68.5話  やる気とその代償





地獄の秩序を取り戻すと 参戦していた仲間は揃って横丁へと戻りはじめた
新しい地獄の奥義を使用した鬼太郎もまた 残っている体力を振り絞り 家まで自力で戻ってきた
自分の父以外 その場に人がいなくなると布団へと倒れこむ


「鬼太郎…」
「父さん…地獄の力って…体力を物凄く消費しますね…でも…扱えるようにしておかないと…」
「無理をするんじゃないぞ?」
「分かっています ………」


そういって鬼太郎は目玉おやじが見守る中 眠りへとついた





5日後―

鬼太郎はすっかり回復し 朝から目玉おやじの湯を沸かしていた


「さてと いつものジョギングに出かけるかのう」
「父さん」


目玉おやじは 鬼太郎からいつも掛けられる言葉を待ってから外へ向おうとその場で足踏みをしていた


「僕も連れてってください」
「じゃぁ いって!!!?なっなにぃ!!?」
「僕も一緒に走ります」
「なっなんと!」


鬼太郎は火を止めると部屋の入り口へと向かい 下駄を履き始める


「父さん?」
「ん?おお…今行くぞ」


目玉おやじは自然と止まっていた足を前へと踏み出し 鬼太郎と共に外に向った

鬼太郎は付かず離れずの距離を保ちながら早足で目玉おやじの後を付ける
心なしか目玉おやじの足取りが軽やかであった


鬼太郎は父を見習い体力をつけようと やる気を出し始めていたのだ
いつの日か必ずやってくる決戦に備えて 体力が尽きることなく 地獄の鍵を扱えるように





がー


「いでで…」
「まぁ 今日は休んでおれ」
「すいません…」


慣れない運動をしたせいで 全身が筋肉痛
たった2日の体力作りはまた先送りとなった

鬼太郎は卓袱台に頬杖を付きながら朝ごはんのリンゴを丸かじる
と 何所からか黒くて丸い虫が1匹 部屋に入り込み 鬼太郎の右頬へピトっと張り付いた


「!!? んん…」


急に眠気がきたのか鬼太郎の瞼が下がり始め 芯だけになったリンゴを後方へ投げ出すと 床の上にゴロンと横になった


「はぁ……」
「鬼太郎?」


溜息をつき始めた息子に違和感を感じ 目玉おやじが側へと近寄る


「だるい……」
「ん?なんじゃ?こんなとこに…ホクロか?今まで気が付かなかったのう…ではいってくるぞ」


目玉おやじはそれほど心配することなく ジョギングをしに外へと向った
いつものコースを2周し身体が温まったところで家に戻ると ネコ娘もまた家へ上がるところであった


「鬼太郎〜」


「あぁ…なんて儚いんだ…」






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