Limn



今日、部屋に戻ってパソコンの電源をつけたら、これまた異常に起動が遅くて…
ようやく立ち上がった画面に向かって、高山くんを呼んだんだ
そしたら…
「高山くん…!どうしたの!!?」
「・・・」
画面の奥から現れた高山くんは、いつものように立ってなくて、ぺたっと座り込んでたんだ
整ってた髪は寝癖がついたようにボロっとしてて、衣類も所々擦り切れている
高山くんは話せないから、何が起こったのか全く分からなくて…
そう、あんなに何でも出来る高山くんなのに…

唯一 話すことが出来ないんだよね

感情だってあるのに、文字でしか表現できないなんで、ちょっと切ないな…
「うぉ!なんだ…これは!」
いきなり画面左から、昆虫の幼虫のような虫が現れた…!
結構でかくて…見てて気持ち悪い
幼虫…虫…worm
ワーム…!!?
もしかして…!
「パソコンのウイルス?」
高山くんが何かのソフトで姿形があるのなら、同じようなことがあったとしても、決して不思議じゃない…!
…そうか
もしかしたら…高山くんは、パソコンに感染したウイルスと戦ってくれてたんだね!
ジワジワと弱った高山くんに近寄るウイルス…
僕が出来ることはこれだけだった

絵を描くソフトを起動(ちょっと遅い)
シートを画面いっぱいに拡大して、その上に2人が居る事を確認
ペンを持った僕はひたすら書きまくった!
最初、行く手を阻む為にワームの周りに草を沢山書いた
ワサーーーーっっ!!って
そしたら奴はムシャムシャと全部食べた…
くそぉ〜このやろう!
次は、高山くんを守ろうとして、周りに鉄柵をこれまたワサワサ!って書いた
…でもこれだけじゃ、ウイルスを退治できない…!
このこの!って奴をクリックしてたら、動きがちょっと止まった
高山くんはその様子を待っていたかのように、膝をガクガクしながらも立ち上がった
奴に向かって縄のようにした髪の毛を雁字搦めにした後、いきなり画面が黄金色の光を放った…!
数十秒間も…
僕は黙ってその成り行きを見守った

「・・・」

元の真っ白い画面に戻った時、その場にいたのは高山くんの姿だけだった
ウイルスが画面から消えた……!
駆除できたんだ!やった―!
「やったね!高山くん!」
「………vv   onz」
「大丈夫かい!?」
にこって笑顔を振りまいた後、高山くんは画面に寝転んでしまった
「ありがとう」
「   ノシ 」
「ははvあ!今寝かせてあげるね」
そういって僕は、不器用な線で敷布団と毛布みたいなものを書いてあげた
「ちょっとごめんね」
まるで猫の首根っこを掴むかのように、マウスで高山くんのちゃんちゃんこをクリックして持ち上げたまま布団に移動させ、毛布もかけてあげた
準備完了!
「ゆっくり休んでね」
「  コクン 」
一度だけ頷いた高山くんは、そのまま眠ってしまったようだった
お疲れ様v
さて、自分も寝ようかな
部屋の電気を落とし布団に入った時
「あ……枕…書き忘れた…」
高山くんに申し訳ない気持ちを抱きながら、僕は夢の世界へ旅立ったのだった


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