気になる話題は一緒


お昼寝の後、夕飯の買い出しに行こうと横町内を歩いていたら、妖怪アパート前の長椅子に腰かけた住人達を見つけた
アパートに近づくにつれ、会話の一部が僕の耳にはいってくる
「この前すれ違ったけど、すんごい綺麗になってたな〜」
「きっと毎日が充実している証拠だよっ!」
と話しているのは、かわうそとアマビエ
「この前もらったお土産のお酒、なんて言ったかのう〜すんごくうまかったの〜」
「一人で飲み干してしまってからに、この酔っ払い爺がっ!」
と話しているのは、おばばとおじじ
「髪の毛がすごく長かったの。私も伸ばしてみようかな?」
「髪の長いろく子さんも見てみたいけど、今のままでも十分素敵だよ」
と話しているのは、赤面のろくろ首と旦那の鷲尾さん
ちょうど皆の前を通りかかった僕に、かわうそがいつものように声をかけてきました
「あ、鬼太郎じゃん」
「ん?どうかしたのかい?かわうそ」
「最近、ネコ娘って何かいいことあったのかな?この前あった時なんかすんごく楽しそうにしてたぞ」
「ん〜僕もしばらく会ってないからよくわからないんだ」
「えっ!ネコ娘と会ってないのかい!?」
「うっうん。そうだよアマビエ。そんなに驚かなくても・・・;;」
「ネコちゃんがあんなに変わったのは、てっきり鬼太郎と何かあったかと思ってたのに…」
「何かって??」
「何でもないぞっ鬼太郎。ほれ、日が暮れてしまうから買い物に行っておいで」
何かって何だろう?と、思いながらおばばの声に背中を押され人間界へと向かうことにした


下校中の中学生達が歩道の縁石に腰かけて何かのゲームで楽しんでいるのを横目で見ながら、目的の魚屋さんまで少し考え事をしながら歩いた
「…」
そういえばポストに手紙が来なくなったのと同時にネコ娘の姿を頻繁に見なくなった気がする
夏はアイスの差し入れを、冬は暖かい鍋を作ってくれて一緒に食べたのにな
バイトが忙しいのかな?
今はどんなバイトをしているんだろうか…
「ティッシュどうぞ〜」
「あ、ありがとうございます…」
店頭でティッシュ配りをしているこの人もバイトなんだろうか…あ、また僕の後ろにいた通行人に声をかけている
「…」
バイトって聞くとお金のことしか思い浮かばなかったけど、必ず誰かと一緒にその時間を過ごしているんだな
ネコ娘も…
誰かと同じ時間を過ごしている?
他愛もない話で盛り上がってる?
忙しくて夜はあまり眠れてないんじゃないかな?
あまり意識してなかったけど、ネコ娘の泣いている顔なんか見たくないし、いつも笑顔でいてほしい
「どうしてるんだろう…あ・・・」
考え事に夢中になりすぎてて、目的の店をすいぶんと通り過ぎてしまっていました
慌てて振り返り後戻りをしようとした時、本屋さんの店頭で立ち読みしている僕のよく知る女性と目があったんです
「あ…」
「きっ鬼太郎?」
「ネコ娘…」
久しぶりに会った彼女は少し大人っぽくなっていました
履物のせいかもしれませんが、背が高くて髪の毛は少し長めでクネクネしていて、黒いスカートに赤紫のコート…トレンチコートっていうんだったかな
いつもとは違う服装にちょっとドキッとしてしまいました
「夕飯の買い物?」
「うん。ネコ娘は?バイト?」
「そう。ちょうどさっき終わったところなの。このお弁当の本にのってるおかずの作り方をしっかり覚えて、明日のお昼に食べようと思って」
「そうなんだ。偉いな、ネコ娘は・・・」
会話の雰囲気が以前と変わっていて、久しぶりに話すはずなのに自然と会話が続く
今までのノリ?が合わなかったけど、この感じなら違和感なく受け入れられそう
・・・そうだ
「ネコ娘、これからの予定は何かあるの?」
「これから?今日はとくにないわ。家に帰ってゆっくりするだけよ」
「そうか・・・あ、あのさ、僕とちょっと話…でもしないかなって思ったんだけど」
「鬼太郎と?いいわよv久しぶりだもんね。そしたら、そこの公園にしましょ。横町の入り口も近いしね」
「・・・うん。そうだね」
いろんな思考が頭を駆け巡ってしまい鈍い反応しかできていない僕は、ネコ娘の案内で公園へと足を運ぶことにした


ハァ---


「寒い?大丈夫?」
「あっいや…大丈夫さ…」
僕がネコ娘と話したい内容はあのことですが、どうやって切り出したらいいのか全く考えていなかったので、無意識のうちにため息を吐いていた
それでも態度が変わらない彼女
そんなネコ娘の背中をみて、僕もちょっと変わらないといけないなっと心で呟いた


[*前] | [次#]
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -