ある大晦日は下町の親分



ここは立派な屋敷の一室
高「ここは…っ!動け…ない!?…ぅ…」
その隅に身体をロープで頑丈に縛られた高山くんがいました
意識が朦朧としているのか半開きで虚ろな目をしています
こうなった理由はつい先ほどの出来事
裏口から手招きしていたねずみ男に近寄った高山くんでしたが、眠り薬を嗅がされここに連れてこられたのです
高「…ねずみ男!?」
鼠「悪く思うなよ、鬼太郎ちゃん」
高「そうか…お前があの手紙を」
ぬ「それは私だ、鬼太郎!」
高「!?お前はぬらりひょん!」
ぬ「わしはどうやったらお前を手に入れられるかずっと考えていたんだ…そしたらそいつがいい話を持ってきた」
高「…!」
ぬ「貧しいお前らが出す答えは一つ!身を差し出すことしかないのだ!お前は私の生き甲斐なのだからな!!ワハハハ!!!」
鼠「ということで先生、そろそろ礼金を―」
ぬ「おぉ…気分がいいうちにやっておくか!」
鼠「さすが悪代官様〜!(これで裕福な年越しができるぜ)」

シュバババババ!!!

鼠「ひぃ〜!!コレは鬼太郎の毛針!」
一「見つけたぞ!」
ぬ「んが!!?誰だ!」
一「僕はこの町の岡っ引さ!覚悟しろ!」
に「僕だって居るぞ!」
ぬ「…なぜこの場所が…!」
先ほどの大きな高笑いは自分の居場所を彼らに知らせることになったのです!
ぬ「ふん、だがしかし、奉行非公認のお前らが何を言っても無駄だ。こちらには町奉行様がついていらっしゃる」
一「何だって…!?(これじゃ、僕は何も―)」
に「だったらその町奉行を出してみろ!!」
一「!!!?」
ぬ「!!?何を馬鹿なことを―」
に「会わせる事くらいいいだろ!ん!?その襖の向こうが怪しい!!」
そういった二部くんは持ち前の俊足を生かし、ぬらりひょんの背後にある大きな襖の前に移動しました
そのまま両手でガーーっと左右に開いたその先には―…
に「とっ戸田くん!!?」
全員「!!」
戸「やぁ!皆!悪者は僕が捕まえてやったよ!」
そこには歴代のぬらりひょん一味を縄で縛り上げ、右足で押さえ込む戸田くんの姿がありました
戸田くんとは…下町に住む弱いものの味方をしてくれる、親分的な存在なのです!
ぬ「このばか者どもめが!」
朱3「ぬら」
朱4「りひょん」
朱5「様ぁ〜」
に「で、町奉行はどこにいるって?」
ぬ「うぎ…しかし、この紙は本物だ!」
鼠「そりゃ本物よ。頑張ってぼくちんが盗んできたんだから。へへ」
一「もう…お前の負けだな」
ぬ「くっ…!」
戸「さぁ、どうする?また先祖流しでも味わいたいか!」
ぬ「おのれ…!出直しだ、朱の盆!!!」
戸田くんの威勢に負けたぬらりひょんは三人四脚の朱の盆とともに屋敷からそそくさと姿を消しました
事件は無事解決です!
戸田くんはぐったりしている高山くんに近寄って縄を解いてあげました
でも気になることが1点―…
に「じゃ、あの土地はこれからどうなるの?」
戸「これは真っ赤な嘘だ!問題の土地は城が所有してる―…みたいで、でも高山くんたちの利用法を見て所有権を渡すことになってたみたいだよ!(危ない…)」
一「すごいよ、戸田くん そこまで調べてくれてたんだ」
に「さすが下町の親分はやることが違うな!」
戸「あははは…」
照れ隠しのように苦笑いをする戸田くん
やっと開放された高山くんは、命の恩人でる彼にお礼をと思ったのですが―…
戸「(おっと…)!じゃ、僕はこの辺で失礼するよ」
高「あぁ!待ってください」
戸(ごめん、今は待てないんだーっ)
戸田くんは忙しそうにして走り去ってしまいました
でも高山くんはきちんとお礼が出来ず納得してない様子です
高「僕、戸田さんにお礼を行ってきます」
一「うん。じゃ、二部くんと先に戻っているね」
に「迷子にならないようにするんだよ」
高山くんはほしの'sを先に返し、自分は戸田くんを探し始めました
高「戸田さーんっ!どこですがー! あ!いた!」
数十メートル先の渡り廊下を走っている戸田くんの姿を見つけました
高「えーいっ!」
ビヨーーーンっ!! ベチン!
戸「痛っ!!!!」
高山くんは髪の毛綱で戸田くんの足を捉えました
戸田くんは顔面から床にバタン…!と倒れました…痛そう…
しかもそのままズルズル…と漁師のように毛網を引く高山くん…
高「戸田さん、ありがとうございました」
戸「いっいやぁ…また今度ゆっくり話そう!(やばい…)」
高「はいvじゃまた―」
家来「見つけましたぞ!姫ーー!!」
戸「!!?」
高「!!!?ひ…め…」
戸「あぁ…ごめん!!高山くん、実は内緒にしていたことがあるんだ」
戸田くんが内緒にしていたことは―…
実は戸田くん、お城のお姫様だったのです!

家来によってお色直しされた戸田くんの姿は
高「可愛い着物ですねv」
戸「…///」
ピンク色の着物にリボンの髪飾りがとても似合います
戸「これは皆には内緒だから!」
高「わかりましたv」
城門で戸田くんとその家来たちに見送られた高山くんは、足取り軽く松岡さんの待つ家へと戻っていきましたv
戸「ふぅ…」
五官王「さぁ、姫、稽古の時間ですぞ!」
戸「!!?いや、今日はほら、大晦日だし―」
宋帝王「そんものは関係ありません!」
戸「…ハイ」
外はもう…数えるくらいの灯りしかみえません
そんな時間からお城に篭って稽古とは…戸田くんが変装して下町に逃げ出す気持ちもわかる気がしますね

一方、下町の様子は
鼠「おーい!鬼太郎〜」
高「あ、ねずみ男」
鼠「あのよ…さっきはその…なんつーか、普段切り詰めて生活している鬼太郎の姿をみてるとさ、なんだか心が痛んでよう だからつい―」
高「そんなことだろうと思ったよ でもまさか本物の紙が来るなんて思ってなかったから本当に驚いたよ…さ、町奉行の黒烏さんに一緒に謝りにいこうか」
鼠「…!!鬼太郎〜;;;」
仲を知り尽くしてこそ出来る駆け引きは、悪友ならでの特権ですね

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