Talking



研究にはまず“仮定”が必要と教わった
だから僕はこう仮定することにした

僕のパソコンに何かが住んでいる
もしかしたら動いている可能性も否定できない

僕は独自の研究を始めることにした


*******


ちょうど部屋に来ていた戸田くんと一緒に量販店にいって必要な材料を買い揃えた
…といっても買ったのは

マイク
カメラ(パソコンにつけるもの?)
三脚
ビデオカメラ

普通…というか何のオタクなんだと、一瞬だけ考えてしまった
同じことを思ったのか戸田くんも聞いてきた
「何に使うのさ?」
僕は自身満々にこう言った
「研究さ!」


*


パソコンの前に三脚を組み立てて、その上にビデオカメラをセット
どちらにも電源をいれたまま僕は大学へ向かった
帰ってきたら何が写っているんだろうって
僕の頭にはそれしかなくて、早く帰宅したかったから物凄く集中して今日の作業を終わらせたんだ

頑張ったかいあって21時は部屋に戻れた
パソコンはついたままで、カメラの方も問題なく録画できていたみたいだった
僕は買ってきた夕飯をつつきながら、さっそく映像を再生してみた
「おっ写ってる…!」
つい当たり前のことを言ってしまった…
誰も部屋にいなくて良かったよ

僕はパンを食べながら画面をジーっと見続けた
何の変哲もないデスクトップがずっと写ってるだけだな…
「んん〜」

モグモグ…

「!!!!」

ひぃ!急に驚いたから…パンが…!喉に…!うぅ…
ツ マ ッ タ ………
トントントン… ゴクン…
「ふぅ…」
生命の危機を感じた…危ない危ない
もう一度さっきの場所まで戻して・・・
「ぁ・・・写ってる…」
そう!画面に映ってたんですよ!
小さな小さなパソコンの住人が…
しかも動いてる…!
これが戸田くん命名の…
「…高山くん?」
…そうだ…きっとそうだよ!
うわぁ…なんだか急にペットを飼っている気分になってきた
このチマチマした動きが可愛いなぁv

詳しい専門用語は分からないけど…
高山くんがやってることは、普段見えないところでやっているパソコンの処理なのかなって思った
ごみ箱に入れたファイルを細かく切って束ねてくれてたり…
これは元に戻せるようにってことかな?
と、とにかくこれで正体が分かりました!


下駄とちゃんちゃんこを身に纏った

新・生物 高山くん

僕は興味が増すばかりです!


**


お!今日もパソコンの整理をしてくれてるんだね
マイクを接続して…っと
あーああーー
「高山く―ん!」
「!」
あっこっちみた!
「やぁ!僕は松岡だよ?」
「!?……」
あれ?高山くんがアイコンの後にササササ…って隠れちゃった
「もう隠れなくていいんだよ?」
「?」
今度は、サササササ…って画面に戻ってきてくれた!
「君には僕がどんな風に見えてるのかな?」
「!」
高山くんが両手を後ろに組んで左右にユラユラ揺れている…
もしかしたら見えてないのかもしれないな…
!!webカメラを繋いでみよう!
「!!vvv」
そしたら、高山くんがペイントを開いて僕の顔を書き始めたんだ
「なるほど…絵上手だね」
「!!」
もしかして喜んでるのかな?
さっき書いた僕の顔の周りにカラフルな花を書き始めた
次は何を話そうかな〜
おっと…もう日付が変わってる
「ごめんね そろそろ電源落とすね」
「…ノシノシ」
僕が手を振ったら高山くんも手を振り替えしてくれた
可愛いなぁ
「ははvそれじゃ、お休み」
僕は高山くんにそういってパソコンの電源を落とした
ベッドに入ってからもこのなんともいえないワクワク感が僕を寝させてくれない
「また明日会えるさ」
声に出して自分に言い聞かせた僕は深呼吸をして遅い眠りについた


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