【お揃い】大天狗



「…よしと さぁ行くぞ鬼太郎!」
「はい!とうしゃん!」

昔からの親友に合いに行こうと 目玉おやじは朝から支度をしていた
そんな父の姿を見て 自分も何か支度をしようと思った鬼太郎はズボンのポケットに入る分だけ葉っぱを詰め込んだ
準備が出来た後 つるべ火に行き先を告げ 2人は飛騨の山奥へ向った


*


着いた場所は木造造りのりっぱな大きな屋敷
興奮が湧きソワソワし始めた鬼太郎は廊下を走りだした
角を右に曲がろうをした時

「やぁ!鬼太郎!初めてじゃの」
「!!!!!」

ここの主 大天狗と出会いがしらに鉢合わせしてしまった
真っ赤で長い長い鼻を持ち 自分の何十倍もの大きさの顔に語られ 引きつった表情を浮かべた鬼太郎は

「わぁーーっ!!!」
「お!鬼太郎〜」
「ちょっと驚かせてしまったようだな ハハハ」

驚きを隠せず 今来た渡り廊下を戻っていった
そんな2人の出会い
直ぐ戻ってくるから心配ない
と目玉おやじは大天狗に話し 2人は大部屋へと向った


*


「あれ?ここは」

鬼太郎は広い屋敷で1人 迷子になっていた

「とうしゃーん!とうしゃぁーん!」

両手をメガホンのように口にあて叫んでみたが…自分の声が木霊するだけで何も起こらない

「きっと僕のとこにきてくれるよ」

そう思った鬼太郎はその場に座り込み 持ってきた葉っぱを1枚ずつ畳の上に並べ始めた

よいしょ
よいしょっと
1 2 3 4 …

全部で12枚の葉っぱを広げ終えた鬼太郎は何が嬉しかったのか その周りを両手をあげたまま走った

タタタタ……ボフっ

そしたら 目の前に現れた誰かにぶつかってしまった
その人物には嘴
背中には黒翼があった
どうやら ここに住むカラス天狗の1人のようだ
カラス天狗は並んである葉を拾い集め

「一緒に遊びましょうか」
「……うん!」

鬼太郎を抱きかかえると宙を羽ばたき 場所を移動した


*


「では こうしてみてください」
「こう?」
「そうです 上手ですね!さすが鬼太郎殿」
「vv ふぁ…」

何かを習った鬼太郎は慣れない作業に疲れたのか そのカラス天狗の膝枕で眠ってしまった
カラス天狗は高山を優しく抱きかかえ 目玉おやじがいる場所へ運びその身を預けた


*


翌日の朝
大広間にて

「お?」
「ん?」
「・・・」

目玉おやじを乗せた両手を自分の顔が隠れる位置まで持ち上げる鬼太郎
そんな息子を大人たちは気にすることなく 別れの挨拶をし始めた

「昨夜は楽しかったぞ!」
「わしもじゃよ!また来るからのう」
「うむ 鬼太郎もな!」
「…ぅ…」

大きな手で撫でられた鬼太郎は 目玉おやじの身体から少しだけ目を出し 大天狗を見つめた

「!( あれ?)」

鬼太郎は自分と同じものを大天狗の懐に見つけ指をさした

「僕もあるよv」
「ん?おぉ〜いい扇子だ!」

扇子を手にするとお互いを扇ぎだす2人
最後になって心を開いた息子の様子を目玉おやじは何度も頷きながら見届けたのだった






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