秋は夕暮



「こんな妖怪も世の中にはいるんですね」
「そうじゃ」
ココンを見ながら親子水入らずで西洋妖怪の勉強中である
いつもと変わらぬ光景だがなぜか高山の鼻頭には大きな絆創膏が一枚…
「まだまだお前の知らない妖怪もたくさんおる 霊界符は常に身に着けておくもんじゃぞ」
「はい父さん」

 あれ…

「どれ またわしの気持ちを込めてやるかのう」

 あれっないない!?

「鬼太郎 どーしたんじゃ?」
「いえ 父さんっなんでもありませんよ//そうだ ゆっ夕飯の買い物まだでしたよねっ行ってき…うあぁあぁ!!??」
「そんなに慌てなくても…」

バタバタ
ドタバタ ガッツターーン!!!

「やれやれ とほほ」
後退りの勢い余って階段から転げ落ちてしまった
「はぁ…なんとか切り抜けられた」

 霊界符がない!!

「ん〜」
高山は記憶を遡ってみる

 一昨日までは確かにあったんだ
昨日は…夜に自転車の練習を

「!!」

 そうだ!
 森を通って家に戻る時、木の根に引っ掛かって転んだんだ
 鼻頭も擦り剥いちゃったし
 そのときに落としたかもしれない…

高山は急いで家から横丁に抜ける森へ向かった
森に着くや否や探し始めたのだが、何しろ真夜中の出来事だった為どの辺りで転んだのかも覚えていない
「はぁ…一体どこにあるんだ」

 大切なものなのに―

当てがないため片っ端から探すしかなかった


 カァー カァー


時は刻々と過ぎていく
「はぁ…夕飯の買い物もしなきゃならないのに」
眉毛は完全に八の字である


 ザワザワ バサバサバサバサ


「うわぁっ!!」
突然の突風が高山を襲った

 土埃がっゴホゴホッ
 木の葉も沢山落ちてきたし
 ついてないなぁ

「ゴホッゴホッ」

 急いで探さなきゃ
 探さな―

「探し物はこれかい?」
「ビクッ…え!!?」
高山は不意の出来事に驚きを隠せずその場に尻餅をついてしまった
  
 僕と同じような姿をした少年!?…

「ふふっ」
「………」


 僕はいま、息を吸うのがやっとです


ザワザワ ザワザワ 


森の木々は二人の出逢いを待ち侘びていたかのように一斉にざわめきだした


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