【彼なりの努力】ウエンツ鬼太郎+猫娘



岩肌に造られた家の中には2人の妖怪影
さぞやいい感じの会話でもしているのかと思えば…その外観とは似ても似つかない空気が漂っていた
「待って!猫娘」
「何?鬼太郎」
「あ…いや…」
つりあがった目に見下ろされ言葉が出ない鬼太郎
「用がないならもう帰るけど?」
「…ごめん」

*

「はぁ…」
猫娘の背中を見送ることなく鬼太郎は溜息を吐きながら寝床に横になった
そして猫娘と入れ替えに、のーっっそりと勝手に上がって来る男が一人
「何だよ…ねずみ男」
「何だよって何だ!それが訪ねてきたお客にいう言葉か!」
文句を言いながらいつものように自分用の空間に腰掛け、ねずみ男は話を続けた
「しっかし鈍い奴だな〜」
「誰が鈍いって?」
「お前しかいねーだろ」
「…なんだよ」
「だってよ?わざわざ言いに来たんだぜ?」
「…」
まるでさっきまでのやり取りを聞かれていたかのような話っぷりに、鬼太郎は天井を見上げならが猫娘のことを思い出していた

*

「今日さ、でっかい花火大会があるんだって!行かない?」 
「それってさ去年も行ってなかった?」
「いいじゃない!毎回見に行っても…」
「………」
「去年だってその前だって鬼太郎行かなかったじゃない」
「………」
「行こうよ!」
「そのうちね…」
「ねぇってば!!」
「…行きたい奴と行けばいいじゃないか」
「!!…もぅいい!」

*

「女心ってーのわな、親父の爪きりよか難しいんだぜ」
「………」
 ちょっと面倒くさかっただけさ
 猫娘とはいつでも行けると思ったから、今日じゃなくてもいいと思ってつい…
 でも来年もこんなぎくしゃくしたやり取りになるんだったら…
「………さてと」
自分自身に言い訳をした鬼太郎は、ねずみ男が帰ったことを確認してからある場所へと出かけて行った

*

花火会場近くの森に浴衣を着た猫娘の姿があった
「なにさ…鬼太郎のバカ!」
草履で土を蹴りながらぶつぶつと独り言を撒き散らして歩いていると、遠くからに賑やかな音色が聞こえてきた
「………」
楽しい気分にさせるその音は、猫娘の歩幅を小さくさせてしまう魔法をかけた

薄暗さがその濃さを増してきた頃、猫娘の前にいきなり人影が現れ勢いよくぶつかってしまった
「わっごめんなさ…っ鬼…太郎!?」
「よっ」
「なんでこんなところに…」
「なんでって…今日花火なんだろ?」
「そうだけど…あ!誰かと待ち合わせしてるんでしょ?」
「待ち合わせ…というか待ち伏せかな」
「…そっそぅ じゃその人を待てばいいじゃ―」
「もう来たから」
「?」
「さっ行くよ」
「えっ、ちょっと…//…そっちじゃない、こっちだって」
猫娘にかかっていた魔法は解け、2人の妖怪影は高台へと消えていった



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