64.5話  幼き苦悩





「……」

ねずみ男とネコ娘が家から立ち去った後も
足を組み寝転んだまま
ある考え事をしていた


「……」


瞳を閉じ
さらに深く考え込む


グゥゥ〜


「おっと…」

腹時計が夕飯時を知らせる
もうそんな時間か
と思いながら食事の準備をする

買出しには行かず
その場にある食材で簡単に済ませた

その後
少しひんやりする布団に寝転び
再度天井を見上げる


「……」


考えていたのは今日の出来事
妖怪のことじゃない
人間のことでもない


自分のこと


あの青年は
僕のことを子供と言い放った

見た目は幼くとも
人間の寿命の半分は軽く超えているというのに

所詮
種族の違いによるものなのだろうが
でも…
あまり快くない


「……子供…か…」
「どうした鬼太郎?」
「あっいえ 独り言です おやすみなさい父さん」
「そうか?おやすみ鬼太郎」


「……」


そう言って布団に入ったものの
気になって眠ることができず―


「…父さん…」
「ん?まだ起きていたのか鬼太郎?」
「僕…子供に見えますか?」
「わしからみたらまだまだ手のかかる子供じゃわい」
「そう…ですよね すみません」


当然のことを尋ねてしまい
つい謝ってしまった



僕は―

幼い頃の記憶が定かじゃない

今より前
つまり もっと子供だった頃
どんな扱いを受けていたのだろう
考えても思い出せない


それは


覚えていないからなのか


それとも


思い出したくないだけなのか



昔よりも

成長しているのであれば

満足…かな






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