴びしてる

あ…タオル出さなちゃ


「高山さん、よかったらタオル使ってください」
「ありがとう。ふぅーさっぱりしたよ。そうだ!沢城くんも身体拭こうか。汗凄かったからね」
「身体?!じっ自分で拭きますっ」
「もう何度も言わせないでって。ほら服脱いで」
「!?!…はぃ」

今日の高山は推しが強い

フキフキ

「これでいいかな?」
「ありがとうございます。さっぱりしました」
「そういえば着替えはある?」
「着替えはないです」
「そっか、じゃーこうしよう」
「えっ!ええぇ!!」
「僕も服を洗っちゃったから、2人でくっついて寝たら少しは温まるかなって」

高山に邪心は全くない
沢城は高山に言われるがまま、高山の肌に触れた

ドッドッド…
僕の心臓が壊れそう…
高山さんはどうなのかな
ドドドド…
!僕より凄い
ああ見えて緊張してるんだ

「どうかした?」
「いいえ…高山さんの胸板がとても気持ちよくて」
「っ///」

ドドドドドドドド
また1段と速くなった 
嬉しい…
あ…僕…高山さんのこと…好きなんだな…
…キス…したい
はっ
ダメダメ 
風邪がうつっちゃう
風邪が治ったら…告白しよう

「高山…さん…むにゃむにゃ…」
「寝言か…」

自分からくっついて寝ようって言ったものの、意識しちゃって全然寝れない
沢城くんの顔がすぐそこに…あぁ…心臓が張り裂けそうだ
もっと全身に触れたい
君に溺れたい

邪心はないが、恋心はあった様です



チュンチュン

ゲゲゲの森の小鳥たちが起床の時間を告げ出した

「ん…朝か…」

あれ…
身体が嘘の様に軽い
風邪治った!
高山さん高山さん

すぅ…

寝てる
でも僕は風邪が治ったので

「高山さん…大好きです」

沢城の渾身のファーストキス

ちゅ

「どうしておでこなの?」
「!!!!!!?!えっ!いやっ!えええ!!」

寝ていると思っていた人物からの反応に、驚きを隠せない

「僕は沢城くんとキスがしたいんだ」
「///////えっ…えっ?!」
「大好きだよ…沢城くん」
「っ/////」

沢城は覚悟を決めて高山の唇目掛けてキスをした

「はぁっ…僕の方が大好きです」
「んっ…僕だって…」
「もっと…もっと僕のものにしたい…」

互いの舌を絡めた濃厚な接吻はしばらく続いた

「はぁ…僕…幸せすぎて死にそうだ」
「…」
「?高山さん?」

すぅ

「!?!!えっ!寝言!!!!」

嘘…
あ、でもこの唇の感触は嘘じゃない
高山さんが起きたらもう一回最初からしよう…////

この後、冷静な沢城と困惑しまくりの高山は無事ファーストキスを済ませる事ができました
ごちそうさま




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