過去の焦りと未来への自信


数年前から、気持ちが妙に落ち着かない日が増えたの
ネコ達にも相談したら1年に数回あるって声をそろえて教えてくれたわ
そのことが発情期だってことも

だんだん人間みたいに成長してきて、背もだいぶ伸びたし、身体つきもこう丸くっていうのかな
胸もでてきたし・・・
鬼太郎の横に並んだら絶対みんなから比べられるのがわかってたから、横丁にはわざといかないようにしてたの
もちろん鬼太郎の家にも
でも、すごく複雑な気分だった
あんなに顔を合わせていた皆と自分から会うのを避けるってことに

ミウちゃんのところによく泊まりに行って、身体の成長のことを相談したの
気持ちのコントロールをしたいときは、こっそりおばばの部屋に住み込んでたり
そんな中、ろくろ首と鷲尾さんの結婚式に参加して、久しぶりに鬼太郎と話したの
鬼太郎はいつもと同じ声、同じ態度だったな
でも容姿はどうみても子供にしか見えなくて
自分がどんどん鬼太郎と離れていく気がして
いつかは私と同じく成長するのかな
でもいつ?って、気持ちが焦ってきちゃったの
宴会の後、これからどうしていいか、おばばに泣きながら相談したわ

「鬼太郎はあたしのことなんか…」
「そんなことはないと思うぞ。いつもお前さんを一番に考えておる。鬼太郎も自分の心と葛藤してるんじゃよ。皆の期待に応えようとしてな」
「それもわかってるんだけど、でも前よりも気持ちが焦るの」
「ん〜そうじゃの。お、そうじゃ、何かに没頭して自分自身を見つめなおすってことはどうじゃ?」
「何かに没頭?」
「小さい時からずっと一緒にいたんじゃ。お互いに自立して生活していけば、お互いの事をもっと冷静に考えることができるはずじゃよ」
「自立か・・・うん。ちょっと考えてみるね。ありがとう、おばば」

心の内を全部吐き出したら、少し気持ちが落ち着いたわ
これから私がやらなきゃいけないこと
人間界に住んで、人間の社会人と同じ生活を送って、自立してみること
今までの経験もあるし、なんとかなると思ってる
でも、たまには会ってもいいよね
いいよね、鬼太郎―・・・

「き・・・あ、夢・・・」
昔のことを夢にみちゃった
思えばずっと悩んでたんだよね、私
でも、私だけじゃなかったのかな
「ねぇ・・・」
まだ寝ている脳でもちゃんと理解したわ、隣にいたはずの鬼太郎が
「・・・いっちゃったんだ・・・」
でも、かすかに残る手のぬくもりが私の心を強くさせたの
寝床から起き上がったまま、胸の前で両手を合わせて
「もう悩まない、ううん、悩む必要がなくなったんだから、もっと頑張らなくちゃ!」
って、自分自身にそう誓った


*


「おはよ〜今日は遅めの出勤だね!昨日休みだったから夜更かしして寝坊したとか?」
「うんっちょっと寝坊しちゃった!でも大丈夫!ギリギリ間に合ってるし!よ〜し!今日も張り切っちゃうんだから!」
「わっ今日はなんだか元気だね!なんかふっきれた感じ?よし、私も頑張ろうっと」
いつもよりちょっとだけ遅い時間に、いつも通り人間界に来た
これまでに築いてきた自分の生活スタイルだもんね
自分にできることを精一杯、今は頑張ります!


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