※甘え



地獄の鍵を使った特訓は、地獄でしかできないため、沢城を連れて行く事はできない
地獄の業火を酷使した時は

「大丈夫か?鬼太郎?」
「身体が熱くて…」
「こればっかりは身体を冷やすしかないのかの」
「雪女から貰った氷を使います」
「火傷の手当ては、砂かけに頼んでくるわい」

酷い熱発と全身大火傷で面会謝絶状態

先日の特訓では地獄の鋼を酷使し

「大丈夫か鬼太郎?」
「身体が痛くて…」
「こればっかりは身体を休ませるしかないのう。傷の手当ては砂かけに頼んでくるから待っとれ」

針山に抉られた身体が悲鳴をあげていた
以前と違うのは、特訓の成果か否か地獄の鍵を使った後に意識を失って数日寝込む事は減った
しかし身体のダメージは相変わらず、回復には時間を要していた
会いにいくと約束した沢城のところにも足を運べず、詫びの手紙を送る日々
そんな日が数週間も続くとさすがに我慢できなくなった沢城は自分から高山のところへ会いに来た

「高山さん、お邪魔します」
「あ、沢城くん…あがって」

家の住居人は少しだけ覇気がない声で来客者を招いた

「大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。ちょっと疲れちゃって。ごめんね、寝たままで」
「いいですよ。横になって休んでて下さい。お粥しか作れないませんがいいですか?」
「ありがとう…助かるよ…」

沢城の手際はけっしていいとは言えないがお粥を作りながら話を続ける

「疲れる程の妖怪退治ですか?」
「うん、まぁそんなところかな」
「僕も手伝うのに」
「ありがとう。必要な時は声かけるよ」

でもこれだけは駄目なんだ
ごめんね

「僕もちょっとは料理ができるようにならないといけませんね」
「えっ?」
「だって看病する時に栄養がつく料理くらい作れるようになりたいですから」
「沢城くんが作る料理なら何でも元気になる気がするよ」
「高山さん、あまり甘やかさないで下さい///」
「えっ僕は本当の事を言っただけだよ」
「/////」

高山の言葉は、いつも沢城の心を鷲掴みにする

「お粥できたみたいです。今食べますか?」
「もう少し沢城くんと喋ってからでもいいかな?」
「もちろん…」
「もっと近くに来て…」

左手で沢城のサラサラな髪を触り、輪郭をなぞった後に薄い下唇へと指を滑らせる
ちょっと冷たいその手に自分の右手を添えてから、身につけていたちゃんちゃんこを脱ぎ、服の上から羽織らせた

「ありがとう…」
「ううん…」
「今日は、ちょっと甘えていい?」
「もちろん。何でも言って下さい」
「お粥…沢城くんの口付けで食べたい」
「なっ//////…わかりました」

顔から湯気が出るくらい一気に真っ赤になったあと、少し熱めのお粥を一口含みそのまま愛しの人へ口移しで食べさせた

「んっ…美味しい…」

少し潤んだ目が二口目を訴えてくる
もう一回同じようにお粥を口に運ぶ

「はぁ…幸せ…もうちょっと食べたい」

あまり興奮しないようにそして興奮させないように注意はしていたが、とうとう五口目には、舌を絡めた少し激しい口吸いへと変わっていた

「はぁっ…いっ!!」
「ごっごめんなさい。どこか痛みましたか?」
「ちょっと調子に乗りすぎちゃった」

快楽の吐息中に一瞬顔が引きつる

「身体…ちょっとみていいですか?」
「……」

高山は視線を逸らし気乗りしない表情を見せたあと、無言で返事を返した
もし抵抗できる体力があったら反対の返事をしたかもしれない
沢城は、ちゃんちゃんこをずらしてゆっくり上着のボタンを外していく
服で隠れていた肌には血が滲んだ包帯が巻かれ、よく見れば両腕両足も同じような処置が施してある
包帯がない箇所は擦り傷だらけ
沢城は、歯を食いしばりながら感情をなるべく抑えて問いかける

「地獄の鍵の影響ですか?」
「…沢城くんは何でもお見通しだね」
「何でこんなになるまでっ…」

ゆっくり上着のボタンをとめ、ちゃんちゃんこを優しくかけ直してくれた
沢城のやり場のない怒りがその場の空気に伝わり、その空気を感じ取った高山はポツリと話し出した

「役目が終わったら…地獄の鍵を閻魔大王に返そうと考えてるんだ…」
「返せるのならそうして欲しいです。本当なら今すぐにでも!嫌だ!こんなに傷つく高山さんを見るのは」
「沢城くん…」

しばらく見つめ合った後、高山はゆっくりと目蓋を閉じた


夕方

「鬼太郎入るぞ、おや、沢城くんも来とったか」
「お邪魔してます」
「わざわざ看病にきてくれたんじゃな。ありがとう」

砂かけばばあの手荷物を眺め

「これから手当て?僕も手伝う」
「それは助かる。さっそくじゃが、桶に水を汲んできてくれぬか」

病人は静かに寝息を立てていた
身に纏っているものを全て脱がし、包帯をはずしてから、水で濡らした布で優しく拭く
右の脇腹がまだジュクジュクしていたが、大部分は、瘡蓋になっていた
全身に薬を塗り込み、右脇腹に当て布をして包帯を巻く

「これでよしっと。だいぶ治ってきたのう。あともう少しじゃ」
「ありがとうおばば」
「いいんじゃよ。また明日の夕方に様子を見にくる。そうじゃ、あとこれをよかったらお食べ」

差し出したのは、美味しそうな匂いを放つ煮物

「ありがとう。高山さんと一緒にいただくよ」
「きっと買い物にも行けぬと思ってな。あとは頼んだぞ」

長屋へ帰っていく砂かけの姿が見えなくなるまで、手を振って見送った

「どの世界のおばばも、面倒見がいいな」

まだ高山は起きる気配がない
沢城は先に食事を済ませることにした
ふと棚を見るとこの間から食器が増えている事に気づいた
新品とまではいかないが、少し綺麗めの茶碗とお碗、そして箸
それらを手に取りながら眺める

「僕のかな…なんてね」

少しだけ嬉しい気持ちになりながらその食器を使って食事を始めた

「優しい味…こんなに美味しい煮物はちょっと作れないかも」

簡単に食事を済ませ、片付けをし始めた頃

「…ん」
「あ、ごめん。音を立てちゃったから起こしちゃいましたね」
「うんん。あれ、おばば来てたんだ」
「はい。差し入れを貰いました。先にいただいちゃったけど、凄く美味しい煮物でしたよ」
「僕もちょっと食べようかな」
「あ、ちょっと待ってて下さい」

お粥の時と同じように口移しで食べさせる

「ん…優しい味だね。おばばの味だ」
「もう少し食べます?」
「うん…食べたい…」

二口目は、一口目より口付けの時間が長くなり

「駄目…興奮しちゃう」
「もうちょっとだけ…」

三口目四口目になると口吸いがより激しくなる

「はぁ…高山さん…これ以上は我慢できなくなりますから」
「いいよ…我慢なんてしなくて…」
「えっ…だっ駄目です!まだ怪我が治ってない!っひゃっ////」
「もう…さわのここ…こんなに勃ってる…」

高山の悪魔の囁きで沢城の理性が揺らぐと同時に自分の目で見た怪我の具合が頭の脳裏に浮かぶ
そんな事はお構いなく

「左なら向けるから…ねっ…さわぁ…////」

布越しにはちきれそうな欲望を握り締めながら切ない顔で訴えてくる高山

「…今日は僕の負けだ…」

上着のボタンを外し、右脇腹の包帯がよく見えるよう高山を左に向かせてから、下の服を脱がせ、いつ見ても愛くるしい秘部を丁寧に愛撫する
孔から蜜が漏れ出した頃合いを見計らって、自身の欲望を埋め込み、負担をかけないように対面側位のままゆっくり動きだした

「はっ…なんかっ…いつもと…んっ…違う…んんっ///…」
「横向きだから…当たるところが…いつもと違うんですよ…僕も…今までと…ちょっと違う…感じがします」
「でも…いい///…気持ち…いい…はぁん///…さわは?…気持ちいい?…」
「もちろん…僕はもう…夢中だ…」
「ああっ…はぁん…そこっ…」

無意識に官能的な喘ぎ声を発する高山に溺れはじめる沢城は、高山の右太腿の角度を何度か変え、より深く結合できる場所を求めて腰を動かしていた
お気に入りの場所を見つけると執拗に攻め続け、高山の喘ぎ声が大きくなってきた頃、左手で腰を支え右手で欲望を愛撫し始めた

「ああっ!…さわぁ///…ひゃっ…」
「そろそろ…イキたい…いい?」
「僕…もう…イキそう…ああっ…」

少しだけ強く腰を打ち続け、一際甲高い声を上げて2人で達した

「うっ…はぁ…はぁ…」
「あぁ…さわが…たくさん…入ってくる…」
「ここ数日セックスできなかったから…高山さんもいっぱい出ましたね…」

沢城は右手に吐き出された高山の熱をペロリと舐め、高山も秘部に吐き出された沢城の熱を妖力として吸収した

後始末をしながらふと気にしていた場所に目を留めると、呼吸に合わせて大きく動いている右脇腹の包帯は白いままだった
ほっと一息つき安堵した

「大きな傷は右脇腹だけでしたからあともう少しですね」
「うん。早く動きたいよ」
「…そういえば…ねぇ、あの食器…」
「あ、気づいた?僕の予備の食器を沢城くん用に準備したんだけど、新品じゃなくてごめんね」
「ううん。見つけた時、凄く嬉しかったです。僕の家でも準備しておきますね」
「ありがとう」

身支度を整えたあと、そのまま向かい合って床についた

「今日は沢城くんの腕枕で寝れるなんて幸せだ…」
「いつも今日ぐらい甘えたっていいのに…名前だって呼んでいいんですよ?」
「//////…やっ…いいよっ恥ずかしい…」
「ほらっそっち向かない!」
「うぅ…」

額をくっつけながら就寝の挨拶を済ませ、満たされた身体を休ませた


沢城くんとずっと一緒にいたい
一緒に暮らしたい
もし…家庭が築けるなら望みたい

「沢城くんはどう思う?」
「zzzzz」

眠っている彼の顔を眺めながらそう問いかけた





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